党の代表
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海江田氏は東京一区(千代田区、港区、新宿区)で立候補していました。1996年以来、すでに政界を引退した自民党の与謝野馨氏と激しい争いをしてきました。与謝野氏引退を受けて、自民党は山田美樹氏という30代の女性を立候補者にしました。山田氏は政治一色ではありませんが、党の候補者公募によって立候補者に選ばれていました。そんな山田氏に激戦の上、海江田氏は敗れました。今回、代表戦に立候補できたのは比例代表で復活当選したからです。
一方、馬淵氏は奈良一区(奈良市)で当選しています。民主党の立候補者が小選挙区で相次いで落選していく中で、馬淵氏は自民党の小林茂樹氏(比例で復活当選)を破って当選したのです。以前は、自民党の高市早苗氏との争いがありましたが、高市氏が奈良二区へ移籍し、また、今回の選挙では民主党への逆風と、第3極が分散したことで、馬淵、高市の両氏がどちらも当選しました。その高市氏は自民党の政調会長に就任しました。一時は野田グループに所属していました。2011年8月の党代表選にも出馬し、5人の候補者の中では最低の24票でした。
私の選挙区も東京一区です。海江田氏が落選したとき、選挙区の住宅街を回っていた姿を見たことがあります。落選したときこそ、その政治家の素が見えます。「落選したら"ただの人"」でありながらも、有権者の政治課題、生活課題に耳を傾けていたのです。そんな地味な姿が、東京一区でも認められたののか、民主党逆風の中で、今回の選挙は激戦となったのです。しかし残念ながら一歩及びませんでした。
一般論ですが、党の代表となれば、小選挙区で当選した人が立候補することが望ましいと思います。もちろん、少数党であれば、党首が比例区で当選した人という場合もあり、必ずしも小選挙区での当選者とは限りません。しかし、政権を担った民主党の代表選挙で、小選挙区で落選した人、つまり有権者が「NO!」を突きつけた人を代表にするのではイメージが回復できないのではないでしょうか。海江田氏の人柄、政治的主張とは別に、納得がいきません。やはり、小選挙区で当選した人にすべきだったのではないでしょうか。
民主党から分裂した「小沢グループ」は、一時は「国民の生活が第一」を名乗っていましたが、総選挙前に結党した「日本未来の党」と合流しました。しかし、公示前の61だった議席数が9と激減しました。こうしたこともあり、未来は党内人事でもめています。ただ、2010年の党代表選で、海江田氏を小沢氏が推したこともあり、民主と小沢グループの関係にも注目されます。
いずれにせよ、海江田代表が民主党の新しい顔になりました。それ相応の努力なしに党の信頼回復はありえません。幹事長には、原発事故担当大臣として一定の評価がされている細野豪志氏が起用されることが言われています。まずは、人事でどのように新しさを見せていけるのか。さらに参議院選挙で勝てるための布陣をつくれるのか。崖っぷちに立たされた民主党ですので、党内をまとめつつ、有権者に「変わった姿」を見せられるかが問われます。そして、社会的弱者を切り捨てることなく、公平・公正な国家を目指せるかが鍵ではないでしょうか。
[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
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