ゴミのスープがやってくる
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だからアメリカ人は海が好きで海岸線を大切にする。シアトルからバンクーバーにいたる海岸線、サンフランシスコからカーメルにいたる変化にとんだ海岸線、点在する別荘、綺麗に保全された海岸線を見ると「アメリカ人の海岸大好き」がわかる。
その、北米大陸の太平洋沿岸が「東日本大震災の津波で流された大量のガレキの漂着」で大変な事になりそうだという。
ここ半年余り、津波で流されてきたサッカーボールなどの微笑ましい話題が散見されるが事態は至って深刻らしい。
環境省によると、震災で発生した3県のガレキは1811万トン。これとは別に海に流れたガレキは480万トン。70%はコンクリートや自動車やコンテナーなどの重量物で東北沿岸の海底に沈んだが、30%に当たる154万トンは家屋や流木で太平洋を漂い、ハワイの沖を通り、衛星画像や潮流図で予測すると「10月以降本格的に北米西海岸に漂着」するという。
更にガレキの一部は反転して来年春以降、ハワイの東海岸に漂着するらしい。
国際法上、海に流れ出たガレキの処理については国際ルールが無く、流れ着いた国が負担して処理するのが慣例となっている。インドネシアの大津波などがあるが、これだけ大規模な漂着は前例が無い。特にアメリカには東日本大震災の時に「ともだち作戦」で物心両面の支援を受けており、金額ベースでは8000万ドルと言われている。
大量の漂着物の処理に「知らん顔」はできないはず。具体的な漂着ガレキの後始末の支援を行なうべきだ。
現在日本は、領土問題でロシア・中国・韓国の嫌がらせで「四面楚歌状態」。まさにアメリカとの絆が重要になっている。
このためにも具体的なアクションが求められると思うのである。
また、大きな漂流物の処理も重要だが、波で砕かれたプラスチックゴミが「ゴミ上のスープ」として漂い、餌となって始まる「食物連鎖」による二次被害が心配だ。
湾岸戦争の「重油まみれの海鳥」の映像ではないが、「ゴミのスープに海鳥や魚」は不気味である。数年前に、佐渡島の人里はなれた大陸に面した海岸に行ったが、大量のハングルや中国語表示のプラスチックゴミに驚いたことを思い出した。同じ事が広大な北米の西海岸や鮭が俎上する広大なアラスカの入り江で起ころうとしているのである。
まともな日本人なら「何とかしなくては…」と思うはずだ。日本にいる我々が出来る事、アメリカにいる日本人が出来る事…真剣に考えたいものである。
[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》