【五輪解説】チャンスもピンチも作らない | NewsCafe

【五輪解説】チャンスもピンチも作らない

スポーツ ニュース
2戦連続のスコアレスドロー。
今ひとつスッキリしない。テレビで見ていて、そう思った方も多いだろう。

この日のスターティングメンバーは、GK海堀、DFは矢野、熊谷、岩清水、近賀、ボランチは宮間、田中、サイドハーフに岩渕、高瀬、2トップには丸山、安藤が入った。
これまで2戦のサブメンバー7人全員を起用する布陣となった。

開始早々からなでしこは主導権を握るものの、ボランチにボールをおさめさられず、リズムを掴めない。南アフリカの一瞬の動き出しが速く、中盤でボールを持った瞬間に素早く体を寄せられてボールを失ったり、不確実なパスを出してしまったりと、なかなか攻撃を組み立てることができなかったためだ。

ボランチがうまく機能しなかったかわりに、右サイドハーフに入った高瀬がうまく起点になっていた。12分、右サイドで高瀬がキープした後に速い横パスを出して、受けた丸山がワンタッチでタテにはたき、安藤がシュートしたシーンや、18分にも高瀬が右サイドから逆サイドに入れたクロスを安藤がヘディングで合わせた場面など、決定機を演出していた。

もともとトップの選手ながら、最近はサイドで起用されることも増えてきた高瀬。この試合では、機を見てサイドチェンジや自らドリブルで上がって仕掛ける巧さも披露。また、マッチアップする相手選手をスペースに走らせない、ボールのないところでの守備も光っていた。

また、この日もDF岩清水と熊谷を中心とした守備陣は終始安定感を見せていた。南アフリカはカウンターから、俊足FWモディセにボールを集めるが、ほとんど裏を取らせなかった。パスも読んで自由にボールを触らせず、スピードで競り負けても体を投げ出してボールカットし、シュートコースをふさいで決定的なシーンを最小限にとどめた。

試合途中から戦術的に、ドローを狙いに行ったなでしこジャパン。
意図的にポゼッション率を高めて、"チャンスもピンチも作らない"サッカーに徹した。
同じF組のもう1試合、スウェーデン対カナダの結果がどうなろうとも、なでしこはドローゲームであれば2位通過が確実だったからだ。

0-0で試合を終えて、複雑な表情を見せたなでしこジャパン。欲をいえば、格下の南アフリカ相手に快勝して、弾みをつけてから決勝トーナメントに入りたかっただろう。しかし、勝てばウエールズのカーディフから、スコットランドのグラスゴーへ大移動しなければならない。それだけは避けたかった。
「選手たちや日本のみなさんに申し訳ない」と、試合後に佐々木監督は頭を下げた。何と言われようとも、"選手たちのコンディションを最優先させたかった"という思いが言葉ににじむ。

中2日の厳しい戦いが続くオリンピックを戦い抜くために。なでしこが手に入れたものの大きさが今後わかるであろう。
次の相手は、ブラジルだ。前回大会の銀メダリストである。決して楽ではない試合になるだろうが、いつもより元気な姿でカーディフのピッチを駆け回ってくれるはずだ。

今度はスッキリとした戦いが見られるに違いない。

[女子サッカーライター・砂坂美紀/ツイッター http://twitter.com/sunasaka1]

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