可憐な笑顔の奥の「努力」 | NewsCafe

可憐な笑顔の奥の「努力」

スポーツ ニュース
「私たちは、もう一度世界一になるためにやっているので、ワールドカップのことはいい意味で忘れています」
今年2月末から行われた、アルガルベ杯で川澄奈穂美は現在の心境を語った。

川澄奈穂美は、ストイックな選手である。キュートなルックスからは想像もつかないが、何事にも真摯に取り組む姿勢には驚かされてばかりだ。

今季代表初始動となる、2月初旬の和歌山合宿の初日。体力テストが行われ、主に持久力を測る走力テストでは、スタミナに自信を持つ選手が集まる。そんななか、彼女はなでしこジャパンダントツの1位だった。2日前にINAC神戸のポルトガル遠征から帰国したばかりだというのに、涼しい顔で最後まで走りきった。

157cmの小さな体で世界と伍していくために……。そんなことを、日々考えながらトレーニングを積む。「小さくてスピードのある選手は、大柄な外国の選手は嫌だと思うから」と、誰よりも遅くまでグラウンドに残る。

昨年のドイツ女子W杯準決勝、大会初スタメンとなるスウェーデン戦で2ゴールを奪い、一躍スターダムにのし上がった。自身2点目の美しいループシュートは皆さんの記憶にも残っていることだろう。だが、「実はシュートが得意じゃないんです」と、本人は苦笑い。1点目の、ゴール前で大柄な相手に潰されながらも、ボールを叩き込んだ得点のほうが、"らしい"というのだ。仲間を信じてゴールに向かい、泥臭くても1点を取る、それが川澄らしいという。

一方、周囲の人への気配りも相当なものだ。チームメイトが誕生日であれば、前日にケーキを焼き、翌朝デコレーションをして、なでしこリーグの試合後にバースデーソングを歌いながら祝う、粋なサプライズを演出する。日体大の後輩である、なでしこジャパン候補の有吉佐織が前十字靭帯損傷の大ケガを負ったときも、ダンボール一杯に「私も同じケガをしたことがあるから」とトレーニンググッズや「買い物にも行けないだろうから」と食料を送る優しさをみせる。その中には、手作りの本もあった。同じケガで1年間サッカーができなかった辛さを川澄自信も味わったことから、リハビリに向けた励ましの言葉とかわいいイラストで構成されていた。

CMやテレビのバラエティー番組で彼女を目にする機会が増えた今でも、それは変わらない。世間では"川澄ちゃん"なんて呼ばれていても…。
忙しい中取材を受けたあとに、記者へ直筆の礼状を送ってくれる。一社会人としても尊敬すべき女性だなと思う。

川澄は「興味があることしか、一生懸命やらないんですよ」と、屈託なく笑い、キラリと白い歯をこぼす。
そんな彼女が一番興味のあることは、「オリンピックで金メダルを獲ること」。

今年8月9日、ロンドンのウエンブリースタジアムで、ストイックな彼女の胸に金メダルが輝いているだろう。

[女子サッカーライター・砂坂美紀/ツイッター http://twitter.com/sunasaka1]

《NewsCafeコラム》

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