
こんにちは、再春館製薬所の田野岡亮太です。
2025年の小雪(しょうせつ)は11月22日から12月6日。暦の上では冬の始まりです。
1年に二十四めぐる「節気」のありさまと養生について、ここ熊本からメッセージをお送りします。
【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】
今年の季節のめぐりはまた「例年とは全く違う」感じですね!

小雪とは、冬本番にはまだ及ばないけれど、山には雪が降り始めるころで、時折ぽかぽか陽気につつまれる日もある暦です。山には雪が降り積もりますが、平地はまだまだという感じです。
ここ熊本は「南国」のイメージを持っていただくことが多いのですが、冬には多少雪が降ることもあります。例年、年が明けてから降る日があるかどうかですが、12月半ばに降る時はうっすら雪が降りる…みたいな感じです。太陽が昇ると雪も消えてしまいますが、世の中が少し白く見えた日になります。寒気が山陰地方まで降りてくる予報があると、その寒気の足が少しだけ熊本まで伸びた時に見られる光景です。
近年は、一段と秋が短いように感じられます。夏に向かう時の「暑熱順化(しょねつじゅんか)」はよく聞くようになりましたが、冬に向かう際の「寒冷順化」という言葉も耳にするようになりました。寒気が一気に訪れてしまうと、身体が寒さを迎える準備が難しくなってしまいます。秋の期間が短くて寒さ対策の準備が大変ですが、インフルエンザの知らせが少しでも少なくなることを祈るばかりです。
写真は昨年の12月初旬の再春館ヒルトップです。熊本での紅葉の見頃は、例年11月末~12月前半です。インフルエンザが流行し始める頃ですが、罹患することなく、紅葉を楽しめるような初冬に出来るように、“旬の食材”を活用しながら体調管理に気遣いたいですね。
寒い季節に活躍したい「腎」。冷えやすいからケアしてあげて
寒くなって来たこの季節にケアの意識を高めてあげたいのは「腎」の機能です。腎の機能は、精(エネルギー)を貯蔵すること、津液(しんえき:身体の水分)のめぐりを担っています。また、肺との共同作業で呼吸に関わっていて、この働きを「納気(のうき)」と言います。
腎の機能は、腎臓だけではなく腎臓・膀胱・尿道・子宮・卵巣…と、腰のあたりに位置しており、水を扱うので「冷えやすい」という性質があります。寒さがやってくると、腎の機能では2つのことが起きています。1つ目は「封蔵(ふうぞう)」。寒さを越えて来年の温かい春が来た時に、身体の他の臓腑が働けるように精(エネルギー)を蓄える働きです。来春のエネルギーなので、腎の機能は寒さが到来すると働きたくなります。もう1つは、腎の機能は「冷えやすい」という性質です。冷たい床に体育座りをしているとお尻から冷気が当たる感覚です。腎の機能は「水を扱う」ので冷えやすいという特徴があります。冬に活躍したいのに寒さに弱い。なので、冬は腎の機能を温めることを気にかけていただきたいです。
では、身体のどこを温めると良いのか。おへその少し下で身体の少し奥に位置する“丹田(たんでん)”という、とてつもなく大きなツボです。身体のパワースポットでもあるので、ここを意識して温めていただけると腎の機能が喜びます。
冬の温活では、毛糸のパンツや腹巻がおすすめされますが、どちらも丹田の熱を逃がさないためのものなので、理にかなっています。最近は「腹巻とつながった毛糸のパンツ」が売られているようです。理想的ですね。カイロでおなかを温めるのであれば、身体の表(おへその下)と身体の後ろ(腰)から温めることをおススメします。
「食べる湯たんぽ」として2つの食べ物をご紹介します! スープに加えて、まずは「クコ入りたまご焼き」
冷えやすい腎の機能を食べるもので温めるのであれば、“おなかの湯たんぽ”としてレシピづくりを行った再春館製薬所のLASIKUシリーズ「体においしい 薬膳スープ粥」をおススメします。メインは“温かいスープ”なのですが、お米・雑穀・野菜などの具材が入っているので、消化するための胃の中にとどまる時間が長くなります。その分、おなかの中から身体を温めてくれます。なお、私たち再春館製薬所の製品は、地元・熊本県益城町のふるさと納税の返礼品にも採用されています。ご興味がある方はぜひ。一例) https://furunavi.jp/product_detail.aspx?pid=1096595
さて、腎の働きそのものに働きかける食材としておススメなのが“クコ”。クコは腎の機能が蓄える「腎精(じんせい)」を補う働きをしてくれます。その他に“腎の機能にうれしい食材”でおススメなのは、たまご、帆立、豚肉、ブロッコリーなどが挙がります。
これらの“腎の機能にうれしい食材”を使ったおススメレシピの1つ目は「クコ入りたまご焼き」です。最近スーパーでも少しずつ目にすることが出来る店舗も増えてきた“クコ”。寒さと乾燥が気になるこの時季に手に取っていただきたいと思ってレシピにしてみました。

作り方は、まずクコ(大さじ1)を水に浸して柔らかく戻し、ベビー帆立(3個)を粗みじん切りにします。アスパラガス(2本)は中央から下部分の皮をピーラーでむき、湯がいた後にたまご焼き器の幅に長さを合わせて切ります。
ボウルにたまご(3個)を入れて、クコ・ベビー帆立・薄口しょうゆ(小さじ1)・みりん(小さじ2)を加えて混ぜ合わせます。
たまご焼き器にごま油をひいて溶きたまごを流し入れ、アスパラガスを中心に置いて、弱~中火で加熱しながら巻いていきます。器に盛りつけて、アスパラガスの穂先を添えたら出来上がりです。
見た目が“レーズン”のような乾燥果実のクコは「肺を潤わせて腎の機能を助ける」働きが期待できます。一緒に合わせたたまごは「身体に血と潤いを補って腎の機能を整える」働きが期待でき、たまご焼きの味に深みをもたらすベビー帆立は「身体に潤いを補って腎の機能を助ける」働きが期待できます。
クコ・たまご・ベビー帆立は、どれも「潤いを補う」「腎の機能を助ける」の働きを備えていますので、冷えと乾燥が気になるこれからの時季の身体にはとても嬉しい食材トリオです。それと、たまご焼きの中心のアスパラガスは「身体に潤いを補ってめぐり促す」働きが期待できます。クコ・たまご・ベビー帆立が補ってくれた身体の潤いがスムーズにめぐってくれるようにと願って組み合わせたレシピです。
豚ブロッコリーのあっさりスープは「腎を筆頭に肺も身体も助ける」オールスター!

2つ目も腎の機能を補うレシピとして「豚ブロッコリーのあっさりスープ」を紹介します。消費量が多いため国民生活に重要とされ、農林水産省が定める「指定野菜」の仲間入りをしたブロッコリー。栄養学的に様々な効能を持ちますが、中医学の視点で見ても“腎”の機能を助ける働きがあります。そんなブロッコリーを摂り入れる一つの方法としてレシピにしてみました。
作り方は、まず具材の準備をします。豚小間切れ肉(100g)に薄口しょうゆ(大さじ1)・酒(大さじ2)・すりおろし生姜(大さじ2)・塩こしょう(少量)を加えて下味をつけ、片栗粉をまぶして1つずつ丸めます。ブロッコリーは食べやすい大きさに切り分けます。
次にスープ作りです。生姜(1片)・ねぎ(1/2本)を薄切りに、にんにく(1片)をみじん切りにします。鍋にお湯(800ml)を沸かし、ブロッコリー・生姜・ねぎ・にんにく・クコ(10個)・塩(小さじ2)を入れて5分加熱した後、豚小間切れ肉を入れて3分ほど加熱したら出来上がりです。
ブロッコリーは「腎の働きを助けて身体を強く健康にする」働きが期待できます。一緒に合わせた豚肉は「身体に気・血・潤いを補って腎の機能を助ける」働きがあり、身体を構成する「気・血・津液(しんえき:潤い)」のすべてを補いながら、ブロッコリーと一緒に“腎”の機能を助けてくれるのでおススメの組合せです。生姜は「体表の毛穴を開いて肺を温め、咳を鎮める」働きが、ねぎは「体表の毛穴を開いて、気をめぐらせて食欲を促す」働きが、にんにくは「体表の毛穴を開いて、身体を温めて咳を鎮める」働きが期待できます。
スープのあっさりとした味として組み合わせた生姜・ねぎ・にんにくは“肺に働きかける温食材”トリオですので、これから寒さが深くなり始める時季にはピッタリと思い、おススメレシピにしてみました。そして、先ほども紹介させていただいたクコは「肺を潤わせて腎の機能を助ける」働きが期待できます。「腎を筆頭に肺も身体も助ける」働きをする登場人物が奏でるスープ&具材のハーモニーを、小雪の時季にこそ届けたいという想いでレシピにしてみました。
秋が比較的短く、寒い冬が急にやってきました。腎の機能が来春を見据えて活動し始めているので、是非“腎の機能”に気遣っていただければと思います。
連載中の「田野岡メソッド」が書籍になりました!
「身近にある旬の食べ物が、いちばんのご自愛です!」 田野岡メソッド連載で繰り返し語られるこのメッセージが、1冊の書籍にまとまりました。近所のスーパーで手に入る身近な食材を使い、更年期をはじめとする女性の不調を軽減する「薬膳」を日常化しませんか?
日本の漢方では「その症状に処方する漢方薬」が機械的に決められていますが、本来の中医学では症状と原因は人それぞれと捉えます。それに合わせた効果的な食事を「薬膳」とし、食で養生するのが基本なのです。
田野岡メソッドに触れると、スーパーの棚が「薬効の宝庫」に見えてきますよ!




