「直木賞」は河崎秋子氏&万城目学氏 NEWS加藤シゲアキは受賞逃す
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【写真】加藤シゲアキ、3年ぶり長編小説に手応え「道は間違ってなかった」
◆加藤シゲアキ、直木賞受賞ならず
2020年刊行の前作『オルタネート』に続き、2作連続で候補になったNEWS加藤シゲアキの『なれのはて』は受賞ならず。このほか、嶋津輝氏『襷がけの二人』、万宮内悠介氏『ラウリ・クースクを探して』、村木嵐氏『まいまいつぶろ』がノミネートされていた。
河崎氏の『ともぐい』は、明治後期の北海道の山で、猟師というより獣そのものの嗅覚で獲物と対峙する男、熊爪。図らずも我が領分を侵した穴持たずの熊、蠱惑的な盲目の少女、ロシアとの戦争に向かってきな臭さを漂わせる時代の変化…すべてが運命を狂わせてゆく。人間、そして獣たちの業と悲哀が心を揺さぶる、河崎流動物文学の最高到達点となっている。
万城目氏の『八月の御所グラウンド』は、大学4回生の朽木は8月のクソ暑い京都で貴重な青春をただ怠惰に過ごしている。そんなある日、友人に借りた3万円のカタに、早朝の御所グラウンドで草野球大会をするという謎のイベントに参加させられる羽目になってしまう。しかし、人数合わせの朽木を入れてもまだ、9人確保もままならないチームは、たまたまグラウンドにいた青年たちにも助っ人を頼むことに。試合を重ね、大会が熱を帯びる一方、朽木は次第に助っ人の「えーちゃん」のことが気になり始める。ある人物に瓜二つなのである。それどころか、まさにその人だという状況証拠が積み重なるが、彼はもうこの世にはいないはずで…というストーリーとなっている。
◆芥川賞は九段理江氏
なお、同時に発表された「芥川賞」は九段理江氏の『東京都同情塔』(新潮12月号)に決定。そのほか、安堂ホセ氏『迷彩色の男』(文藝秋季号)、川野芽生氏『Blue』(すばる8月号)、小砂川チト氏『猿の戴冠式』(群像12月号)、三木三奈氏『アイスネルワイゼン』(文學界10月号)がノミネートされていた。
九段氏の『東京都同情塔』は、ザハ・ハディドの国立競技場が完成し、犯罪者は「同情されるべき人々」という言説が広がったもう1つの日本。生成AIや寛容論、ポリティカル・コレクトネスといった、「今」の問題を通して、日本の未来を預言する野心作となっている。(modelpress編集部)
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