【五輪解説】メダルへの挑戦権を得たなでしこジャパン | NewsCafe

【五輪解説】メダルへの挑戦権を得たなでしこジャパン

スポーツ ニュース
きっちり守って、チャンスをものにする。なでしこ"らしい"勝ち方だった。

なでしこジャパン対ブラジルのコイントス後。宮間、マルタの両キャプテンは、じゃれあうようにハグをした。

この2人は3年前、アメリカのプロリーグ・WPSのロサンゼルス・ソルでチームメイトだった。わずか1年ではあったが、チームが用意したビバリーヒルズの宿舎でともに暮らした仲である。久々の再会は、勝てばメダルマッチ、負ければ帰国となる、真剣勝負の場となった。

そして、2人はそれぞれの円陣に加わると、厳しい表情でチームを鼓舞した。

最初のシュートを放ったのは、日本だった。開始1分、大野が左サイドからドリブルで仕掛けて、上げたクロスが相手DFに当たり、跳ね返ったボールを再び大野がシュートした。

"メダルマッチに絶対行く"全員の思いが、大野のひと蹴りに集約されていたかのようだった。

その後は何度もコーナーキックを取られる場面が続くも、高い集中力で跳ね返す。GK福元を中心として、声を掛け合ってそれぞれがそれぞれの相手をマークする。
さらに、波状攻撃で先制点を奪おうと攻撃の手を緩めないブラジルに対して、センターバックの岩清水と熊谷、サイドバックの近賀と鮫島が連携して自由にペナルティエリアへ容易に侵入させない。中央突破を許しそうになっても、ボランチの澤と阪口がしっかりとカバーに走ってガッチリとブラジルの強烈なアタッカー陣を封じた。

ブラジルのマルタ、クリスチアネら豪華攻撃陣も次第に苛立ちを隠せず、攻撃が単調になってきた試合中盤。日本がカウンターアタックを繰り返して、ついにペースを握り始める。27分、相手ディフェンスラインの裏に抜け出した大儀見が先制点を挙げる。

1-0と、日本リードで迎えた後半。ブラジルは明らかに焦っていた。決定力の高い絶対的エースのマルタをボランチの位置まで下げて、パスを配球させる役割に回したのだ。それでも、日本の守備は崩れなかった。前線の大儀見や大野を含めて、ボールのないところでもディフェンスに奔走し、ボールを奪うとすぐにカウンターを狙う意識は全員に浸透していた。

73分、左サイドで大儀見が送ったロングパスを、裏に走り込んだ大野がゴール前で受けてから相手をかわしてシュートを放ち追加点を奪う。突き放してもなお、なでしこジャパンは最後まで集中力を切らさずに戦った。

2-0で試合終了の笛を聞き、選手たちは喜びを爆発させる。その歓喜の輪の中で、ひとり冷静に行動する選手がいた。

キャプテンの宮間だった。すぐに審判団と握手をして、相手キャプテンのマルタのもとに駆け寄る。2人はギュッとハグをすると、言葉を交わす。また抱き合うと、マルタがポンポンと宮間の頭を優しく包んだ。互いをたたえ合うかのように両者は笑顔で離れた。

そして、しばらくすると自然に両チームともピッチ上で選手や監督、スタッフを含めて円陣を組んだ。ブラジルは悔しさをにじませながら輪を作っていた。なでしこジャパンは、佐々木監督を中心として短い言葉を掛け合った。

日本チームが一本締めで手を叩く。すると、宮間が両手を突き挙げて、ジャンプしながら、無邪気にはしゃぎ始めた。これまで厳しい表情を作る場面も多かった彼女。元々、明るい性格でチームの盛り上げ役だったが、キャプテンとしての重責からか、リラックスするシーンが少なかったのが印象的だった。今大会で一番の笑顔を見たような気がした。

目標のメダルへの挑戦権を得た、なでしこジャパン。次は聖地・ウエンブリースタジアムでフランスと戦う。さまざまなプレッシャーを乗りこえて、笑顔を見せた彼女たち。次もなでしこらしいサッカーが見られるに違いない。

[女子サッカーライター・砂坂美紀/ツイッター http://twitter.com/sunasaka1]

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