関塚ジャパン、勝利の新方式 | NewsCafe

関塚ジャパン、勝利の新方式

スポーツ ニュース
なでしこジャパンの女子W杯優勝、香川のマンUへの移籍などこのところ日本サッカーは世界への驚愕の発信が続いている。
さらに新たな驚愕がつけ加えられた。ロンドン五輪サッカー男子一次リーグD組初戦スペインとの対戦で1-0で勝利。早速メディアは「グラスゴーの奇跡」と報じた。しかし96年の「マイアミの奇跡」とはかなり様子が違う。

日本はもちろんスペイン、英国などのスポーツ専門紙をはじめメディアが日本の快挙を賞賛した。中でもサッカー本家のFIFA.comが「衝撃を与えた。ロンドン五輪で最大の番狂わせを演じた」とレポート。立ち上がりから日本は自分たちの持っている力以上のものを発揮したと戦いぶりを賞賛した。確かに先のEURO2012で優勝しこれで2008EURO、2010南ア五輪とビッグ大会を3連覇したスペイン。今回のメンバーにもマタやアルマなどの代表レギュラーが加わり、ロンドン優勝の最右翼と言われた。それに対して日本チームの評価は比べ物にならなかった。五輪壮行試合の日本でのニュージーランド戦では終了間際に同点ゴールを入れられる。スタジアムからは出陣選手にブーイングが起こる始末だった。その後五輪直前の親善試合でベラルーシ、メキシコに2連勝したが、五輪への期待は高くなかった。しかし前半34分。扇原からのCKはファーサイドに。飛び込んだ大津がゴール。これが決勝点になった。

優勝候補のスペインは慎重に試合に入ってきた。パスを面白いように繋ぎ、チャンスを伺っていた。その戦術を狂わせたのは、永井に代表される日本の走力だった。マンUのGKでもあるデヘアやCBに執拗にプレスをかける。それに清武、大津、東らが加わる。SBアルバがイエローをもらい、34分のCKも日本のスピードで得たもの。さらに得点後の41分にはCBマルティネスがゴールに駆け込んでくる永井を倒しレッドカード。日本優勢はこの時点で決まった。後半はより攻撃的になり高いディフェンスをしくスペインに対して、その裏にできるスペースにボールを蹴りこんでサイドに永井を走らせる。薄くなった中央へ清武らが駆け上がるカウンター。得点こそ決められなかったが、試合を支配していた。積極的なプレスが、スペインサッカーを混乱させた。

試合だからどんな強豪も負けることはある。日本五輪代表も96年アトランタ五輪予選ではブラジルに勝ち、「マイアミの奇跡」と言われた。今回のスペイを破ったこと自体も確かに今の日本代表の力から言えば、大番狂わせだ。しかし世界が驚いたのは、常勝スペインのサッカーシステムを崩す弱点を日本が突き、混乱させたことだろう。永井を始め清武、東、大津ら本当に選手たちは献身的によく走り、吉田、徳永、山口らは規律よく守った。2日後のモロッコ戦でもそれは変わらなかった。攻めあぐね、押し込まれるシーンもあったが、最後は永井の突破からの決勝のゴール。それがシドニー以来の予選突破に繋がった。ツーロンでの惨敗から2か月。その惨敗から学び、全員にその守りの意識を浸透させ、新しい勝利の方式を組み立てた関塚監督手腕の勝利だろう。スペイン戦が奇跡と言われないためにも、決勝トーナメントでも大暴れしメダルを是非とも手にして欲しいものだ。

[ビハインド・ザ・ゲーム/スポーツライター・鳴門怜央]

《NewsCafeコラム》

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