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共産提案の「国民連合政府」は可能か?

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日本共産党は、安全保障関連法の廃止を向けた「国民連合政府」を目指して、来年夏の参議院選挙で選挙協力の呼びかけをしました。どんな選挙でも独自の候補者を立てる共産党が、他の野党と大々的な選挙協力を呼びかけるのは珍しいことです。たしかに、参院選だけを見越せば可能かもしれないが、他の分野で政策協定が結べるかどうかもポイントになるでしょう。

共産党は「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」の実現を呼びかけました。もちろん、他党の間では、日米安全保障条約への態度やほかの政策での違いがあります。しかし、"戦争法廃止、立憲主義を取り戻す"という一点での合意を基盤にするものを目指すというものです。

これは歴史的に見ると、「反ファシズム統一戦線」のようなものでしょうか。ナチス・ドイツに対抗して、フランスやスペインでは人民戦線政府ができました。日本でもそうした構想が練られたことがありましたが、実現しませんでした。社会民主主義政党と共産主義政党、保守内の民主主義政党の間には、それぞれが大きな溝があります。そのため、「統一戦線」を作ることは困難を極めます。

民主党のHPの説明では、今回の安保法制に関して、微妙な表現が目立ちます。典型的なものは、「安倍政権が進める集団的自衛権行使には反対」というものです。民主党は今回の法整備に関しては党が一体となり反対の立場をとりました。

しかし、そもそもの議論をすれば、集団的自衛権を完全否定していない議員がいることは指摘されています。党の綱領がないために、党の方針としては見えにくいですが、正面からこの点だけを議論してしまえば、党が分裂しかねないのかもしれません。

また、保守的な人だけでなく、左翼的な考えな人たちの中にも、共産党に対するアレルギーが強い人たちも多くいます。過去の左翼運動の中では、セクト間の争いになり、結果、左翼全体が求心力を失っていきました。

「共産」という名前のイメージの悪さもあるかもしれません。名称の変更は路線変更も意味します。イタリア共産党は路線も社会民主主義に変更し、党名も「左翼民主党」として、政権を握ったことがあります。日本でも、1996年の自社さ連立政権のときに、日本社会党が社民党に変えましたが、民主党が誕生したこともあり、党勢を失いました。

共産党アレルギーについて、志位和夫委員長はツイッターで、こうつぶやきました。

「国民連合政府」について「共産党アレルギー」をお持ちのかたもいるかもしれません。私たちも「アレルギー」をなくすべく努力します。同時に、「アレルギー」を乗り越えて力を合わせることを呼びかけます。過去を乗り越え、「戦争法廃止、立憲主義回復」という国民的大義で、未来のために団結しましょう。

また、こうもツイートしています。

本気で立憲主義を取り戻そうとすれば、戦争法を廃止し「閣議決定」を撤回しなければならない。本気でそれを実行しようとすれば、安倍政権を打倒し、国民連合政府をつくらなければならない。本気で政府を作ろうとすれば、野党間で選挙協力をすることが必要だ。私たちの提案はそういうこです!

この呼びかけにる「国民連合政府」の実現可能性はどこまであるのでしょうか。読売新聞が試算を出しました。新たに1人区となる選曲を含めると、7つの1人区で野党候補が自民を逆転する、といいます。

ニュースサイト「リテラ」の試算では、自民・公明などの安保法制賛成派は地方区で11議席を失います。安保法制反対のムードが参院選まで続き、論点としてうまく機能すれば、野党の統一候補に票がこれまで以上に流れる可能性もあります。

まずは衆参の第1党が違う「ねじれ」が生じるかどうが当面のポイントですが、ねじれた場合、憲法の規定により、衆院での採決が優先されます。そのため、衆院で過半数を取ることが必要になります。その前哨戦としての参院選挙。野党がまとまることができるのでしょうか。一方、安倍政権も衆院を解散して、衆参ダブル選挙で対抗ということも考えられます。

安保法制成立で各党が支持率を減らしています。野党第1党の民主の支持率は2桁もないのです。政権を握るとなれば、求心力のある政党がない中で、ほかの政策も進めることになります。自民党の分裂から始まった、かつての非自民非共産の細川連立政権のようなイメージかもしれません。実現可能性を高めるためには、政策協定をどこまで広げられるかが鍵になるのではないでしょうか。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中

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