【大学受験】医学部受験の開始時期、理想と現実に1年のギャップ…合格者133名調査

　池袋理数セミナーは、医学部進学者および医学部志望の在籍生を対象に、「医学部受験勉強を始めた時期」と「理想と考える開始時期」に関するインターネットによる自記式アンケート調査を実施した。その結果、約5割が「高1から始めるのが理想」と回答した一方で、実際には約3割が高2春～夏から開始していることが明らかになった。

　調査は、医学部進学者および医学部志望の在籍生と医学部進学者を対象にインターネットによる自記式アンケートを行い、133名の有効回答を得た。調査期間は、卒業生が2022年10月18日～2025年4月13日、在籍生が2025年4月8日～2025年8月12日。

　「医学部受験対策を開始するのに最適な時期はいつだと思うか」という質問に対し、もっとも多かった回答は「高校1年生」で、全体の49.6%と約半数を占めた。ついで「高校2年生春～夏」が35.9%となり、高校2年生の夏までには始めるべきだと考えている生徒が全体の約85%にものぼる結果となった。このことから、医学部という最難関の受験を突破した、あるいは目指している生徒たちは、早期からの対策が合格の鍵を握ると強く認識していることがうかがえる。

　一方で、「受験勉強を始めた時期はいつか」という質問では、もっとも多かった回答が「高校2年生春～夏」で31.1%、ついで「中学生」が23.0%という結果になった。理想の開始時期としてもっとも多かった「高校1年生」から実際に始めた生徒は16.4%に留まり、「高校2年生」から開始した生徒は合計で47.5%と約半数を占めている。理想と考える時期よりも1年近く遅れてスタートしている実態が浮き彫りとなり、多くの受験生が「もっと早く始めるべきだった」と感じながら、厳しい受験勉強に臨んでいたと推察される。

　今回の調査で注目すべきは、実際に23.0%の生徒が「中学生」の段階で受験勉強を開始している点である。これは、実際に「高校1年生」から始めた層（16.4%）よりも高い割合である。医学部合格という明確な目標を持つ家庭や生徒は、中学時代から高校の学習内容を先取りするなど、非常に早い段階から戦略的に対策を進めていることがわかる。

　しかし、さらに興味深いのは、実際に中学生から始めた生徒が多いにもかかわらず、「中学生からが理想」と答えたのはわずか9.9%であったという事実である。この一見矛盾した結果からは、早期学習の経験者だからこそ見えた「現実」が読み取れる。中学生からのスタートは、長期間にわたる学習へのモチベーション維持の難しさや精神的負担、学校生活との両立の困難さを伴う可能性がある。経験者たちはその厳しさを実感したからこそ、「本格的な受験勉強は、目的意識がより明確になる高校1年生から始めるのが、精神的にも学習効率的にももっともバランスが取れている」と考えているのではないだろうか。

　さらに考察すると、「中学生のうちに始める」という選択には、本人の意識だけでなく、家庭、特に親の教育意識の高さが大きく影響していると考えられる。多くの場合、受験準備の主導権は親にあり、生徒自身は「親に言われて始めた」ケースも少なくない。そのため、当時の生徒が医学部合格後に「高1からでもよかった」と感じる一方で、親の立場から見れば「中学から始めておいて良かった」という安心感を得ている可能性もある。

　つまり、「中学からの早期スタート」は、親世代の意識の高さと、生徒自身の経験的実感とのギャップを映し出しているとも言えるだろう。結果として、「高校1年生」という回答は、単なる早期スタート推奨ではなく、厳しい受験勉強を経験している生徒本人の目線から見て「最適なスタート地点」になるのではないかと考えられる。

　今回の調査では、医学部合格者・志望者が考える「理想の開始時期」と「実際の開始時期」に大きな隔たりがあることが明らかになった。多くの生徒が「高校1年生」からのスタートを理想としながらも、実際には「高校2年生」から始めているという現実は、医学部受験の厳しさと早期対策の重要性を物語っている。