シシド・カフカ「全く向いていない」ドラムボーカルとして10年歩み続けてきた理由 夢を叶える秘訣とは?<モデルプレスインタビュー>
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【写真】シシド・カフカ、ドラムボーカルとしての力強い姿
◆シシド・カフカ、デビュー10周年迎えた想い明かす
― まず2022年にドラムボーカルとしてデビュー10周年を迎えてどのように感じましたか?心境の変化はありましたか?
シシド:もう10年かという感じで、あっという間でした。デビューした時はミュージシャンとはこうあるべき、こういう風に見られたいからこれをしてはダメ、こう言わなきゃいけないというような枠が作り上げられてそこに割と囚われていたのですが、10年も経つと本当に色々なことをやらせていただいているため、柔らかい心で音楽活動に取り組めるようになってきたことが大きな変化として感じています。
また、2018年頃に心も頭もすごく煮詰まって「何でこういう考え方ができないんだろう」と思考回路が絡まっていた時期があり、「これを手放すにはどうしたらいいか」と考えた時、自分の一部を切り落として見ようと思い立って髪をばっさりと切ったことで思っていた以上に良い効果と変化が生まれました。一方で、髪を切った途端に誰か認識してもらえないこともありました(笑)。
― 昨年のライブの反響はいかがでしたか?
シシド:叩いて歌うのが3年ぶりぐらいだったのですが、私のその姿を見てファンの人たちが「やっぱりこれだよね」とすごく喜んでくれたと感じ、私が叩いて歌う人間だと知らない方も結構いらっしゃるので、そういう方々もライブに足を運んでもらえて見てもらえたことは嬉しいなと思いました。
― これまでのライブの中で1番印象に残っているライブとその理由を教えてください。
シシド:2012年9月のデビューした直後に、新潟で開催されていた「JIN ROCK FESTIVAL」という森の中でやるフェスに参加し、デビューして数日の私のことを全く知らないお客さんたちが受け入れてくれた温かさは今でも鮮明に印象に残っています。会場全体が「君を受け入れるぞ」という姿勢で、私が音を鳴らした途端にみんなが立ち上がってライブを見てくれて、フェスの楽しさを教えてもらいました。ライブハウスやドームなど会場によって、全く雰囲気が変わるのでこれからも色々な人と触れ合える機会を設けて、色々な場所でライブをやって行きたいです。
― ライブで意識していることはありますか?
シシド:フェスだと30~40分などと持ち時間が決まっているので、テーマを決めることはありますが、意図的に叩き方を変えるようなことはなくただ環境によって意図せず叩き方は変わっていることはあるかもしれません。
◆シシド・カフカ、アーティスト活動での苦労・原動力とは
― 10年間、アーティスト活動を継続してきた原動力は何ですか?
シシド:この10年間で色々なことをやりながら今も原動力を探している気がしますが、お客さんの反応によって、嬉しい気持ちや楽しさを感じています。ただ、自分では全く向いていないと思っているため、何か辞めざるを得ない状況が来たら辞めるだろうなと。でも、10周年ライブで久しぶりにいつものお客さんの顔ぶれを見たり、手を上げて一緒に楽しんでくれたりしている表情や姿を見ると、この10年続けてきたからこそ見ることのできた景色が広がっていて応援してくれるみんながいるから今も楽しく続けられているんだなと思います。
― 生のライブだからこそ感じられる原動力ですね。一方で、コロナ禍でなかなか思うようにライブができない時期もありましたが、どのように過ごして乗り越えましたか?
シシド:動き出せる時のためにスケジュールを立て規則正しく生活をして、来るべき時に備えていました。あの頃は世の中が元通りになるかも分からない中でしたが、家にいる時間は勉強やバケツを被って歌うと良いと聞いたので実践して練習をしていました。
― では、これまでの音楽活動の中で1番苦労したことは何ですか?
シシド:叩いて歌うことが1番大変です。少しできるようになっても、次はライブ用に30分、40分とやり続けるように対応していかないといけないですし、さらにまた違うことやアレンジを加えたいなどの欲も出てきて、叩いて歌うという作業をどれだけの完成度で本番に持っていけるのか毎回苦労していますし、難しいなと感じています。
― 準備期間も経て、10月に開催されるライブについてこれまでのライブと比べて工夫した点やアップデートしたと思う点はありますか?
シシド:昨年のライブでできなかった曲をやりたいと思い、また3年ぶりのライブで自分的に思い余ったところが多くあったため、もう少し聞きやすいライブにしたいと考えています。また、現在バンドメンバーを一般公募して武道館ライブをするという「ハードロック計画」を進行していてメンバーが集まっていれば、10月のライブで発表して1年間だけでも活動していけたらと思っています。
この計画を始めようと思ったきっかけとしては、シシド・カフカとして音楽活動をしていく中でどうしても内に入りすぎてしまう部分があった中で、今ハンドサインを用いて即興演奏をするイベント「el tempo(エル・テンポ)」を主催しているのですが、このチームでの活動がとても楽しいためチームを組んでみたいと思ったのと、周りのスタッフさんがあまりにもハードロックを勧めてくるので改めて聴いてみたら良いなと思い、ハードロックブームもあって最近の若い世代の方にも新しい波として乗ってもらえるのかなという期待も込めています。メンバーを一般公募にした理由は世代や性別、国籍、プロアマチュアを問わず人と出会って、チームとしてつぼみから花を咲かせられたらなと思ったからで、ハードロックがとにかく好きで強い愛を持った方たちと一緒に音楽を聴いて作っていきたいと思っています。
― 他にもライブの見どころを教えてください。
シシド:ドラムボーカルをやっているシシド・カフカを見て体感して欲しいのと、この夏はドラマや映画にも出させていただいたので、歌っていることを知らない方がライブを見に来てくれたら新しい世界を届けられると思っています。とにかく素直に世界観や音楽を楽しんでもらいたいです。
◆シシド・カフカの悲しみを乗り越えた方法
― アーティスト活動と役者業の二刀流の道を選び、現在も両方の活動を続けている理由は何ですか?役者業を始める時に不安などはありませんでしたか?
シシド:最初はやはり抵抗があって、アーティストでしかない私に役者業が務まるのか、役者の世界に飛び込んでいった時にその世界の人たちがどんな気分になるのか分からなかったため、引き目を感じていました。今となっては、アーティストのシシド・カフカが何をしてくれるのかということを楽しみにしてくれているなと実感でき、2足のわらじを履いているという感覚はあまりないです。
ただ、セリフを覚えるのは大変ですね(笑)。ドラムと同じようにリズムに乗せ、ボーカルとして歌詞を覚える感覚に似ているなとも感じながら反復練習しています。
― シシドさん自身も不安を乗り越えて活動を続けていらっしゃいますが、モデルプレスの読者の中にも今、さまざまな不安を抱えている読者がいます。そういった読者に向けて、シシド・カフカさんのこれまでの人生の中で「悲しみを乗り越えたエピソード」もしくは「怒りを乗り越えたエピソード」を教えてください。
シシド:髪を切ったことが自分の中では乗り越えたと思う瞬間なのですが、あの時期は相当あがいていて、自己啓発本を読んでみたり色々な人と会って話しをしてみたりと思考の整理をして、感情をコントロールしていました。そこで、私の場合は髪を切るという行動を起こしたことで、本当に心が軽くなって物事を真っ直ぐに見られるようになったため、人それぞれだとは思いますがとにかく動いてみることが大事なのではないでしょうか。人はできないことは想像できないと言われているから乗り越えた自分を想像すれば、実現できると思います。もしかしたら、あがいてみた先が正解ではない道だったとしても動いてみないとわからないし、動いた結果自分の中に選択肢ができ始めると思うので最初の動き出しが肝心なのかなと。
◆シシド・カフカの夢を叶える秘訣
― モデルプレス読者の中には今、夢を追いかけている読者もたくさんいます。そういった読者に向けて、シシド・カフカさんの「夢を叶える秘訣」を教えてください。
シシド:言霊ではないでしょうか。言葉にすることで自分の首を絞めて追い込んでいくことも1つの手段で自分の気持ちの整理がついて思想や行動が変化することに伴い、周りも変化していくため言葉にして強く願うことはすごく効果的だと思っています。
私は留学すると決めて、「el tempo」という新しいバンドを組みました。自分でやらざるを得ない状況を作って周りを固めて、メンバーには楽しみたいという気持ちを伝え続けて良い波動となり力になっているため、声を出して行動に移すことは想像以上に大きな作用があります。
― 最後にシシド・カフカさんの今後の展望や野望を教えてください。
シシド:「el tempo」というバンドを大きくして皆さんに楽しんでもらいたいということとドラムボーカルとして面白いことをやり続けたいです。
私の場合これまでの人生でドラムボーカルはもちろん、モデルや役者など予想外のことばかりでこれ以上想像すると選択肢を狭めてしまうように感じているため楽しむ心を忘れず、周りの目を気にして無理に我慢せず言いたいことは言う、面白そうなことには乗るというマインドでいたいと思っています。
― 貴重なお話をありがとうございました。
(modelpress編集部)
◆シシド・カフカプロフィール
6月23日生まれ、メキシコ出身。ドラムボーカルのスタイルで「愛する覚悟」(2012)でCDデビュー。その後、セッション・ミニアルバムを含む4枚のアルバムをリリースし、2018年にアルゼンチンでの留学でサイン・システムを学び、同年より100種類以上のハンドサインを出しながら即興演奏でリズムを奏でセッションしていくリズム・イベント「el tempo(エル・テンポ)」を主宰している。女優としてはNHK連続テレビ小説「ひよっこ」(2017)に出演し、話題に。2023年はテレビ朝日系金曜ナイトドラマ「警部補ダイマジン」、ABCテレビ・テレビ朝日系ドラマ「何曜日に生まれたの」(毎週日曜よる10時~)、映画「リボルバー・リリー」に出演している他、ドキュメンタリー映画や番組でのナレーションも務めるなど多方面で活躍している。
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