おにぎりマネージャー
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私の子どもの頃は、よく高校野球をテレビで見ていました。毎年ではなかったのですが、甲子園に行き、アルプススタンドや外野席で野球観戦していたことを思い出します。この時期はとても暑いので、球場の温度は40度を超えることもあると思いますが、気温が高いのは応援スタンドも同じです。
そのため、夏の甲子園名物として「かち割り氷」があります。六甲山系の地下水からくみ上げた水を氷にしたもので、それが熱で溶けて氷水になります。熱中症対策でもあります。かつては「名物」として有名でしたが、最近では知らない人もいるようです。
そんな甲子園ですが、今年の話題は様々です。なかでも話題となっているのは、埼玉県代表の春日部共栄高校の女子マネージャーのことです。Twitterでも、彼女を取り上げた記事が話題となり、様々な観点から議論になっています。
日刊スポーツの記事では、彼女は部員のために2年間で2万個のおにぎりを作ったと書かれています。そのためもあり、最難関校受験の選抜クラスから普通クラスに転籍したとされています。これを巡って、「おにぎりのために、クラスを変えるなと、誰か言ってあげればよかったのに」とのツイートもありました。
しかし、最難関校受験の選抜クラスでは金曜日には7時限目があります。そのほか、勉強のために取られる時間があることでしょう。そのため、部活に集中できないと思われます。もちろん、両立も模索できたかもしれませんが、気持ちとして中途半端になることをおそれたのではないかと思います。そして、大学受験はいつでもできるが、部活動は3年間しかできません。その価値判断を彼女がしたのだと思います。
一方、試合の中でも話題があります、市立和歌山と鹿屋中央との試合です。9回を終えて1対1。大会初の延長戦となりました。11回裏・鹿屋中央の攻撃。1アウト、走者一、三塁。打者がセカンドゴロを打ちました。三塁走者がホームに走ります。サヨナラを防ぐため、二塁手はホームに投げる場面です。しかし、バウンドが変化し、二塁手は「頭が真っ白になった」として一塁に投げてしまいました。
アウトカウントを間違えたのではないかとも思えたのですが、バックホーム体制か、あるいは、ダブルプレー体制で前進守備をしていたので、それはあり得ません。たしかにバウンドが変わり、一瞬焦ったのは分かりました。それが劇的な幕切れにつながったのです。
ただ、見逃せないのは鹿屋中央の3塁コーチャーの判断です。9回裏2アウト、一、二塁で、打者が外野にヒットを打ちました。ここで走者に、三塁から本塁に走る指示をしました。足がそれほど早くないために、中継や送球、捕手のミスがあればサヨナラ勝ちですが、外野からの返球はするどくアウトになりました。
この経験があったのか、11回裏1アウト、走者二塁。外野へのヒットでしたが、このときは走者を三塁で止めました。案の定、外野からの返球は鋭く、もし本塁に走っていたらアウトだったでしょう。三塁で止めたことで、次の打者でサヨナラ勝ちにつながったのです。
春の優勝校、龍谷大平安は開会式直後の第一試合で姿を消しました。茨城県代表の藤代は8点差を守れず、日大大垣に破れました。8点差の逆転は大会タイ記録でした。スター選手がいるわけではないですが、見どころや話題が多い今年の甲子園です。夏の思い出がつくられていきます。
[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
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