不思議な不思議な甲子園 | NewsCafe

不思議な不思議な甲子園

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甲子園で初めて春夏連覇を達成したのが作新学院。今から50年前で、今年は記念すべき年。栃木県予選を勝ち抜き春9回、夏8回目の出場となった。その名門野球部校が大会期間中にとんでもない事件を惹き起こした。警宇都宮中央署は市内の高校2年の男子生徒を強姦致傷、強盗の容疑で逮捕。その生徒は甲子園に出場している作新学院の野球部員だった。しかもその犯行は大会期間中のことだったのだ。

容疑者は1回戦佐久長聖戦に甲子園スタンドで応援した後、学校関係者らと夜行バスで帰郷。午後6時すぎに市内の同校で解散。翌朝犯行に及んだ。事件が明るみに出て記者会見での長谷川勝比古校長。「非常に重大な事件で強く責任を感じている」と話したが、「出場中の選手や栃木県民の気持ちを考えると辞退はしのびない」と出場を辞退する考えがないことを明言した。犯行後も同校での練習に参加。16日の立正大淞南戦も甲子園で部員として応援。逮捕されたこともそうだが、犯罪者が練習に参加し、部員として応援している事実が判明した段階で、どんな言い分も通らない。潔く辞退が当然だ。へ理屈で大会出場に固執する姿は、過去の栄光を汚すあるまじき判断だ。名門の面汚しとなった。

教育的立場から判断してと、普段は些細なことにも厳しく対応する高校野球連盟。今回はが「部員一人だけが起こした犯罪のときは、出場を止めないという事例にならった」と西岡宏堂審議委員長は説明。大会本部も出場を認めた。高校野球は予選前から強豪校の不祥事の警察や新聞社へのタレコミが多いと言う。タバコを吸った、飲酒した、暴力沙汰などだが、連帯責任と言うことで大会不出場になった強豪校は過去に数多くある。そこで最近は1人だけの犯罪は出場を止めないという不思議なルールが存在している。しかし、今回の事件は極まりなく悪質だ。強姦罪は悪質な犯罪として懲役3年以上、さらに強盗罪は懲役5年以上の有期懲役とされている。これが未成年の喫煙、飲酒など軽犯罪法違反と同等レベルと見なすことは到底無理。まして大会期間中の部員の犯行となれば、即刻出場停止にするのが当然だ。「学生野球はスポーツに止まらず試合を通じてフェアの精神を体得する事、幸運にも驕らず悲運にも屈せぬ明朗強靭な情意を涵養する事、いかなる艱難をも凌ぎうる強靭な身体を鍛練する事、これこそ実にわれらの野球を導く理念でなければならない」。学生野球憲章を忘れたか。

憲章ついでに言えば「部員の健康を維持・増進させる施策を奨励・支援し、スポーツ障害予防への取り組みを推進する」と言うが、現在の日程は選手、特に投手にとって残酷だ。数々の三振記録を更新した桐光学園の松井投手。将来が大いに嘱望される投手だが12日間で4連投。肘を故障しなさいと言うようなものだ。連投、連投でメディアは騒ぐが、将来を棒に振った投手は数多い。準々決勝、準決勝、決勝の間は少なくとも1日は休戦日を設定すべきだ。それができないのなら、1日100球まで。連投は50球まで。3連投は15球までとか厳密な球数の制限を作るべきだ。重大な問題になると思考停止になるのは政治家と一緒。学校の名誉や監督の名声、大人たちのための甲子園ではない。甲子園は選手の未来のためにあることを真剣に見つめ直して欲しい。

[ビハインド・ザ・ゲーム/スポーツライター・鳴門怜央]

《NewsCafeコラム》

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