真夏の悪夢「ウルトラ円高」
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お盆休みには海外旅行・ユーロが安いヨーロッパ方面がトレンドの様だ。昨年の「東日本大震災での我慢の反動」と言う見方もあるが、旅行各社が円高還元として出したロープライスの海外旅行が受けているのだと思う。
過去にも、円高になると海外旅行は定番だった。現地でのショッピングの楽しみが増えるからである。
同じ流れで行くと輸入産業や小売業が「円高差益で絶好調」のはずだが、景気が悪くて・所得も増えずでかつての勢いはない様である。
そんな中で顕著になりつつあるのが、企業の海外脱出。ここ数年企業サイドからは「これ以上円高が進めば工場を海外に移転しなければならなくなる」と脅し&哀願が続いていたが、いよいよそれが現実になりつつあるのである。
ドル・ユーロVs円は1ドル77~78円台・1ユーロ94~95円台と高止まり。多くの企業は1ドル80円・1ユーロ100円を為替レートにしているところが多いので、このウルトラ円高では巨額の為替差損が発生し大赤字になりかねない。このままでは輸出企業の「日本捨て」が加速しかねない。かつては、工場の海外移転はヒッソリと…といった傾向だったが、最近でははっきり発表するところが多い。これで株価が上がるのである。
ユダヤ人が考えた「為替レート」と言う仕組みにも問題があるが、今のウルトラ円高は資源を海外に頼る日本の原材料のコストダウンメリットを越えている。
もはや日本企業の海外脱出は止まらない。円高を利用した海外移転による生産が企業の基本的なトレンドになる。
経済評論家は『企業の海外脱出は国内の雇用喪失につながる。15才~24才の失業率は全体失業率の約5%を上回る約9%である。失業率は「働く意思がある人でカウントする」が「働く意欲をなくし就職活動をしない・生活保護で暮らす若者を失業者とカウントすると「実際の失業率は20%を越える」とも言われる。若者の50%が失業しているスペインやお隣の韓国の若者の失業率40%には届かないが、いずれは「日本の若者の雇用」は危機的状況になる』と暗いご宣託である。
間もなく政府は、日本経済再生計画なるものを発表するようだが、聞く範囲では「総論だけの絵に描いた餅」といわれている。
進行する少子高齢化・実際労働年齢者の減少・増え続ける高齢者への給付・企業の海外脱出による若者雇用の喪失・景気の悪化…とかんがえると、まさに「右肩下がりの日本経済に付ける薬は無い」と言ういやな感じがするのである。
早急に理由の無い・思惑的な円高の阻止に全力を尽くすべきと思うのである。
[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》