猪瀬氏、辞任しても説明責任を果たすべき
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この問題が明らかになったのは、11月22日の朝日新聞の報道でした。「徳洲会」が公職選挙法違反(運動員買収)容疑で東京地検特捜部の強制捜査を受けた後、9月に猪瀬氏の秘書が全額を返却したとの内容だった。このとき、猪瀬氏は「私はまったく関知しない」と、関与を否定していました。
徳洲会の創設者は徳田虎雄氏(元衆議院議員)。「生命だけは平等だ」の理念のもと、「いつでも、どこでも、誰でも最善の医療を受けられる社会」を目指している。医療不足の地域や離島にも拡大しています。こうした目的はすばらしいとは思いますが、その目的達成をために手段を選ばないといったことも目立ちます。現在、虎雄氏は難病のため入院中。言語を通じた会話はできません。そのため、今回の公選法違反事件では、起訴猶予となる方向です。
猪瀬氏は19日の辞職会見で「自分なりに説明責任を果たすべく、努力してきたつもりだが、疑念を払拭するには至らなかった」と述べました。猪瀬氏は作家でもあります。自分が一度書いた文章を、読者の側に立って校正作業をすることには慣れっ子のはずです。ならば、説明内容を都民の側に立って"校正"していれば、これまでの説明では不十分だったとわかったはずです。
「自分は政治のアマチュアだった」。辞職会見で猪瀬氏はこうも発言していました。「政治のアマチュア」が知事選に立候補しても、知事になってもよいとは思います。ただ、その際には、「政治のプロ」をブレーンに置けばよいのです。しかも「政治とカネ」という重要な部分には「プロ」が関わっていなければなりません。問題が発覚したときにも、どのように振る舞うべきか、いつ何をどこまで公開するのかといった政治的な駆け引きについても、「プロ」が支えるべきでしょう。いとも簡単に崩れ落ちてしまったということは、防衛ができていなかったことになります。約430万票という獲得投票のため、「敵なし」と思わせ、気が緩んだとも思えなくもありません。
私は思うのです。これまでも作家として攻め続けて来た猪瀬氏のことです。都知事を辞しても、説明責任を果たして欲しいと思っています。少なくとも、現段階で、5000万円が生活費としての個人の借入金という説明は納得いきません。仮に生活費だとすれば、なぜ5000万円だったのでしょうか。そしてなぜ、国会議員が関与するグループからの借入だったのでしょうか。これだけでも明らかにしてほしいです。
[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
《NewsCafeコラム》
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