
パラレルキャリア、リスキリング、副業、独立…働き方が多様化するなかで、将来が不安になり勉強したり資格を取ったりするものの、自信が持てずに結局行動できない――そんな状態が続いていませんか?
こうした事態について、キャリアコンサルタントで「朝活の第一人者」である池田千恵氏は、「いまの時代、大切なのはインプットよりアウトプット」だと指摘します。
本記事では、池田氏がアウトプットの重要性と方法をまとめた著書から、「インプット沼」にはまる危険性と、学びを自分の力に変えるための「アウトプット」の考え方を紹介します。
※本記事は書籍『朝15分からできる! 人生が変わる! 週末アウトプット』(池田千恵:著/日本実業出版社)から一部抜粋・編集したものです
学びすぎは、視野を狭くする
勉強を続けすぎると「これ知ってる」「あれ知ってる」が多くなりますが、知っているのとできるのは全くの別モノです。
知識が多すぎると人のあら探し、自分のあら探し(もっともっと頑張らないとダメだ)ばかりになり、軽やかに行動することができなくなります。誰もが最初は初心者です。初心者の気づきを忘れたまま専門知識だけ持っている人なんて、ただの感じが悪い人です。
上流気取りで通ぶるような人たちをスノッブ(snob)ということがありますよね。知識を得れば得るほど、上から目線になってしまいがちな人がたまにいます。たとえば私が見てきた人の例で言えば、ワインを知り始め、フランスのブルゴーニュやボルドー地方などの高級なワインにはまると、コンビニでも買えるようなワインを少しバカにし、ワインに氷を入れて飲む人をかわいそうという目で見たりすることも……。
インプットのための勉強をしすぎると、知ることでかえって偏見にとらわれ、マニアックになりすぎて周りの意見を聞けなくなってしまう危険性があります。
知識を積み重ねること自体を否定はしません。しかし、学べば学ぶほど、そもそも何のために勉強し始めたのかを忘れ、知識の習得にだけ走ってしまう危険性もあるのです。学び始めたころの新鮮な驚きがなくなることで、普通の人の感覚と少しずれてきてしまうのかもしれません。
また、勉強が好きな人は資格を取るのも好きですが、「私にはこれを名乗る資格があるんだろうか」と不安に思う勉強熱心な方を狙い、「この資格を得ればあなたも稼げますよ」と伝えて取得を促す「資格ビジネス」にも搾取されないようにしましょう。
「資格ビジネス」にはまると、「次はこの上位資格」といったように勉強すること自体が目的になり、資格を何個取ってもゴールが見えない不安にさいなまれます。資格は本来、誰かに認定されて得るものではなく、動きながら自覚を持って得るものです。
▶SNSで突っかかりそうになったら、思考停止のサインかも⁉
借り物の言葉は思考を薄くする
また、インプットばかりしていることのデメリットはもうひとつ、インプットされた言葉が自分の言葉と同化してしまい、誰かがどこかですでに語った、借り物の言葉しか出てこなくなることです。特にいまはPCやスマホから名言をコピペするのが簡単な分、自分で言ったことなのか、誰かが言ったことなのかの境目も曖昧になってしまっています。
あなたも心当たりがあるのではないでしょうか。ネットで「なるほど」と思った言葉を、さも自分で思いついたかのように誰かに言ったことってありますよね?(私もありますけどね)。自分がドヤ顔で名言を言い出したとき、あたかも自分で考えているようでいて、実は何も考えていないのです。
たとえばSNSなどを見ていて
「それ知ってる」
「誰々が言っていたあの話だよね」
「そんなの当たり前」
「みんな知っていることを、何えらそうに言ってるの?」
と、いちいち突っかかりそうになったときは気をつけてください。
インプットしすぎていて、「知っている」と思い込んでいるだけなのです。知りすぎているわりに、実践が足りないのです。「ヤバ! 自分の頭で考えていないかも」とドキッとしたときがチャンスです。ドキッとするということはまだ挽回の余地があります。
「知ってる」「聞いたことがある」を超えて、自分はどう感じたか、どう行動するかを考えてみよう、と思えたときが変化のタイミングです。
インプット沼の住人だったからわかる「私なんてまだまだ病」
こうやって偉そうなことをどうして言えるかというと、私自身がインプットばかりしていたからです。
私は以前、資料作成の仕事をしていました。パワーポイントで資料をキレイに作り直す仕事で、同じ部署の人は全員、当然のようにできていました。だから会社員のときは、私のパワポ作成能力なんて、全然大したことないなと思っていました。作成スピードもいまいちだし、ミスタイプもするし、コミュニケーションも下手だし、みんなすごすぎる! と思っていたのです。
ですが、いざ会社から出て、ほかの人の資料作成の手伝いをしてみると「すごい」「なんでこんなことができるの?」などと褒められたのです。いままで「こんなこと、誰でもできるよ」と思っていた資料作成能力が、違う場所に行ったことで価値になったのです。
また、私は『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』(マガジンハウス)という本を2009年に上梓し、おかげ様でベストセラーになりましたが、まさか私が「朝4時起き」の本を出すなんて、夢にも思っていませんでした。
なぜなら、私にとって「朝4時起き」は普通すぎて、誰に言うまでもないことだったからです。過去には「朝2時起き」をするというタイトルでベストセラーになった本があり、「2時に比べたら4時なんて大したことない」と思っていたし、睡眠の専門家でも、お医者さんでもない、ただの会社員の私の話なんて誰も聞いてくれないと思っていました。
また、朝早起きしていても、別に大したことをしていないし、こんな内容が本になるわけがないと思っていました。でも、そんな話を、私のことをあまり知らない「アウェイ」な環境で話したところ、「おもしろい!」と反応をもらい、出版につながりました。
この話からお伝えしたいのは、「あなたの普通は誰かのすごい」ということです。誰もがみんな、自分にとって当たり前にできること、簡単にできること、工夫してできるようになったことを「大したことがない」と軽視しがちです。
皆さんが普通に日々やっていること、会社の中で当たり前のように続けていること、趣味でずっと続けていることで「普通すぎて言うまでもない」と思っているものはありませんか? それこそ、アウトプットがまだ足りていない、アウトプットしてほしいことです。
アウトプットしたとたん、新たに価値を感じてもらえることが、必ずあるはずです。「いやいや、こんなの大したことないです!」と自分が勝手に判断しないようにしましょう。価値を判断するのは自分ではなく、相手です。
自分がどうでもいい、価値なんてない、と思い込んでいることに、すごい才能が隠れている場合がたくさんあるのです。でも、これは、アウトプットしないと誰にも見つけてもらえないのです。
周囲に少しでも「すごい」「どうやってるの?」「教えて!」と好意的な反応をもらったら、別にそれを極めよう、と思わなくてもいいので、気軽に伝える練習をしてみましょう。アウトプットしないと、せっかくの宝物が永遠に埋もれて、誰にも気づかれないままになってしまいます。ほんの少しの勇気を持って、“自分らしさ”を出していく。そこからがスタートです。
ここまでの記事では主に、「インプット沼にはまる危険性」についてご紹介しました。つづく関連記事では、「自分らしさを活かすアウトプットの考え方」をお届けします。
つづき>>「私はそんなんじゃない!」他人から「真面目そうだよね」と言われモヤモヤ…どう対処すればいい?
■著者略歴:池田 千恵(いけだ・ちえ)
株式会社朝6時 代表取締役。国家資格キャリアコンサルタント。福島県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、ワタミ株式会社、ボストン コンサルティング グループを経て独立。2009年に『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』(マガジンハウス)を刊行。ベストセラーとなり「朝活の第一人者」と呼ばれるようになる。会社員時代には趣味の飲食にまつわる資格を7つ取得。会社の許可を得た「週末起業」でパンやワイン、チーズの知識を教える先生としても活動。2010年より朝専用手帳『朝活手帳』をプロデュース。15年連続発売の人気手帳となる。2018年より、会社員が自分オリジナルのコンテンツを「教える」ことで本業+アルファの収入を得られる状態を目指すスクール「朝キャリ」を運営。のべ400名を超えるキャリア相談、アウトプット指導をしている。近著は『週末朝活』(三笠書房)、『ME TIME 自分を後回しにしない「私時間」のつくり方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)プライベートでは小学生の母。



