「虎に翼」よね役・土居志央梨、撮影期間は「私服ではスカートは1回も履いていない」役作りで髪ばっさりカット【インタビューVol.2】
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◆伊藤沙莉主演「虎に翼」
第110作目の連続テレビ小説となる本作は、日本初の女性弁護士である三淵嘉子(みぶち・よしこ)さんをモデルに描くリーガルエンターテインメント。主人公の佐田寅子(さだ・ともこ/通称・トラコ)を、伊藤沙莉が演じる。
よねは寅子の明律大学女子部からの同期。戦後に再会した同期の轟太一(戸塚純貴)とともに法律事務所を始め、第20週でついに弁護士資格を取得。弁護士として歩み始める。
◆土居志央梨、よね役オファーで感じた不安
― 「あさイチ」(NHK総合・毎週月~金あさ8時15分~)などにご出演されているときの土居さんはとても柔らかいイメージで、よねとの印象の違いに驚いたのですが、よねとご自身が似ているところ・違うところをそれぞれ教えてください。
土居:周りの人を結構観察するところは似ているかなと思います。よねって人のことをすごくよく見ているんですけど、そういうところは私にもあるかなと思います。似てないところは…たくさんありますね(笑)。それ以外は大体似ていないかもしれないです(笑)。
― よねという役が来たときはどう感じられましたか?
土居:台本が来る前に男装姿の女性ということだけは聞いていて、一体どういう人なんだろうとすごく興味が湧きました。ただ自分は割と今までフェミニンな感じの女性らしい役を演じる機会が多かったので、自分に果たしてできるんだろうかという不安はありました。
― その不安を打ち消すために役作りで行ったことなどはありますか?
土居:まず台本を読んで、よねは辛い過去があったけどそれを頑張って乗り越えようとしている人だとわかったので、すごく彼女のことが理解できました。とても魅力的な人だなと思えたので、そこからはよねとの距離がぐっと縮まったというか。やっぱりそれは吉田(恵里香)さんの描かれる台本の力ですし、あとは髪を切ったことが大きかったかなと思います。
― 役作りで参考にした作品や役者さんはいらっしゃいますか?
土居:…いないです(笑)。とにかく台本と向き合ったという感じです。
― 監督さんから何かオーダーはありましたか?
土居:オーダーも特になかったような気がしていて。「よねはこういう人物で、恵まれないところから頑張っていく人だ」というお話はありましたが、「こういうふうに演じてほしい」というのは言われなかったと思うので、それだけ「ちゃんと自分でやれよ」ということなんだろうなと考えていました。とにかく大事なのは、よねの過去を子どもの頃からちゃんと埋めていくことかなと。なのでその辺りを考えてよねの幼少期時代を演じた早瀬(憩)さんのお芝居を見ながら参考にした部分もあります。
◆土居志央梨、よね役で髪ばっさりカット
― 実際に男装したご自身の姿を見ていかがでしたか?
土居:最初の衣装合わせのときはまだ髪を切ってなくてショートヘアのカツラで合わせたんですけど、そのカツラがあまりにも似合ってなくて(笑)。皆さんに写真を見せたいくらいなんですが、前髪が全部降りたカツラを無理矢理セットしている風に上げてピンで止めていて。それが本当にコントみたいになっちゃって、「これ大丈夫かな?」「1年間やっていけるかな」とちょっと不安になったんですけど、やっぱり実際に髪を切ってからは自分でもすごくしっくり来ました。今はもうスーツ姿の自分の方が見慣れている感じです。周囲からも「かっこいい」とか「似合ってる」と言ってもらえるので自信になりますね。
髪はもう本当にずっと切りたかったんです。いつかショートヘアの役が来たときのために伸ばしていたので、むしろ「ありがとうございます」というか(笑)。嬉々として切った感じでした。
― 今話されているような普段の声に比べてよねの声はかなり低いですが、声やたたずまいで意識していることはありますか?
土居:「とにかく意思の宿った力強い声がいいな、よねに似合うな」と思っていたので、家で1人で喋ったりしながら探ったりしました。新潟編の頃など私の撮影が空いた期間があって、久しぶりに撮影をしたときはやっぱりチューニングがちょっとよくわからなくなっちゃったこともありました。低すぎてもう悪魔みたいな声になっちゃったり(笑)。そこは監督に意見を聞いたり、沙莉ちゃんとかに「今の大丈夫だったかな?」と相談しながらやっています。
またスーツを着たときにポケットに手を入れたりするのも、よねはずっとそう生きてきた人なので、今取ってつけてやっているように見えないように、慣れ親しんだ仕草に見えるようにというのも意識していた部分です。
― 普段の生活でもよねっぽさが出ちゃったりすることも?
土居:そうですね。だからよねを演じている期間、多分私服ではスカートは1回も履いていないんじゃないかなと。現場に来るときにあんまりそういう気持ちにならなくて、染みついちゃっているんだろうなと思います。
◆土居志央梨、よねとして絶対にブレないようにしている意識
― それぞれの立場を象徴するような女性がたくさん登場しますが、よねも女性が社会進出していく時代を描く上で、すごく切り込んだポジションだと感じます。
土居:よねは自分の生い立ちもあって「弱い立場の人の絶対的な味方である」「恵まれない立場にいる人を救いたい」というのはとにかく最初からずっと一貫している人なので、そこが絶対にブレないように気をつけようと意識しています。それは戦災孤児を保護していることなどにも全部繋がると思います。
この時代はやっぱりどうしても女性が弱い立場にいるので、結果として女性の味方のようになっているんですが、考えているのは「恵まれない立場にいる人を救いたい」という気持ち。だから女性の社会進出というところとはちょっとズレてしまうかもしれないんですが、意識はそういうところに置いています。
― よねが寅子にダメ出しをする場面がすごくたくさんありますが、脚本の吉田さんの気持ちをよねが代弁しているように思いました。吉田さんがよねに託した想いを、土居さんは演じられていてどのようなところに強く感じましたか?
土居:よねがトラちゃんや女子部の皆と違うところはやっぱり、恵まれない生い立ちがあってすごく辛い過去を持っているというところだと思います。辛い過去はそれぞれにあるんですけど、その恵まれない生い立ちや“持たざる者”であるというのは明らかに違うところで、そういう役割をよねは担っていると思っています。そういう“持たざる者”の逆襲ではないですが、よねは懸命にその時代の中で這い上がっていくという面を常に持っています。
トラちゃんに対してはキツイことをたくさん言っているんですけど、私はいつもそれがよねの愛情表現だと思って演じています(笑)。学生時代からよねがずっと「鬱陶しい、鬱陶しい」と言って、それに構わずにトラちゃんが「よねさんよねさん」と来る様子が、あの2人の仲良しの証拠。戦後の時代になってまた再会してからも、基本的なところは変わってないなと思いながらやっています。
― 「うるさい、黙れ」と放つ場面が何回も登場して、そのときによって言葉の裏にある気持ちも異なると思いますが、同じセリフで違う気持ちを表現する難しさもあると思います。どのように演じ分けられているのでしょうか?
土居:「うるさい」とか「鬱陶しい」、「アホか」などの言葉は読み解いていくと全部、結局よねが嬉しいときや照れているとき、図星であることを指摘されたときなどに言っているので、その時々のよねの焦り具合や動揺のレベルを考えてセリフを発しています。
★Vol.3に続く!
(modelpress編集部)
◆土居志央梨(どい・しおり)プロフィール
1992年7月23日生まれ、福岡県出身。京都造形芸術大学在学中に受けたオーディションで、2013年に林海象監督の「彌勒」で映画デビュー。近年の主な出演作にNHK連続テレビ小説「おちょやん」(2020)、ドラマ「姪のメイ」(テレビ東京/2023)、映画「世の中にたえて桜のなかりせば」(2022)「ファンファーレ」(2023)など。
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