実は後ろ向きが前だった? 日本戦車の砲塔機関銃 取付位置が不思議なワケ | NewsCafe

実は後ろ向きが前だった? 日本戦車の砲塔機関銃 取付位置が不思議なワケ

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歩兵との対戦車戦訓練に参加する九七式中戦車(前期型車体)。砲塔を後ろ向きに回して砲塔銃が正面を向いている。(吉川和篤所蔵)。
歩兵との対戦車戦訓練に参加する九七式中戦車(前期型車体)。砲塔を後ろ向きに回して砲塔銃が正面を向いている。(吉川和篤所蔵)。 全 1 枚 拡大写真
戦前戦中において日本の主力戦車であった八九式中戦車や九七式中戦車では、砲塔の後部に主砲とは逆に向く形で機関銃を装備していました。一見すると、後方の警戒用にも見えますが、実はある状況ではそちらが正面になりました。

砲塔の後ろにある機関銃

 1929(昭和4)年に仮制式化された八九式軽戦車(当時、後に中戦車に改訂)や、1937(昭和12)年に制式化された九七式中戦車(チハ)、これらの戦車は武装に共通点がありました。

 ひとつは、型式こそ違うものの、どちらも主砲として短砲身の57mm戦車砲を装備していた点、もうひとつは車体前方に向いた機関銃(車体銃)とともに、砲塔後方に主砲とは逆向きに機関銃(砲塔銃)を装備していた点です。 車体銃と砲塔銃、この2丁の機関銃は、八九式が6.5mm口径の「九一式車載機関銃」であり、九七式が7.7mm口径の「九七式車載重機関銃」でした。それぞれの機関銃は口径やタイプ(型式)こそ異なっていますが、どちらも単眼式の照準眼鏡(スコープ)を銃本体上面に備え、さらに上下左右に動く、いわゆるボールマウント構造のような機銃座に設置されるとともに、銃身を含む銃本体を保護する防弾器(カバー)を装着していました。

旧日本軍の教本にも載った後ろ向き砲塔

 車体前方に向いた車体銃は他国の戦車でも見られましたが、砲塔後部の機関銃はあまり例がなく、日本戦車独特の装備といえるものです。しかし、旧日本陸軍がそのような搭載方法をとっていたのには理由がありました。 実は状況に応じてはこちらが正面になるようになっており、ゆえに最初からあえて後ろ向きで機銃座を設けていたのです。

 そもそも第2次世界大戦前の戦車は、砲を搭載せず機関銃だけのものも多々ありました。なぜなら、状況にもよるものの、敵が強力な戦車や対戦車兵器を持たない場合、敵兵を攻撃するには機関銃の方が連射でき精密射撃も可能なので効果的だったからです。 つまり移動時や歩兵相手の場合は、砲塔を回して機関銃のある方を前に向けていたのです。もともと日本の戦車は、味方歩兵を支援するために設計開発されており、ゆえに戦車砲は貫徹力よりも爆発力の大きな榴弾で敵陣地や野砲、機関銃座を攻撃するものであり、また主砲は弾数も限られるため極力使わない方針でした。 当時の移動や訓練時を捉えた写真でも、砲塔を回転させ、機関銃を前に向けた例がいくつも確認されています。 筆者(吉川和篤:軍事ライター/イラストレーター)の手元には、旧日本陸軍の千葉戦車学校が1940(昭和15)年に発行した「中戦車教程」という教科書があります。この本の冒頭には、まさに砲塔の機関銃、砲塔銃を前にした状態の九七式中戦車が図解で掲載されているのです。ここからも、この状態の方が実はノーマルであったことがわかります。

同軸機関銃がなかった日本戦車

 それにしても、なぜ日本の戦車は砲塔前面、すなわち主砲と同じ面に機関銃を装備しなかったのでしょう。 この頃、諸外国はすでに戦車砲と同じマウントに搭載する「同軸機関銃」を採用していました。この方式ならば、戦車砲と機関銃が同じ方を向きながら目標によって使い分けることができ、なおかつ敵戦車を攻撃する際には、戦車砲を射撃する前に機関銃を撃つことで砲の照準を合わせる補助にも使うことが可能でした。

 しかし当時の日本戦車には、太平洋戦争後期まで同軸機関銃の装備はありません。その理由は、日本戦車の設計にありました。八九式にしろ、九七式にしろ、57mm戦車砲の照準・射撃を乗員(戦車兵)の肩付けで操作していたのです。 肩付けとは、小銃や機関銃のようにストック(銃床)がある銃を構える際、肩の付け根の部分にストックをしっかりとあてグラグラしないよう保持することです。初期の日本戦車の場合は、機関銃にしても砲にしても肩付け用にストックかそれに類した部品を装備していました。肩付けで構えることで、素早い照準、精密な射撃ができる反面、砲架の構造から機関銃の設置ができなくなります。また常にギリギリの大きさで設計された砲塔のサイズも一因といえるでしょう。このような理由から、戦車砲と機関銃を同軸に装備せず、前後に分ける形となったのです。こうして後ろ向きの砲塔銃は、日本戦車の特徴といえる、独特のアイテムとなったのでした。

《乗りものニュース》

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