ASKA容疑者逮捕。社会で取り組むべきことは | NewsCafe

ASKA容疑者逮捕。社会で取り組むべきことは

社会 コラム
チャゲ&飛鳥のASKA(本名・宮崎重明)容疑者(58)が覚せい剤取り締り法違反(使用)の疑いで逮捕されました。決め手は警察の尿検査で陽性反応が出たため、と言われています。本人はブログでも否認しています。ただ、執行猶予中だったこともあり、有罪となれば、実刑は間違いない状況です。

まず、逮捕時の混乱についてですが、「ASKA容疑者、逮捕へ」などの一報が流れたのは昼間でした。私は日本テレビ系列の「ミヤネ屋」での速報で知りました。「逮捕へ」ということは、その段階で逮捕に至っていないことがわかります。ただ、逮捕はしてないまでも身柄拘束をしている可能性を示していました。

身柄拘束をしてない段階で「逮捕へ」としてしまえば、通常、逃亡や証拠隠滅の恐れが生じます。また薬物事犯では、共犯者がいる可能性もあり、共犯者や入手ルートを特定したいと警察は考えるものです。特に有名人の場合、逮捕時に混乱が生じる可能性があります。

しかし、なぜか警察は、ASKA容疑者逮捕では「前打ち」しました。報道の流れからすると、NHKと共同通信に警察がリークしたのでないかと思われます。こういうマスコミ対応は警察の常套手段です。この二社に流れれば、他のマスコミは後追いします。しかも、時間は昼間。夕方のニュースに間に合いますし、その時間での逮捕は、警察としてはメディアに対するサービスともなります。

案の定、逮捕前は混乱しました。目黒区にあるASKA容疑者の自宅前には報道陣が押し寄せました。絵が欲しいメディア関係者は行くに決まっています。そんなメディアの動き方を前提に、警察は情報を流します。外出中だったASKA容疑者が夕方、タクシーで帰宅していますが、その後、ASKA容疑者を後部座席に載せたベンツが車庫から出ようとしても、報道陣が邪魔で出られません。

現場取材の経験があるとわかりますが、こういうとき、「危ない、危ない。痛い。痛い。ちゃんと取材に応じてくれないと混乱したり、怪我人が出ちゃいますよ!」などと叫ぶ記者がいたりします。そうした声があがると、周囲の記者はつられ、集まってきます。今回もガレージに向かってなだれ込む姿が映っていましたが、そうした集団心理が作用していると思われます。過剰な取材(メディアスクラム)は以前から批判されていますが、警察との、持ちつ持たれつな関係が前提となっています。何十年も続いた手法はなかなか改善されません。

ところで、薬物事犯の場合、再犯率が高いと言われています。警察庁によると、覚せい剤の再犯者は9年連続で増加しています。昨年は0.3ポイント増加し、64.8%。年齢別では、20歳未満が16.0%、20歳代が36.0%、30歳代が57.9%、40歳代が72.2%、50歳以上は83.1%と、年齢が上がるたびに増えます。それだけ、覚せい剤から逃れられないほどの依存性が高いのでしょう。

薬物事犯の場合、司法的な対応だけでは依存症から抜けきれない場合が多くあります。そのため、医療的な対応、つまり、薬物依存症の治療というアプローチが必要になってきます。覚せい剤を入手不可能な刑務所内だけの対応ではいけません。入手可能な環境でありながらも、覚醒剤を入手しなかったり、誘惑があっても覚醒剤を打たないためにはどうすればよいのか?ということが必要です。

ASKA容疑者の場合、執行猶予中でした。その意味では、入手可能な環境でありながらも、その誘惑との闘いが必要でした。そのため、覚醒剤を使用してたときの人間関係をリセットした上で、本人が治療ベースにのり、周囲の人間関係との信頼関係が必要になってきます。こうしたことは散々言われてきました。ただ、日本の場合、刑務所の外では、なかなか義務的な治療ができません。現状では、抜け出したいという本人の意欲や、治療を受ける経済的な基盤、良質な人間関係が必要になります。

単に個人を断罪し、個人の力で回復していく手法を改めないといけません。もちろん、罪は罪として裁かれるのが前提ですが、薬物依存症をケアをし、社会復帰させるためのシステムづくりが必要だと思います。
[執筆者:渋井哲也]

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