18名は"ベストメンバー"

7月2日、なでしこジャパンの五輪代表メンバーが発表された。
まずは、18人の選出メンバーを再確認しておこう。

GK:福元美穂(岡山湯郷)、海堀あゆみ(I神戸)
DF:近賀ゆかり(I神戸)、矢野喬子(浦和L)、岩清水梓(ベレーザ)、鮫島彩(移籍手続き中)、熊谷紗希(フランクフルト)
MF:澤穂希(I神戸)、宮間あや(岡山湯郷)、川澄奈穂美(I神戸)、阪口夢穂(ベレーザ)、田中明日菜(I神戸)
FW:安藤梢(デュイスブルク)、丸山桂里奈(大阪高槻)、大野忍(I神戸)、大儀見(旧姓:永里)優季(ポツダム)、高瀬愛実(I神戸)、岩渕真奈(ベレーザ)

GK2人、DF5人、MF5人、FW6人。

「DFの人数が少ないのでは?」
そう思った方も多いだろう。

なでしこジャパンの基本的なフォーメーションは4-4-2。ディフェンスラインの4人、近賀・岩清水・熊谷、鮫島のレギュラー陣は不動である。その控えとしては、サイドバックとセンターバックの両方ができる矢野、センターバックとボランチをこなせるMF田中の2人のみだ。

運動量を必要とされるサイドバックの交代要員が1人しかいない。となると、万が一ケガ人が出た場合などの対処に困りはしないのだろうか。
佐々木則夫監督は「矢野が左サイドバック、岩清水は右サイドバックができる。(バックアップメンバーの)有吉がいれば両サイドができる」と、バックアップの有吉を含めて、対応するとしている。

なぜ、佐々木監督は、この18名を選んだのだろうか。そこにもう一度、話を戻したい。
「"攻守でアクション"するという、我々のサッカーを熟知しつつ、そして一人一人のポテンシャルを五輪で実践してくれるという期待をもった選手。そして、五輪だけでなくその先を見据えた中で選考させていただきました」

W杯の21名から3名も少ない五輪メンバーの選考理由を、指揮官はこう語った。
"一人一人のポテンシャル"ここにキーポイントがある。
当然だが、ポテンシャルの落ちる選手は連れて行けないということだろう。

昨年9月のロンドン五輪アジア最終予選で、このことを痛感させられている。
1試合目のタイ戦では、格下相手ということもあり、サブ組中心のメンバーで臨んだ。しかし、思いの外苦戦し、前半を0-0で折り返した。たまらず、後半から宮間を投入してなんとかボールが繋がるようになったが、前線でボールが納まらなかった。監督は「後半15分までに得点が入らなければ澤を入れようと思っていた」というほど追い詰められていた。交代のカードに手をかけた、後半16分に川澄がゴールを挙げて事なきを得たが、サブ組ではアジアの格下相手にも通用しないという事実が重くのしかかった。

この経験から、"選手のバランスだけを気にして、通用しない選手を連れて行っても意味がない"佐々木監督はそう思ったはずだ。

五輪という女子サッカー最高の舞台では、ミスは許されない。
そういったことを考えれば、先ほど述べたDFが少ないことも説明がつく。FWが6名と多いのも、使える選手がアタッカー陣にはいるということだ。もちろん、守備的な選手が疲労が溜まるという、リスクは承知の上でのことであろう。

そう、五輪代表の18名は現時点の"ベストメンバー"なのである。

今大会の目標である金メダルを獲得するために、戦わなければならない試合は全6試合ある。どのタイミングで、どの選手を起用するのか。テレビの前で、皆さんも予想しながら、なでしこの戦いを見届けていただければと思う。

[女子サッカーライター・砂坂美紀/ツイッター http://twitter.com/sunasaka1]