【「光る君へ」吉高由里子インタビュー】まひろにとって道長は「この世にいる理由」 出産、源氏物語執筆…怒涛の展開演じる胸中 | NewsCafe

【「光る君へ」吉高由里子インタビュー】まひろにとって道長は「この世にいる理由」 出産、源氏物語執筆…怒涛の展開演じる胸中

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吉高由里子「光る君へ」第32話(C)NHK
吉高由里子「光る君へ」第32話(C)NHK 全 1 枚 拡大写真
【モデルプレス=2024/08/25】大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合テレビ、毎週日曜午後8時~/BS・BSP4K、毎週日曜午後6時~/BSP4K、毎週日曜午後0時15分~)の主演を務める吉高由里子(よしたか・ゆりこ/36)が合同取材会に出席。8月25日に第32回「誰がために書く」の放送を終え、物語のクライマックスを迎えた吉高に、まひろ(紫式部)を演じている現在の心境や周りを取り巻くキャラクターについてなどたっぷりと語ってもらった。

【写真】吉高由里子&柄本佑、大河「光る君へ」で攻めの濃厚キス&ラブシーン

◆吉高由里子主演大河ドラマ「光る君へ」

大石静が脚本を手掛ける今作は、平安時代を舞台に、壮大で精緻な恋愛長編「源氏物語」を書き上げた紫式部が主人公。紫式部が生涯心を寄せ、陰に陽に影響しあいながら人生をたどる生涯のソウルメイトとなる藤原道長を柄本佑が演じる。

幼いころに出会い、特別な絆が生まれた道長とはお互いに強く惹かれ合うが結ばれることはなく、まひろは宣孝(佐々木蔵之介)と結婚。しかし、宿縁によりまひろは道長との子・賢子を出産する。一方で左大臣となり最高権力者となった道長は、嫡妻・倫子(黒木華)との娘・彰子(見上愛)を一条天皇(塩野瑛久)に入内させ、まひろに一条天皇に献上するための物語の執筆を依頼。作家となるまひろ本人からみる「源氏物語」、そしてそれを政治に利用しようとする道長の視点…「源氏物語」を軸にこれから物語は大きく回転していく。

今回の取材会は柄本の合同取材会と続けて行われ、冒頭に記者から柄本が「めっちゃ紫式部ですよ!」と絶賛していたことを伝えられると、「プレッシャー!ハードル上げるようなこと言い残していかないで欲しいんだけど(笑)!」と吉高らしく元気良くツッコミを入れて場を和ませた。

◆吉高由里子、自身で感じる成長とは「いつも叫びながらやっています(笑)」

― 撮影が進んでいく中での心境の変化や成長を感じることなど手応えを教えて下さい。

吉高:発表されてから2年以上経って、1つの作品にこれだけ長く携わったことが朝ドラ以来です。生まれて初めて経験することは自分から向かわないとなかなか出会えないと思うんですけど、今回こういう巡り合わせで機会をいただいて、初めての一歩を今も継続中な日々です。「私が紫式部よ」なんて思ったことは未だにないですけど(笑)。“パープルちゃん”として皆さんに愛されるキャラクターになれば良いなと思いながらやっています。演技としてじゃなくて目で見て分かる成長で言うと書だと思いました。この作品が始まる半年以上前からコツコツ練習はしてきました。今、第2回(1月14日放送)の書くシーンを見ると自分では目もあてられない字だなと思いますが、その頃はまひろも10代だったし、今は40歳代を演じていますが、役と一緒に吉高も成長したと言われていて、向き合う時間に対してちゃんと応えてくれるものだなと思いました。

― 座長として意識されているわけではないと思うんですが、やはり主役を務めていらっしゃるというところで皆さんへの気配りや心がけでされていることは?

吉高:あえて気を遣おうということはないです。自分が興味を持った瞬間や表情を見て話しかけることはありますけど、「元気づけよう」とか「やる気を出して貰おう」とか「皆集まれ~」みたいなことはやらないですよ(笑)。皆大人ですから。各々キャリアも実力もある方たちが多いので、逆にあわよくば誰に甘えさせてもらおうかという感じです。

― まひろとして文字を書いていたときと紫式部として「源氏物語」を書くときで文字が変わったり書の練習が変わったり、書道指導の根本知先生から何かアドバイスはありましたか?

吉高:まひろとしてはやっぱり仮名が多い人だったので、仮名文字を中心に。道長との文通では漢字を使ってみたりしましたけど、仮名と漢字を両方書くので集大成が始まるなという感覚はあります。漢字も仮名も両方出てきますし、現代ではあまり使われていない変体仮名も出てきますし、不思議なのが変体仮名も読めるようになってきちゃって怖いです(笑)。身についているのか、もうこびりついちゃっているのかどちらか分からないんですけど。書に対するプレッシャーもあったし、分からないものを覚えていく楽しみもありました。できないことができていくという、10代の頃に見ていたような自分の成長を30代半ばで経験できるとは思ってもいなかったので、すごくワクワクすることもありますが、本番は公開テストみたいな感覚で怯えながらやっていますね。やっぱり書き続けているとその人の字の癖も出てくるみたいで、根本先生もそういうことを理解した上で「こっちの字の方が相性が良かったね」や「ここはあえてこうやってみよう」など組み合わせて字を考えて下さるので、ゴルフで言うとキャディみたいです。書は家での練習時間が膨大なのに、実際に撮影する時間は30秒もしない内に終わってしまったりして、家の時間の孤独さを一番分かってくれるのも根本先生だと思うので、相棒感が強いというか一緒に挑戦している感じが心強いです。

― 放送が始まる前は書について「手が震えるのでなるべく書くシーンを減らして欲しい」とおっしゃっていましたが、今はもうスラスラと書ける状態になっていますか?

吉高:手の震えは日によって違うんですよね。稽古中は30~40分ぐらい経ったらやっと線が安定してくれる感じがありますが、現場は30~40分も止められないので、直前の練習は撮影本番の10分前。その「10分の間に仕上げてくれ」というプレッシャーがあって、10分でもちゃんとできるようにするには、線の傾きや筆の傾け方、線がどっちに行きやすいなど家でもコツコツやるしかないんですよね。本番となると、スタジオの湿度や風で墨の乾き方も変わってきたりして家でやるのと同じようにはいかないときがあるので、スタッフの皆さんに「お祈りしていて下さい」と言って本番に挑んでいます。

― 吉高さんは本来左利きの中、右手で書を書かれていますが、利き手を超えて書きやすくなっていますか?

吉高:どうなんだろう?でも左手で書くのは無理だと思います。傾きも変わってきますし、膨らみも変わってくるので、「右の人はこっちに広がるけど、左の人は反対側に広がりやすい」など癖が利き手によって全然違うみたいで、もし今から左手で書いたら全然違う字になっていくんだろうなと思います。だから筆を育てる感じがすごく楽しいですね。…嫌だけどね!「いや~!」と言いながらいつも叫びながらやっています(笑)。

◆吉高由里子「光る君へ」後半の挑戦は母親役

― 前半では沢山習い事に経験したというお話もありましたが、後半で挑戦になったことは?

吉高:後半は子どもとの向き合い方ですね。為時(父・岸谷五朗)との関係性と同じことを自分もしちゃっているという連鎖もあると思いますし、子どもを育てることも初めてなので、自分だけだったらできる・できないの理解もあるかもしれないけど、人と人となると、「なんでこうなるんだろう?」と自分から生まれた子に対しての向き合い方に頭を悩ませることもあります。あとは作家として物語が思い浮かぶときに筆が踊るようにスピード感を持ってのるときと、全く書けないときの苦しい自分という悩みも後半に出てきます。

― まひろはなかなか結婚しなかったり仕事をしたいと思ったり、平安貴族の女性の中で異質な存在だと思いますが、吉高さんはまひろについてどう思われますか?

吉高:女性は家庭に入るのか入らないのかという波が来ると思うんですけど、仕事をしていて結婚をしてないから幸せじゃないとか、結婚しているから幸せだとかそういう価値観には囚われず、そこが全ての幸せだと感じていないところは、仕事をしていてそこに居場所があったからなのかなとも思います。まひろの行動についてはなんとも思わず自然と受け入れられました。

― 大河ドラマという作品は10代から始まってご自身の年齢を遥かに越える幅広い年齢を演じることになると思うんですが、その辺りの難しさは感じられますか?

吉高:私は母親になったことがないので、娘という立ち位置しか人生の中では経験したことがないので、子どもとぶつかったり、思春期を迎える娘と接したり、そういう家族の距離感や母親役は難しいなと思います。ドラマだとすごく仲が良い親子役の方が多いイメージだけど、(まひろと賢子は)ぶつかり合ったり口をきかなかったり、そういうぎこちないところがリアルで面白いと思って探り探り想像してやっています。

◆吉高由里子、道長との子を出産したまひろの想い

― 石山寺の道長との再会シーン(第27回)では、道ならぬところで子をなしてしまう展開になりましたが、展開を知ったときはどう受け止めましたか?

吉高:人間ですから、そういうこともあるんじゃないかなと。当時は感性が剥き出しに先行していた時代で、それはそれで何事にもとらわれずある種、美しいものじゃないかなとは思いました。

― 元々「(道長の)正妻じゃないと嫌だ」と思っていたまひろが、正妻ではないけど道長の子どもを持つことで圧倒的な自信ができたという部分はあると思いますか?

吉高:宣孝と結婚する時点でそういうこだわりはもうなくなっていると思います。やっぱり若い頃は経験がないからこそ怖いもの知らずで何でも言えるというか、知らないからこそ言えるし、自分の可能性を多く見積もることもあると思うんですけど、生きていてある程度年齢が行ったらそうはなれない難しさが色々あるじゃないですか。現代でもそうだと思うんですけど、そういうことを悟ったというか「自分の人生はこれ以上ない」とピークが分かったんだと思います。それでいて親などに心配をかけたくないという想いもあって、最後は申し訳ないながらすがる想いで貰ってくれる男性に行った感じはしますから、道長の子どもを持てたことで自信になったという次元ではないと思いますね。自分も家族も生きることに必死で、気づいたら赤ちゃんもお腹の中で必死に大きくなっていた感覚じゃないでしょうか。

◆「光る君へ」吉高由里子が考えるまひろと道長の関係性「この世にいる理由」

― 道長からは政治的な思惑もありながら「物語を書いて欲しい」と頼まれ、ここから2人の関係はまた変わっていきますが、変わったことと変わらないことは何だと思いますか?

吉高:同じ空間にいることは今までなかったので、立ち位置も環境も変わって2人が一緒にいれる空間になって物理的には近くなります。だけど、逆にすごく遠い関係にも思えて、塀の外にいたときのまひろと三郎のときの方が心の距離は近かったような気もするんです。一生結ばれないだろうけど、惹かれ合っているのはずっと変わらないと思うんですよね。道長のことはずっと想っているし、その気持ちが爆発しないように一生懸命蓋をして、その蓋をした箱から自分で距離をとっている。また、一緒に戦って同じ方向を目指している2人としてはすごく心強くて生き甲斐なんじゃないかとも思います。まひろにとっては道長の存在はもう「どうなりたい」という相手ではなくて、生きていることが自分がこの世にいる理由という感じがしました。

― これからまひろは道長にとって妻でもなく妾でもなく「源氏物語」を書いていく仕事のパートナーのような関係に変わっていく中で、吉高さん自身はソウルメイトとはどんな存在だと思いますか?

吉高:2人はもう恋愛を超えている次元なので、戦友とかでもないですし、多分拠りどころなのかな。光と影の存在で、まひろが影の部分のときは道長が光っていて、まひろが光るときは道長が影で支えてくれている、そんな関係なんじゃないかなと思いました。

◆吉高由里子、まひろが「苦しかった今までが報われた」と感じたシーン

― 第32回で父の為時に「お前が女子(おなご)であってよかった」と言われてまひろが感動するシーンがありましたが、どんな想いで演じられましたか?

吉高:あそこはすごく大事なシーンでした。32回分やってきて、「お前が男だったらな」としか言われてこなかったまひろが、認めて貰いたい人はお父さんだったと思うんですよね。父親が学者じゃなかったら自分もこうなってはなかったと思っているだろうし、その遺伝子があったらこそ作家として注目される人物になったと思うので。やっぱり一番に認めて貰いたい人にその言葉を貰ってやっと「生まれてきて良かった」と思えた瞬間なんじゃないかなと、彼女にとってはすごく大きい一言だったと思います。女だからこそ内裏にも上がれて役目を貰って名前を貰って生きていけることになり、「ここにいて良いんだ」「居場所をやっと見つけた」とお父さんの一言で苦しかった今までが報われたんじゃないかなと思って台本を読んでいました。

◆紫式部にとっての清少納言の存在「ききょうは『しょうがない』がない人間」

― まひろにとってのききょう(清少納言/ファーストサマーウイカ)はどんな存在だと思いますか?

吉高:自分の(会話や学問の)レベルで話が合う友達ですかね。それまではやはり自分の話す速度やレベルを変えて倫子さんたちと遊んでいたと思うんです。華やかなところに憧れて飛び込んだは良いけど全然会話のレベルが違ったので、塞ぎ込んでいるわけではないけど皆に合わせた偽物の自分はいたと思っていて。だけどききょうさんは包み隠さず喋ってくれるのでそれが気持ち良いし嬉しいし、自分が喋ったことを理解してくれた上での面白さをお互い感じられる相手だったので、それがまひろにとってはドキドキワクワクする友達だったんじゃないかなと思います。今後、撮影するシーンでまたききょうの印象は変わってきちゃうかもしれませんが(笑)、ききょうは「しょうがない」がない人間だから、そういう何も囚われずに自分を貫ける芯の強さに、そこまで強くないまひろは憧れているんじゃないかなと思います。

◆吉高由里子、まひろが「源氏物語」執筆を決意した理由

― 「源氏物語」を感じる描写も沢山あって楽しんでいるのですが、これから「源氏物語」にがっつり関わっていく中で新たな発見はありますか?

吉高:大石さんの思うツボですね(笑)。私はこの作品をやることになって「あさきゆめみし」(大和和紀作漫画)を勧められて読んだんですけど、やっぱり鳥籠が物語のスタートの鍵じゃないのかと思って。三郎と出会ったきっかけも鳥籠の小鳥を逃がしてしまったからだったという場面などは、文字で読んでいる人はそのシーンをどういう想像をして読んでいたのか、その想像に寄り添えた描写になっているのかなど、その答え合わせは気になるところでした。一体大石さんは(「源氏物語」をはじめとした関連資料を)何冊読んで、多角的に物語を進めているんだろうなと思います。

― 第32回は、当初まひろは帝のために物語を書いていたのが、「自分のために書くのだ」と決意する節目となる回だと思うのですが、吉高さんはなぜまひろが自分のために書こうと思えるようになったと解釈されましたか?

吉高:帝のために書いた物語が偽物っぽく感じたというか、自分の中での違和感というか「私じゃなくても書ける」と感じたんだと思います。それで書き方や向き合い方を変えてみたら帝のための物語でもなくなってしまって自分が面白い物語を書きたいと思ったんでしょうね。作家さんが「書きたい」と思う気持ちにたどり着くことはすごく大変なことだと思っていて、書きたい気持ちがあっても書きたいものが明確にならないと書けないと思うんですが、まひろはそこでバチッと出会ったんじゃないかなと。猪突猛進型の人間だと思うので、帝のためという当初の目的はどうでもよくなって夢中になって物語が頭の中に走っていたんじゃないかなと思いました。

― いよいよまひろが「源氏物語」を書き始めるシーンは、視聴者全員が楽しみに待っていたところだと思います。そのシーン含め今後の「源氏物語」に関する見どころを教えて下さい。

吉高:私が好きなのは第31回で「源氏物語」のアイデアを思いついたときの描写です。カラフルな和紙書や巻物がパラパラと落ちてくる演出なのですがそこは私も楽しみにしています。(今後の見どころとして)帝に献上する用に1冊の本ができるまでの過程を本当に時間をかけて撮ったので、観ていて面白いんじゃないかなと思います。こっちだって負けないくらいに綺麗な設えのやつを仕込みましたよ(笑)!(※取材会実施は第31回放送前)。

― ある意味、まひろが今まで積み重ねてきたものが、結実するという感覚?

吉高:第2章が始まった感覚ですね。前置きといったらあれですけど、第1回から第31回までの自宅の外でのまひろの体験が「源氏物語」に繋がっていく。だから分かりやすいエピソードも散りばめていたと思うし、「源氏物語」を読んでない人も一緒に楽しめるように蒔いた種がこれから一つ一つ花を咲かせていくのかと思うと、なるほどと思います。だから「これで前半が終わるんだ」という感慨深い気持ちになったし、こんなに長い作品は初めてなのでそういう描写があると、「一体自分は全部の撮影が終わったとき何を考えるんだろうな、何を思うんだろうな」という気持ちがこみ上げて来ますね。そこから衣装や場所、見ている風景もガラリと変わったので、自分で用意せずとも第2章に押し出されたような感覚です。

― ありがとうございました。

(modelpress編集部)

◆「光る君へ」第33回(9月1日放送)あらすじ

道長(柄本佑)の思惑通り、一条天皇(塩野瑛久)はまひろ(吉高由里子)が書いた物語に興味を示す。そこで道長は、まひろに道長の娘・彰子(見上愛)が暮らす藤壺へあがり、女房として働きながら執筆することを提案。狙いは、一条天皇が物語の続きを読むため、藤壺へ来ることを増やし、彰子との仲を深めるきっかけにすることだ。まひろは道長の提案に戸惑うが、父・為時(岸谷五朗)に背中を押され…

【Not Sponsored 記事】

《モデルプレス》

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