
こんにちは、オトナサローネ井一です。10月から11月にかけて長くお休みをいただいていました。というのも、ここにきてコロナに感染してしまったから。
インフルエンザは昨年をはるかに上回る勢いで大流行中。いっぽうのコロナは下火だとはいえ

インフルエンザ感染者数の推移 出典/東京都 クリックで拡大
11月に入ってからはインフルエンザが猛威をふるっているのは報道の通りです。赤が今年、ピンクが昨年。今年は昨年より2か月近く早くから流行が始まりました。お子さんが学齢の皆様は「学級閉鎖」の話もよく聞いているのではと思います。

いっぽうのコロナ、赤が今年度です。どうやらコロナは夏と冬の2回のピークがありそうだというのが昨今わかってきたことですが、夏の流行期に大きく感染者数を増やしたのちにピークアウトし、現在は昨年とほぼ同じような感染数で推移しています。

出典・国立健康危機管理研究機構感染症情報提供サイト クリックで拡大 https://id-info.jihs.go.jp/
夏頃には、「まるで剃刀で喉を引き裂かれるような」と表現されたオミクロン変異株のNB.1.8.1、通称「ニンバス」が流行していました。8月の同じ集計を見るとNB.1.8.1が29.20%ですが、上図の9月にはニンバスの子孫株にあたるPQ.2(NB.1.8.1.2)に入れ替わりつつあるようです。
これがコロナPQ.2ならば、「あんまりはっきりした症状がない」のが最大に怖いところだと思う
株の同定をしていないので何に感染したのかはわからないままですが、症状からしてニンバスではなさそうだから、たぶんPQ.2またはその類縁なのかなと仮定して話を勧めます。
私の感染から回復までの経緯は上図の感じでした。在宅が続く中でしたのでおそらく感染は出勤した月曜ですが、どこで感染したのかはまったくわかりません。社内に感染者はおらず、咳をする人とも接触していません。電車の中でも近くに咳こむ人がいた記憶はなく、本当にいまのコロナは感染力が強いんだなと驚きます。以下、経緯を簡単に。
水曜 夜、外で食事をして24時近くに帰宅。電車の中で軽い寒気と軽い倦怠感を感じ始めて、「あれ、何かに感染したかな」という感覚がありました。この冬はじめて電気敷毛布をセット、いちばん熱くしてものすごく汗をかいて寝ました。
木曜 0日目。朝起きると37.1°C。よかった、ただの風邪っぽいなとひと安心。この日は終日37.3°C程度で熱はほぼ上がらないものの、咳が出始めました。この咳がまた不思議で、喉はほぼ痛くならず、ちょっと何か違和感があるかな程度なのに、とにかく喉の浅い部分からの軽い咳がひたすら出続けます。また、鼻水もすごく出る。ティッシュでは鼻の下が切れてしまうので、柔らかいタオルを枕元に置いてずっとぬぐっていました。熱も上がらないし、普通の風邪だなと思っていたのでこの日は昼にロキソニンを服用、会社は欠席に。
金曜 1日目。起床すると36.5°Cと熱が下がっていたため、予定通りに打ち合わせに出かけました。しかし途中で坂を転がるかのように具合が悪くなり、これはちょっと普通の風邪ではないなと帰宅、午後休に。鼻水も引き続き出るのですが、それ以上に咳が無限に出続けます。喉は大して痛くないのに、人ってこんなに咳を続けられるの?!と驚くばかりにずっと咳。
ついには、あまりにも咳が出過ぎて続きの咳がうまく出せず、つっかえて苦しんだ挙句に吐いてしまうという体験をしました。咳で吐いただなんて記憶になく、数回吐きましたが毎回驚いてしまいました。20時過ぎに熱は38.5°Cほどにあがりましたが、「微熱が続いて浅い咳がひたすら出続けるこの症状は過去にも経験がある、きっとマイコプラズマだ……。めんどくさい、長引くだろうから来月の予定リスケだ……」。冷静に考えればコロナかインフルかを疑うべきなのですが、「コロナなら喉が切り裂かれるように痛いはずだし、インフルならもっと熱が上がるだろう」と思い込んでしまっていたのです。
コロナとは疑いもしないまま、マイコプラズマだと思い込んで病院を探して受診したが
土曜 咳の出方は熱の出方に比例するようで、ロキソニンで熱を下げればだいぶ軽くなることを発見しました。咳と鼻水にとんでもなく苦しめられているものの、起床時は37.1°Cとさほど熱は上がりません。マイコプラズマと確信してしまっていたため、呼吸器を標榜する内科を探して駆け込みました。ところが、医師に経過を伝えるとマイコプラズマのマの字も出ません。
「うーん、インフルエンザとコロナ、いま両方流行ってるけど、どっちから検査する? 熱も上がってないし、聞いた感じどっちでもない感じもするんだけども」。
ええ、これでインフルとかの可能性もあるの? まいったなあ、と思いっ通インフルから検査してもらいましたが、案の定というかなんというか、やっぱりインフルではありませんでした。
「じゃあコロナも検査しとこうか、たぶん違うけど、何だろうね……」
と、またスワブを突っ込んで検査してもらったところ、「うわ、コロナだった! 見て」。

やだ先生、ロキソニン飲んじゃいました。コロナやインフルってロキソニンNGですよね?
「うん、こういうことがあるから手元の薬を適当に飲まないで、診断を受ける前はカロナールにしてくださいね」。
熱を測ると39.2°Cと急に上がっていました。ちょっと動くとすぐ上がるようです。ここで問題になったのがコロナ治療薬です。
「いまこの病院で処方できるのは2種類で、1万5000円のほうのゾコーバは発症から72時間、3日間しか飲めません。あなたの場合はどこを発症とするかが難しいけれど、木曜発症だとすれば今日飲むかを決めないとなりません。もう1つのパキロビッドは明日もまだ飲めるけど、3万円です」。
えええ、大した熱もないのに1万5000円は払いたくないです……。
「でもあなた、熱が39.2°Cもあるのはしんどいでしょう? このあいだ、前日によそでコロナと診断された女性が来院して、『昨日は大丈夫かと思ったけれど、今日はつらくて我慢できません、やっぱり薬を出してください』って。明日は日曜で病院はどこも閉まってるんだから、あなたも今日のうちに飲んでおいたほうがいいんじゃない?」
うーん……でも、ロキソニンで咳もある程度抑えられたし、今回はカロナールでいける気が。なのですが、本気で咳がしんどすぎるので、この咳だけ止めてもらえると嬉しいです!

というわけで、解熱のカロナールに加えて、比較的新しい咳止めのレスプレン、オーソドックスなトラネキサム酸という布陣でコロナに挑むことになりました。過去咳止めといえばムコダインが出ていた記憶があり、レスプレンは初めて飲みます。
症状があまり強くないせいで「感染力がいちばん強い時期」に周囲に移してしまうのが大問題
ありがたいことに、この処方が私にはよく効きました。カロナールで熱がすっと下がり、レスプレンとトラネキサム酸で格段に咳も減りました。ものすごく失敗したのが「鼻水も止めてください!」と主張し忘れたことで、鼻水はその後もずびずびしたままでしたが、咳が軽くなると本当にメンタルがラク。あとはもう寝て治すだけだな、と思ったのですが。
問題は家族でした。実はこの時点で、夫と娘はレアなことに一度もコロナに感染したことがない人たちでした。2年前、私が「2類指定の最後の週」に感染した際は、徹底的に隔離したおかげで家族に移さずに済んでいたのです。
しかし今回はコロナだとは疑わなかったせいで無隔離のまま過ごし、「コロナだった!」と慌てた土曜には2人ともすでに咳をし始めていました。家にあったコロナ検査キットを使ったところ2人とも陽性。火曜まで隔離の私に加えて、2人は木曜まで欠席・欠勤になりました。
ですが、幸いなことに家族は極めて軽い症状で推移し、咳が少し出た程度で、熱もあがらないままでした。逆にいえばこれが「ニンバスじゃないほう」の株が持つ最大の問題点で、症状がいまひとつ明確ではないので「まさかコロナではないだろう」と感染を広げてしまいかねないのです。やはりこの時期、咳や熱が出るなら「インフルエンザかコロナ」と考えて、初手から自主隔離を徹底するべきだったなと反省しています。
これ以降はもう治っていく過程だったのですが、しかしさすがはコロナ、予後はあんまりよくありません。
日曜 もうほとんど治った感しかなく、特筆すべきこともありません。ただし木曜から継続的に汗はものすごいことかきます。電気敷毛布で布団を熱くしておき、汗をがんがんかいてはパジャマとシーツを交換し続ける、洗うのもなかなかしんどいけれど頑張って洗うという感じでした。
月曜 引き続き寝て治そうとしますが、あまりに寝すぎて腰が痛くなってしまいました。
火曜 たまりにたまった仕事をしようと起き上がったのですが、とにかく身体がしんどく、急ぐメールをひととおり返信して、あとは治ってからにしようとまた寝ました。
水曜 火曜の反動で倒れてしまい(もともと倒れてますが)終日寝込むことに。
木曜 本来は火曜いっぱいで隔離は終了ですから、もうとっくに仕事に戻っていいのですが、倦怠感が強くてとてもじゃないが仕事どころではありません。
金曜 この日も結局は欠勤に。咳が思い出したように出るほかはほとんど何もないけれど、とにかく起き上がって仕事をすることそのものが無理でした。
症状が軽かった割に「あとは延々とだるさが続く」。やっぱり普通の風邪とは一線を画す
土日から次の土日まで在宅勤務にしました。咳はまだまだ出ているため、誰かに移さないためというのもありますが、それ以前に「だるくて外に出たくない」。また、少しでも体に負荷をかけるとコロナ後遺症になりかねないという体感もあったため、低カロリーな作業だけこなすことに。結果的にその後3週間以上も「ずっと病後」の状態が続いており、きっと本調子になるのは12月に入ってからだなという感覚です。
振り返ると、本当にコロナの症状そのものはごく軽く経過しました。いやいや咳は酷かったし、鼻水も酷かったのですが、それにしても過去のインフルエンザを思えば相当軽いものです。また、繰り返しますがニンバスで例えらた「喉を切り裂くような痛み」は全くありませんでした。すべてが軽いためコロナだとはまったく考えず、結果周囲に広げてしまいました。移した先の家族に至ってはほとんど無症状でしたから、彼らが感染に気付かず過ごして、そのまま通勤通学を続ける可能性もありました。
ということは、たぶん私も「ほとんど症状の出ていない、感染に気付いていない誰か」から電車内などで移ったのかなとも感じます。やっぱりコロナは「ただの風邪」では全くない、もっと複雑な感染症だなと感じました。
この「普通じゃなさ」は、たまたまトラッキングしていたスマートウォッチのデータでも明らかでした。関連記事では「数値上明らかになったコロナと普通の風邪との違い」をお知らせします。
つづき>>>実際にコロナにり患してみたら、データは明らかに「普通の風邪ではない」と示していた。その驚くべき内容とは




