【高校受験2027】埼玉県公立高の新入試…特色選抜の実施方針や自己評価資料を公表

　埼玉県教育委員会は2024年9月26日、2027年度（令和9年度）埼玉県公立高等学校入学者選抜実施基本方針を公表した。新たに受検生全員に提出を求める「自己評価資料」や記載内容を変更する「調査書」の新様式を公表するとともに、学力検査の取扱いなどを示している。

　埼玉県では、現在の中学1年生が受検する2027年度埼玉県公立高校入試から、入学者選抜方法が変わることを明らかにしている。今回、2023年12月に公表した「埼玉県公立高等学校入学者選抜方法の改善について」の内容を踏まえ、2027年度埼玉県公立高等学校入学者選抜実施基本方針を決定した。

　新たに受検生全員に提出を求める自己評価資料では、受検生がこれまでの自分の体験を振り返り、力を注いだことや努力したこと、高校入学後や将来取り組んでみたいこと、自己PRなどを自らの言葉で表現する。各校は、県教育委員会が定めた共通の評価の観点と評価規準をもとに評価。各校が学校独自の項目を設定する場合は、あわせて定めて評価する。

　新しい調査書の記載項目は「各教科の学習の記録」（9教科5段階の評定）と「総合的な学習の時間の記録」とし、現行の「出欠の記録」は削除する。入学者選抜実施基本方針では、2027年度入試の調査書と自己評価資料の様式も別紙で示している。

　2027年度埼玉県公立高校入試ではこのほか、選抜の一部を特色化。一般募集では、「共通選抜」と「特色選抜」の2種類を実施する。新たに導入する「特色選抜」では、学力検査、調査書、面接に加え、特色検査（実技・小論文など）や傾斜配点などで選抜する。

　共通選抜の学力検査の得点は、各教科100点、5教科合計500点満点。調査書の得点となる各学年の学習点の合計（9教科×5段階評価＝45点満点）の比率は「1：1：1（135点満点）」「1：1：2（180点満点）」「1：1：3（225点満点）」から選択して基本点とする。基本点は「200点」「300点」「400点」から選択した得点に換算する。面接の得点は基本点（30点）を「1倍（30点満点）」または「2倍（60点満点）」とする。

　特色選抜の学力検査は、各教科100点、5教科合計500点満点を基本点とするが、1教科ごと150点または200点、3教科までの傾斜配点が可能。調査書・面接については、学科やコース等の特色に応じて各校が定める方法で得点を算出して選抜する。特色検査を実施する場合は、学科やコース等の特色に応じて、特色検査の問題や得点を定める。特色検査を実施しない場合は、共通選抜の得点の算出方法とは異なる扱いとする。

　共通選抜と特色選抜の両方を実施する学科・コース等は、特色選抜による入学許可候補者を決定したあと、共通選抜による入学許可候補者を決定する。各選抜の入学許可候補者の割合は、特色選抜が募集人員の20～80％、共通選抜は残りの100％とする。具体的な人数割合は、2025年12月に公表予定。

　このほか、追検査では、面接・特色検査を実施しない。ただし、不登校の生徒などを対象とした特別な選抜、帰国生徒特別選抜による募集、外国人特別選抜による募集、定時制の課程における特別募集では、追検査において面接を実施する。

　不登校の生徒などを対象とした特別な選抜では、自己申告書を提出した者を対象に、調査書を資料とせず、学力検査の得点の合計、面接の得点、特色検査の得点（実施する場合）、自己申告書の内容を資料とする特別な選抜を行う。

　第2志望、欠員補充、帰国生徒特別選抜による募集、外国人特別選抜による募集、定時制の課程における特別募集、県立大宮中央高等学校における募集、秋季募集、障害のある志願者に対する配慮事項および配慮が必要な場合の手続等は、現行の選抜制度と同様とする。

　2027年度埼玉県公立高校入学者選抜の学力検査は、2027年2月下旬に実施。詳細については、2026年5月に「2027年度（令和9年度）埼玉県公立高等学校入学者選抜実施要項・入学者選抜要領」を公表予定。それに先立ち、2024年10月には同要項・同要領の暫定版を公表する予定となっている。各高校の課程別、学科別等の募集人員は、2026年6月末までに公表予定。