気になる「年次休暇・取得率」
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最近の報道に「従業員に優しいとも言われるCSRに積極的な企業」の「3年間の有給休暇取得率を開示している768社」を対象にした有給休暇取得率ランキング」なる記事があった。それによると『ランキング首位はホンダで、前年に続く連覇となった。3年間平均取得率は102.4%(取得日数に前年繰越分を含むため100%超となる場合もある)。毎年付与日数をほぼ完全に消化している。年末に有休残が20日以下になるよう計画的な取得への取り組みが実を結び引き続きトップとなった。2位は神奈川地盤の鉄道大手である相模鉄道が中核の相鉄ホールディングス。3年間平均は101.2%。09年度113.7%、10年度90.8%、11年度99.1%とこちらも毎年高い取得率となっている。5日分(10回)を上限に、半日単位の有給休暇制度を導入するなどで成果を上げている。3位は96.7%のトヨタ自動車とホンダ系部品メーカーのケーヒンである。6位関西電力94.3%、7位中国電力93.4%と電力大手が続き、8位ダイキン工業92.9%、9位旭硝子91.4%….という顔ぶれとなった。
厚生労働省の「平成24年就労条件総合調査」によると「民間企業の年次有給休暇取得率は49.3%」に対して今回の「ランキング対象768社の平均は51.0%」で結果的には大きくは変わっていない。最も低いのは小売業31.2%(43社)。ほかに建設業32.1%(41社)、倉庫・運輸関連業32.6%(10社)、不動産業36.0%(15社)といった業種が下位となった。 全体的な傾向として、非製造業の取得率が低い』と言うことである。取材した記者は『取得への取り組みはそれぞれの業容、業態に応じたやり方が必要だが、企業努力だけでは難しい面もある。取得率が最も低い小売業などは「通年営業が常態化」する中、通常の休みも交代で取らざるを得ず、週休2日でさえ厳しい会社も存在する。さらに、日本の祝日数は世界でも有数の多さだ。こうした休日の混雑集中で小売業、サービス業などはさらに休みが取りにくい状況になっている。 今後、日本は産業のサービス化がさらに進むことが予想される。従業員が一斉に休めない会社はさらに増えていくだろう。これらの業種でも休みをどう取りやすくしていくかの創意工夫が避けて通れない』と言う。サービス業経営者の知恵ある取り組みに期待したい。
[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
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