「I am Moaz.」とも掲げたい
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今回の交渉は様々な論点を残しました。「テロには屈しない」前提だとしても、邦人が人質に取られている中、かつ、その相手との直接交渉窓口がない場合、どのような救出があり得るのか、ということです。
ヨーロッパの中には人命を優先し、身代金要求に応じている国もあります。ただ、その身代金が新たに別の命を殺害する経済的基盤になってしまうこともあります。
一方で、交渉できないのであれば、軍事作戦として人質救出作戦を展開するという方法もあります。しかし、アメリカ軍でさえ失敗しています。
テロには屈しないというメッセージは大切ですが、同時に、今回のように主導権がテロリスト側にあるときに、どのような動きをすればよいか。国内であれば、情報を得るために、スパイを潜入させたり、盗聴をしたりと、なにか方策がありますが、外国、しかも中東であれば、国内でのやり方は通じません。
さて、後藤さんが殺害される前後から、「I am kenji」(私はケンジ)と書かれた紙を掲げて、Facebookなどで後藤さんへの連帯を示す行為が多く見られました。首相官邸前でもそうした動きがありました。風刺画を掲載している、フランスの週刊新聞「シャルリー」が襲撃を受けた際、「Je suis Charlie」(私はシャルリー)と書かれた紙を掲げた流れを受けたものでしょう。
「I am kenji.」を掲げるのは後藤さんの命の重さを示すものです。また、難民の子どもたちや、戦場での人々の生活を伝えてきた後藤さんの取材に関して共感を示すものでもあっただろうと思います。後藤さんを知っている関係者だけでなく、拘束された映像が流れてから後藤さんを知った人たちにも広がっていきました。恥ずかしながら、私も後藤さんのことを一連の報道で知りました。
ただ、同時に違和感を抱きました。もちろん、後藤さんの命は大切ですが、やはり殺害された湯川遥菜さんの命も大切です。今回、人質になったときにはほとんど湯川さんのことは報道されなかったことが反映されてか、湯川さんに言及する声はマスメディアにもネット上でも少なかった印象です。以前に拘束されたときに様々な報道がなされたために、報じる側としてはすでに伝えている、という意識もあったのかもしれませんが...。
「I am Haruna.」。そんな中で、こうつぶやく人もたちも現れました。同じように、後藤さんの命も大切だし、湯川さんの命も同時に大切。そんな意味が含まれているものでした。また、ムアズ氏が殺害されたことで、「I am Moaz.」というつぶやきも多少は見られますが、日本語のつぶやきはまだ少ないようです。後藤さんには同情的な報道はされましたが、他の2人には同じような報道がほとんどなかったので、仕方がない面もあるでしょう。
もう一つ思うことがあります。後藤さんが亡くなったことで、後藤さんの業績を知ろうという動きがあります。これはこれでよい動きがだと思います。仕方がない面もありますが、こうした「事件」が起きなければ、なかなか関心が寄せられません。生きているときから、今以上に、戦場取材に関心が高まれば、違った展開があったのかもしれません。
戦場を取材するフリーのジャーナリスト。後藤さんの一連の出来事は、そうした職業の人がいることを改めて示したのだと思います。いろんな議論はあるとは思いますが、危険な戦場への取材は、特に日本では社員ジャーナリストはなかなか入りません。フリーのジャーナリストがいることで支えられています。そうした存在は他にもたくさんいます。殺害されたことは残念ですが、彼ら彼女らの仕事に目を向ける大きなチャンスにもなったと思います。
後藤健二さん、湯川遥菜さん、ムアズ・カサースベさん。そして、「イスラム国」の犠牲になった他の人たちにも、哀悼の意を表します。
[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
《NewsCafeコラム》
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