杉野遥亮、“仕事は二の次”変化した俳優としてのスタンス 主演ならではの葛藤も語る「いっぱいいっぱいになっていた」<「ばらかもん」インタビュー>
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◆杉野遥亮主演「ばらかもん」
本作の舞台は、日本一美しい海を擁するとも言われる五島列島。書道だけを支えに孤高に生きてきた都会育ちの青年書道家・半田清舟(杉野)が、五島列島で出会った琴石なる(宮崎莉里沙)ら島民たちとの交流を通じ、書道家として、そして人間としても成長していくハートフル“島”コメディー。
清舟は高名な書道家である父・清明(遠藤憲一)の後継ぎでプライドの高い青年。都会で挫折を経験し、修行のため五島列島でしばらく過ごすことになる。
静かに暮らせるかと思いきや、なるを始め個性豊かな島の住民たちに翻弄される日々を送っていく…という役柄だ。
◆杉野遥亮「ばらかもん」主演だからこそ感じたこと
― 放送も後半に差し掛かってきましたが、周囲の方からの反響はいかがですか?
杉野:ロケ先で出会った方達から「俺、3回見たよ」と言ってもらえたり「先生」と呼ばれることもあって、そういうのは、ドラマを作っている醍醐味だなと感じます。あとは、プロデューサーさんや監督さんから、「あの番組でこういう風に言われているよ」というお話を聞く機会は多いなと思います。
― 原作がある作品ですが、清舟を再現する上で難しかったことはありますか?
杉野:頂いた台本と漫画から受ける印象が違うことがあるので、そこのギャップをどう埋めていこうか監督と話す時間が多かったです。原作では順を追って一つの笑いに辿りついていたりするので、ドラマでは描かれない部分も大切に演じたいです。例えば9話で変顔を披露するところがあったのですが、その背景を考えたり一つひとつにこだわりたいので難しいところもありました。
― ご自身が清舟に影響を受けた部分はありますか?
杉野:似ていると思うところはいっぱいあります。一つ挙げるとしたら模索している部分です。僕もいろいろ模索しているし、生き方にすごく共感します。どの作品よりも役柄と一緒に成長できていると感じる部分が強いかもしれないです。
― 主演ならではの葛藤を感じる瞬間もありましたか?
杉野:特に撮影の前半は多かったです。「自分にできることは何だろう」と考えたり、自分自身を認めることが難しいと感じたりと葛藤していました。そのため、回を追うごとに清舟が自分らしくなっていくように、僕も少しずついらない考え方や背負っているものを降ろしているような感覚があります。
◆杉野遥亮、泣きそうになった瞬間
― 以前の取材では、撮影中に泣きそうになったり、怒ったりしそうになったとお話されていましたが、それはどのようなシーンで感じましたか?
杉野:子供たちと一緒に仕事をすることがこんなにも難しいことなんだなと感じました。僕は子供の頃から真剣に怒ってくれる人がいた方が良いと思っていたのと、それが子供と対等に向き合うことだと思っていたので、現場で叱ることもあったのですが、そこで僕が泣きそうになることはありました。子供たちと同じ目線になって向き合うことは悪いことではないと思いますが、僕の中ではいっぱいいっぱいになっていたんだと思います。
◆杉野遥亮、子役との共演で「励まされる」
― ここまで子役の方と共演することはこれまであまり無かったのではないでしょうか?
杉野:マンツーマンでお芝居をするのも初めてですし、慣れないです。ですが、最近はすごく頑張っているし、長い間一緒に過ごしていい関係性を構築できているのかなと思います。撮影ではないところでも「先生」と呼ばれるようになって、一緒に遊ぶだけの仲ではなく、仕事のときは切り替えられる関係性になれて、みんなもすごく頑張ってくれているので、それはすごくいいことだと思っています。だんだん成長していく姿を見て励まされますし「僕も頑張らないとな」「負けないようにしないと」と思っています。生きるのを頑張っていることに近いです。
― 演技面以外の部分でも成長できる部分があるのですね。
杉野:それはどの現場でもそうです。ただ遊んで終わる、話して終わる、楽で終わるという現場はないです。それは当たり前だと思っています。
◆杉野遥亮「仕事は二の次」俳優人生での心境の変化
― 清舟は島の人たちと出会って成長していきますが、杉野さん自身が誰かと出会って変化した経験はありますか?
杉野:あります。一人では生きていけないです。ご縁がある人と出会って、ご縁がある人と一緒に成長していくことが生きることなのかなと思います。僕にとって仕事は二の次で、一番は生きることなんです。「どうやって生きていくのがいいのだろう」と考えながら、この仕事をしていますが、仕事は副業に近いのかもしれないです(笑)。
― 仕事を始めたときからそういった考えだったのでしょうか?
杉野:いえ、最近そう思うようになりました。僕の生き方、考え方、日々の葛藤、悩み、いろいろなものが作品に投影されている感覚があります。なのでまずは生きることが大事だと思います。
◆杉野遥亮の今一番大切なもの
― 第5話で清舟の書展の作品で一番大切なものとして島の方々の名前を書かれていたのが印象的でした。杉野さんにとっての今一番大切なものは何ですか?
杉野:睡眠時間です。もうすぐ、ドラマが終わってたくさん寝られるときが来ると思います。睡眠をしっかり取って、食事もしっかり食べていかないと、良いパフォーマンスができないと思っていて、一度リズムが崩れると、それを戻すのは難しいので、生活リズムをしっかり構築していかないといけないと思っています。
◆杉野遥亮の悲しみを乗り越えたエピソード
― 若くして成功している清舟と同様に杉野さんもたくさんの作品で活躍されていく中であらゆることを乗り越えてきたと思います。不安を抱えているモデルプレス読者へ向けて、杉野さんのこれまでの人生の中で「悲しみを乗り越えたエピソード」を教えてください。
杉野:乗り越えるとは少し違うかもしれないですが、他者からの評価ではなくて、自分に自信を持って自分のことを愛せていたら、不安は生まれないと思っているので、毎日自分と対話する時間を作っています。心を表現する仕事なので、僕が何を感じて何を思っているのかを知っておきたいんです。
乗り越える方法としては、人と話すか、涙を流すしかないのかなと思います。人生を長い目で考えたら、今しんどいことも楽しいことに変わっていくのだろうなと思えます。そのようなことも含めて楽しいものだと思うので、こういう考え方を持つようにしています。
◆杉野遥亮の夢を叶える秘訣
― モデルプレス読者の中には今、夢を追いかけている読者もたくさんいます。そういった読者に向けて、杉野さんが今思う「夢を叶える秘訣」を教えてください。2021年9月のインタビューでは「目の前のことに努力する、楽しむこと」とおっしゃっていました。
杉野:自分を信じることです。自分が信じてそうなりたいと思ったらなれると思いますし、自分がどこに行くか、何をするかというのは、自分自身が知っています。僕も小学校の頃から「俳優をやる」と言っていました。もしそれに不安があるのだったら、夢と言うには少し違うのかなと思います。
― 幼い頃から俳優という夢を信じて突き進んできたのでしょうか?
杉野:僕は少し違うと思いますが、小さな頃から「俳優をやる」と好きな女の子に宣言していました。ただ、当時地元では芸能界に入ることが夢だと言うのは「何言っているんだ」と思われることも多かったので、好きだった「大改造!!劇的ビフォーアフター」(ABCテレビ・テレビ朝日系)に影響されて「建築家になる」と言っていた時期もありましたが(笑)、最終的にこの仕事をやっています。
― 貴重なお話をありがとうございました。
◆インタビューこぼれ話
撮影は、杉野のリクエストでサザンオールスターズのメドレーを流しながら進行。動画の撮影では、カウントに合わせてピースの手を交互に変えるお茶目さも見せてくれた。
インタビューでは、現在の思いをまっすぐに打ち明けてくれる芯の強さが印象的。また取材を終え撤収しようとした際には、他の仕事中であったにも関わらず、一時中断し「ありがとうございました」と丁寧に挨拶する姿に人柄が表れていた。(modelpress編集部)
◆杉野遥亮(すぎの・ようすけ)プロフィール
1995年9月18日生まれ、千葉県出身。第12回 FINEBOYS 専属モデルオーディショングランプリを経て、TopCoatに所属。映画「キセキ ―あの日のソビト―」(2017年)で俳優デビューを果たし、ドラマ「大恋愛~僕を忘れる君と」(TBS系/2018年)、「恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~」(日本テレビ系/2021年)、「罠の戦争」(カンテレ・フジテレビ系/2023年)、映画「東京リベンジャーズ」シリーズなど多くの作品で存在感を発揮している。2021年には舞台「夜への長い旅路」に初挑戦。現在放送中の大河ドラマ「どうする家康」(NHK)にも出演中だ。
◆「ばらかもん」第9話あらすじ
半田清舟(杉野遥亮)は、一流ホテルを父・清明(遠藤憲一)の作品で彩る準備を手伝うため、東京に行くことになった。それを知り、一緒に行くと騒ぎ出す琴石なる(宮崎莉里沙)。清舟から東京行きを反対されたなるは、誕生日に清舟からもらった「なんでもいうこときくけん」で東京同行を説得する。
東京へ向かう日、清舟となるは、なぜか空港で神崎康介(荒木飛羽)に出会う。康介は、川藤鷹生(中尾明慶)からこき使われることに耐えられなくなり、逃げてきたのだと言う。清舟は、そんな康介に仕方ないから家を使わせてやると言って自宅の鍵を手渡す。
到着早々、手伝いに駆り出された清舟は、川藤の事務所に新たに所属することになった書道家・佐久間圭(佐々木一平)を紹介される。個展を開くという佐久間の打ち合わせに参加した清舟は、書道家の作品を支えるプロの仕事を目の当たりにし…。
清舟が疲れ果てて帰宅すると、なるが部屋の隅でどんよりしていた。清舟が遊んでくれるのをずっと待っていたらしい。そんな折、部屋にこもって作品作りに集中していた清明が、清舟を部屋に呼んだ。そこで清明は、東京に戻って来るよう、清舟に告げる。清明の側で仕事を手伝いながら、プロの書道家としての勉強を始めろ、と言うのだ。
あくる日、清舟はなるを連れて動物園に遊びに行く。だが清舟は、清明の言葉が頭から離れず…。
【Not Sponsored 記事】
《モデルプレス》