山下智久&新木優子、5年ぶり共演で感じた変化と成長 恋人役は「スムーズに演じられた」<「SEE HEAR LOVE」インタビュー>
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『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』シリーズ以来、約5年ぶりの共演となった山下と新木。前回のスパルタな指導医と、フェローという先輩後輩役から一変、本作では恋人役を演じた。そんな2人が、本作の撮影を通して感じたお互いの“変わったところ”と“変わらないところ”とは?
【写真】山下智久、新木優子を優しくバックハグ
◆山下智久主演「SEE HEAR LOVE」
ラブストーリーの金字塔『私の頭の中の消しゴム』を手掛けた恋愛映画の名手、イ・ジェハン氏が監督を務める本作は、次第に目が見えなくなる病を患った漫画家・真治と、それを支える生まれつき聴覚障がいのある女性・響の切なくも温かい愛に溢れた物語。
王道ラブストーリー作品が約6年ぶりとなる山下は視覚障がいのある漫画家・真治役、新木は真治を支える生まれつき耳が聞こえない女性・相田響役を演じる。
◆山下智久&新木優子、5年ぶり共演で変わったこと・変わらないこと
― 山下さんは今回約6年ぶりラブストーリーとのことですが、オファーが来たときはどのような心境でしたか?
山下:ラブストーリーをやるってなかなか勇気がいるのですが、今回はハンディキャップがある2人が、どういう風に真実の愛を描き出していくのか、育てていくのかというところに興味がありました。あと、自分自身もこの役を通して学ぶことがたくさんあるだろうなという期待と、イ・ジェハン監督のファンでもあったので、監督とチャレンジングな役を一緒に作り上げていける、新木さんとまたご一緒できるというたくさんの期待があって、今回チャレンジさせていただきました。
― 山下さんと新木さんは『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』以来、約5年ぶりの共演となりましたが、いかがですか?
新木:嬉しい反面、前回の役が師弟関係というか、先輩後輩の関係で、結構スパルタな先輩役だったので、どんな感じになるのかなと思っていました(笑)。山下さん自身はそういう方では全然ないので、顔合わせのとき、感覚的にきっと大丈夫そうだなと肌で感じる瞬間がありました。
お話をいただいたときは、不安もあったのですが、クランクインするとすごく自然と役に入ることができました。5年ぶりというのはあまり感じることなく撮影することができました。
― スムーズに役に入れたと。
新木:そうですね。最初のシーンは公園でのシーンだったのですが、2人の雰囲気をどんなものか探りながら演じられるシーンでもあったので、緊張というよりかは、こういう感じかなと、自然と役に入ることができました。
― 山下さんはいかがですか?
山下:最初のシーンがモンタージュ的なところではあるんですけど、恋人役としてのモンタージュを撮れたというのは、すごく作りやすい撮影順でやってもらえたので、僕もスムーズに演じられることができました。
― 5年ぶりの再会とのことですが、この5年で変わったところや、成長を感じられたところがあれば教えてください。
山下:お互いに成長している部分もあるとは思うのですが、5年前は役としても距離があって、今回は役としての距離がすごい近い分、5年前には見えなかった部分が見えました。新木さんは元々すごく努力家なのですが、今回さらにくっきり見えましたね。手話のレッスンだけではなく、ピアノもやらなくちゃいけない。すごい多忙な中で、役作りのために使える時間はそんなになかっただろうに、その努力家な部分がすごく見えたのは、リスペクトがありました。
新木:緊張感のあるシーンでも、緊張感はもちろんあったのですが、不思議と安心して現場に入ることができたのは、山下さんという存在感のおかげです。「コード・ブルー」では、先輩という役でもあったので背中を見ていた印象でしたが、今回の作品に関しては一緒に歩めている感覚を日々感じることができました。たぶん、役柄を通して合わせてくださっているんだろうなというのも感じたので、すごくありがたかったです。
― 現場の雰囲気について、心がけていたのでしょうか?
山下:心がけていたというわけではないのですが、すごく和やかな雰囲気でした。現場が少しピリッとしたときも、新木さんが来ると和やかになるなと、僕もスタッフさんも新木さんにすごく助けられました。
◆山下智久&新木優子、役作りと印象に残っているシーン
― 今回どのように役作りをしたのでしょうか?
山下:実際に目の見えない方とお会いする機会を作っていただき、インタビューさせてもらいました。生まれつき見えない先天性の方、途中から見えなくなった方、どちらのお話も聞かせていただきました。あとは、自分で目隠しをして家の中で動いてみたり、現場で監督とディスカッションをしながら作り上げていきました。
新木:先天的に耳が聞こえない役だったので、クランクインする4ヶ月ぐらい前から手話の練習をしていました。教えていただいた先生たちが聴覚障がいのある方で、接する機会を設けていただけたので、仕草やお話をいろいろ伺いました。そこで学んだことを役作りに活かしたこともありますし、耳が聞こえないってどういう感覚なんだろうというのを掴むために、お風呂の中に潜って音のない世界を自分で作りました。やっぱり耳を塞いだだけだと、どうしても音が聞こえてしまうので、耳が聞こえないという状況を体験するのがすごく難しくて、たどり着いたのが、お風呂の中に潜ることでした。
― 本作の見どころの一つでもあるキュンとするようなシーンの撮影はいかがですか?
山下:ベランダでハグ、家の中でハグ、家から出たところでもハグしている撮影は、監督史上最もロマンチックだっておっしゃっていて。見えなくて、聞こえない2人が感じ合うための手法であって、そういうことを考えながら見ると、深くキュンとするというか、2人だからこそできたオリジナルティのある胸キュンシーンなのかなと思いました。
新木:この2人だからこそ生まれるやり取りに監督がすごくこだわっていて、ほかの人とは違うコミュニケーションの仕方があって、そこをどう表現するのかというのは、監督含め3人で話し合いました。例えば、手に文字を書くとか、自分たちにしかない合図であったり、バイバイするときも2人にしかないアクションを取っていて、私もキュンとするなと思いながら演じさせていただきました。
― 出会いのシーンもすごく印象的ですが。
山下:真治が絶望しているときに出会うのですが、心にぽっかり穴が空いている状況だったのかなと。その空いた部分になにかを求めていた、さらにそこに恐怖も相まって2人の恋が始まる瞬間でした。目が見えない絶望の中で出会うって普通だったらあり得ないと思うんです。だからこそ、すごく印象的だし、スイッチが入ったというか、多分ほとんど人に会っていなかったから絶望の1番下のところにいるときの優しさって染みるんだと思います。その瞬間を表現しました。
新木:響は状況をすぐには掴めなかったと思うのですが、目の前で自分の命を自ら落とそうする人を止めるってすごくエネルギーのいることだなと、あのシーンを通して実感しました。呼吸が浅くなるぐらい長回しで、体力が尽きるまで撮影していましたし、感情もとにかく必死で、目の前の命を繋ぎ止める、命を救うってことだけで頭がいっぱいでした。冷静に考えると、あんなぐちゃぐちゃになった家でなにが起きたのか、そこから始まると思うのですが、それよりも命を救いに行ったところが全てだったんだと思います。
― 漫画家のファンから恋人になるという。
新木:一目惚れだったんだろうなと思いました。生まれたときから耳が聞こえず、本人はハンデとは思っていなかったかもしれませんが、どこかでやっぱり淋しい気持ちや、世の中に馴染めていないんじゃないかと感じていた部分があったと思うんです。そこをすごく癒やしてくれたのが、真治の漫画。きっかけはそこからですが、やっぱり真治本人もかっこいいから、監督と話していたのですが、やっぱり好きになるよねって。誰かを好きになるとき、明確に言えないことってあるじゃないですか。(出来事の)積み重ねで好きになるか、一目惚れか…、響の場合は一目惚れ。漫画を通して彼の人柄をわかっていて、どんどん好きになる一方だったときに、実際の真治が現れ、恋に落ちたんだと思いました。初めて真治を見たときのリアクションを監督はすごく大切に撮りたいとおっしゃっていたので、そこはすごく大切に演じさせていただきました。
山下:心理学の方から聞いたのですが、ショックや恐怖などを一緒に体感すると人って好きになりやすいようです。なので、お化け屋敷や、ジェットコースター、吊り橋とか一緒に体験すると恋に落ちやすいと聞きました。今回の作品では、死ぬかもしれないという絶望など、いろんな感情が詰まっていたので、恋が生まれたんだと思います。
― 山下さんは先程、“学べることが多そうだなと思った”とおっしゃっていましたが、本作を通して、どんなことを学べたのでしょうか?
山下:僕には感情が足りなかったなと思いました。例えばですが、魂って奥の奥にあるものじゃないですか。撮影中、その魂がなにを求めているのか深いところまで考えられていなかったなと、もっともっと深く掘り下げて、人生を生きたいと思いました。この作品の中にも「耳が聞こえなくても、あなたのことは聞こえます」というセリフがあるのですが、例えばあなたが死んでいても僕はその心臓を求めて行動するみたいな、情熱的に深く愛してみたいなと思って。今の時代、メールなどで気軽に感情を伝えることができるけれど、そういうことではない。もっと大事なものがあるじゃないかと、僕自身もこの作品を通して思い出したというか、血が通ったという感覚があって。コロナ禍で人と接する機会が少なくなって、そのタイミングでこの映画のオファーがあったので、もっと情熱的に感情を表現していこうと思いました。またいつこの世の中がどうなるのかわからないので、その時間を無駄にせず、1秒1秒熱く生きていこうと、ピュアな恋愛作品ですが、そういう熱さや魂がめちゃくちゃこもっている作品だなと思いました。
◆山下智久&新木優子が悲しみを乗り越えた方法
― モデルプレスの読者の中には今、さまざまな不安を抱えている読者がいます。そういった読者へ向けて、これまでの人生の中で「悲しみを乗り越えた方法」を教えてください。
山下:失敗や辛さというのは、自分が強くなるためのエッセンスだと思います。僕は失敗なくして成功はないというか、失敗は成功の始まりだという考え方を持つようにしていて、失敗したら終わりではない、失敗から学ぶようにしてます。僕の好きな話があるのですが、バスケットボールのNBA選手で最も失敗した(シュートを外した)選手って誰ですかと聞くと意外とわからないんです。でも、もっとも成功した(シュートを入れた)選手って誰ですかと聞くと、マイケル・ジョーダン選手って答えられるんですけど、実は最もシュートを外した選手もマイケル・ジョーダン選手。ということは、失敗を恐れず、チャレンジした回数、シュートを投げた回数が最も多いんです。なので、自分のゴールに近づくためには、自分自身が何度も何度もチャレンジしなくちゃいけない。そういう発想で、失敗を失敗と捉えないようにすると、失敗も楽しめると思います。
― そのチャレンジ精神を持ち続けるための、モチベーションがあるのでしょうか?
山下:僕は新しい景色が見たいから。みんな旅行に行きたいと言うじゃないですか。それって新しい経験がしたいから、新しい人に出会いたいから、新しい文化に触れたいからだと思うんです。僕も自分の人生に栄養を与えてあげたいと思っているので、新しい経験をたっぷりして、新しい景色を見ていきたいなと思います。あと、僕の仕事内容的に、誰かに希望を持ってもらえたり、勇気を持ってもらえたり、そういうことに繋げられると思うので、頑張っています。
― 新木さんの「悲しみを乗り越えた方法」を教えてください。
新木:これまでの経験でもちろんあったと思うのですが、振り返ると周りに助けられているなと思うことがたくさんあります。乗り越えようというより、無理に乗り越えなくてもいいんだなとも思えるようになってきて、気がついたら乗り越えられているというような。迷い始めると沼にハマって自分でも出口がわからなくなったり、正解がわからなくなっちゃったりすると思うんです。そういうのが今まではすごく怖かったんですけど、1回その悩むことをやめて、流れに身を任せることが、自分の中で乗り越えられるきっかけかなと思います。この作品のセリフにもある「辛いときこそ笑うのよ」という通り、辛いときこそ1回忘れて、その辛さを体感してしまった方が、乗り越えられると思います。
◆山下智久&新木優子の夢を叶える秘訣
― 最後に夢を追いかけているモデルプレス読者に向けて、夢を叶える秘訣を教えてください。
山下:明確なビジョン。目的地と現在地をはっきりさせることが大事なんじゃないかなと思います。自分の中でその地図を明確にして、明確なビジョンのもと、最短距離を目指すのが僕の生き方ではあるのかなと思います。
― 今、明確なビジョンを持っている夢があるのでしょうか?
山下:僕の場合は、より多くの人と関わって、より才能のある人たちと仕事をしていく。それは日本国内、国外問わず、世界中の人たちと感情をシェアして、より多くの作品を作って届けていきたいなと思っています。
― 新木さんも夢を叶える秘訣を教えてください。
新木:口に出すことも大切ですが、アクションを起こすこともすごく大切だなとこの1年間思っていて。今まではやりたいなと思っていただけで終わっていたのですが、やりたいことに果敢に挑戦する1年でした。例えば仕事とは関係ないのですが、茶道やダンスに挑戦してみたいと思っていたので、習い始めました。アクションを起こすことによって、わかることがたくさんあるし、学べることがたくさんあると身を持って実感したので、勇気を出してアクションを起こしてほしいなと思います。
― ありがとうございました。
(modelpress編集部)
◆「SEE HEAR LOVE 見えなくても聞こえなくても愛してる」ストーリー
僕を絶望の底から救ってくれた君との世界が、ずっと続くと信じていた…
漫画に心血を注ぎ、漫画家として生計を立てている泉本真治(山下智久)は、ある日、自分の作品が映画化されるという朗報を聞く。アシスタントの中村沙織(山本舞香)と喜ぶ真治。
だがその喜びも束の間、突如病に倒れ、視力を失うことになってしまう。やっと軌道に乗ってきた連載漫画も休載。また一緒に暮らしていた祖母(夏木マリ)の面倒も見切れなくなっていく…。一人になった真治は孤独と恐怖に襲われ、ベランダから身を投げ出そうと考える。そんな時、真治の漫画のファンで、耳が聞こえない相田響(新木優子)に助けられる。こうして出逢った真治と響は不思議な共同生活を始めるのだった。
◆山下智久(やました・ともひさ)プロフィール
1985年4月9日生まれ、千葉県出身。High Hope Entertainment 所属。1996年より芸能活動をスタート。最近は活動の場を日本以外、海外にも広げている。主な出演作品は、「クロサギ」、「あしたのジョー」、「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」シリーズ、「THE HEAD」、「正直不動産」など。今後は、Huluドラマ「神の雫(Drops of God)」(2023年配信)が控えている。
◆新木優子(あらき・ゆうこ)プロフィール
1993年12月15日生まれ、東京都出身。2015年にゼクシィ8代目CMガールに選ばれ注目を集め、その後、話題のドラマや映画、CMに多数出演。主な出演作品は、ドラマ「コード・ブルー –ドクターヘリ緊急救命- THE THIRD SEASON」、「SUITS/スーツ」シリーズ、「モトカレマニア」、「六本木クラス」など。今後は、NETFLIX映画「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」(9月14日配信)が控えている。
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