ギリシャ破綻とイタリア危機【後半】
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近い将来に日本でも同じ呼びかけが国民に…と嫌な予感がするのである。これは「ユーロ体制の崩壊の始まり」かもしれない。
ギリシャのパパンドレウ首相は10月31日、アテネで開かれた与党「全ギリシャ社会主義運動」の議員会合で、ユーロ圏首脳会議が27日にブリュッセルで合意した新たなギリシャ支援策の受け入れの可否について、国民投票で問う考えを表明した。
政権基盤が盤石ではない中、国民の信任で財政再建をスムーズに進める狙いとみられるが、世論調査では支援策への賛成は少数派。投票で支援策が白紙に戻ることになれば、金融不安がさらに拡大する恐れがあり、市場への打撃は必至だ。ユーロ圏内の結束にも影響を与えかねない。
現地報道によると、首相は「我々は国民の判断を信じる。数週間以内に新たな支援融資の契約が決まる。その受諾の可否を決めねばならない」と語った。国民投票の実施について、ベニゼロス財務相は「おそらく来年早々になる」とも。
ギリシャの金融危機を発端とする「EUの金融危機」はGPPI(ギリシャ・ポルトガル・スパイン・イタリア)危機とも言われ、EU当局の対応が全て後手で、大きな危機になりつつある。先日には、ついに1ユーロが100円を切った。 一時は1ユーロ/130円台だったからユーロは3割下落した事になる。反動での「円高&株安」が「輸出依存の日本企業」を直撃している。
この危機を脱するには「債務国の財政を健全化する」しかないが、各国の財政政策はその国独自のものであり、世界的には手出しが難しいのである。IMFなどの国際的な専門機関は、早い時期からこの危機を訴えていたが、誇り高い欧州諸国は「ユーロと言うEU内の家庭の不始末に、外から小言を言われる筋合いはない。事態は家庭内で決着できる」と言い張り、会議をしている間にこの体だ。まさに「会議は踊る」で第一次世界大戦に突入したと言う、おなじみの図式である。
過日TVニュースをみていたら「ギリシャ各地で政府の緊縮財政と公務員の削減・給与ダウンに反対の抗議行動が」と言う映像が流れた。ギリシャは人口1200万人余、人口数で見れば「世界で70位以下」の小国であり、基幹産業は観光、国民の過半が公務員、悪く言えば「勤労意欲は低く、納税意識も低く」のお国柄である。
ギリシャ国民に対しては「借金の返すために汗を流す・我慢すると言う発想が無い」という意見も多い。とにかく「今日が良ければ…」と言う風潮に世界は呆れている状態だ。そんな国なら「デフォルト=破産」させたほうが世界経済のためと思うが、ギリシャを良く知る記者は「ギリシャはヨーロッパ文明の発祥の地である。ヨーロッパ人のDNAの中にはギリシャへの畏敬の念がある。ギリシャにはむごい仕打ちは出来ないのである」と言う。
なんとなく判る話である。とにかく「ユーロ発の世界恐慌」は勘弁して欲しいが、嫌な予感はなくならない。
[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》