「虎に翼」花江(森田望智)は“もう1人の主人公”―脚本・吉田恵里香氏が託した思い 想像を超えた2人のキャラクターとは【インタビューVol.3】
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【写真】「虎に翼」脚本家の想像を超えたキャラクター
◆伊藤沙莉主演朝ドラ「虎に翼」
第110作目の連続テレビ小説となる本作は、日本初の女性弁護士、そして裁判官である三淵嘉子(みぶち・よしこ)さんをモデルに描くリーガルエンターテインメント。
◆「虎に翼」脚本家の想像を超えた2人のキャラクター
― 今までのシーンの中で役者さんのお芝居によって、吉田さんが想像していた以上のキャラクター・場面になっているものはありますか?
吉田:意外にも、小橋(浩之/名村辰)がすごく愛されているなと驚きました。名村さんのお力があってこそで、自分自身も後半になるにつれて小橋の落としどころをすごく意識したので、構成にはないところで小橋が出てくるのは、やっぱり小橋が愛されていたということだと思います。戦後、小橋を登場させようとした時、現場チームも賛同してくれて、もしかしたら最初からそうしたかったのかもしれないとも感じました。小橋と稲垣を長く描けて良かったと思います。
― 周囲の方から意外な反響はありましたか?
吉田:10年ぐらい連絡を取っていなかった同級生から連絡をもらったのはすごく嬉しかったです。また、轟(戸塚純貴)がここまで皆さんに愛されるとは思っていなかったので、小橋と同じくらい驚きました。私自身も大好きなキャラクターなのですが、同時にすごく難しいキャラクターでもあったので、戸塚さんのお力もあったからこそ彼がここまで多くの方に愛される人物になって嬉しいです。
◆「虎に翼」花江(森田望智)はもう1人の主人公
― 森田望智さん演じる花江もすごく魅力的なキャラクターですが、どのような想いで描かれたのか教えてください。
吉田:花江はこの作品のもう1人の主人公だと思っています。朝ドラの中には、何かを成し遂げた男性の奥様がヒロインという物語があると思いますが、花江はそれにもなりうる人で、花江の朝ドラがあってもおかしくないように描いたつもりです。花江には「社会に出たい」「働きたい」という気持ちが一切なく、家庭に入って家族を支えたり、家族のために生きたりすることに幸せを感じている人なんです。それは最初から最後まで一貫しているので、働きに出るような描写は避けていました。
世の中において、バリバリ働く人のためには傍にケアする人がいなきゃいけないという構造になっていて、その中で支える側が働き手より下の立ち位置のような扱いになんとなくなっていることが心外でした。お互いに支え合って、どれだけ家庭を円満にするかということが大事であって、ご飯が用意されていたり、シーツがピンとしてたり、家にホコリがなかったり…ちょっとしたことから成り立っている心地良い生活は、支えている人の努力があってこそで、花江はそういう面でどんどん熟練していった人だなと思います。だからと言って、“やらされている”みたいに思われてしまうのも違う気がして、猪爪家は途中からみんなで支え合う形に変わっていっていますが、その主戦力は花江です。だから、同居の話も含めて彼女の取り巻く考えが見えてくるような描き方にしているので、「虎に翼」花江版があったとしてもちゃんと成立するように作りました。
― 貴重なお話をありがとうございました。
◆「虎に翼」第121回あらすじ
香淑(ハ・ヨンス)は原爆被害に遭った外国人への支援を始めることを決意する。寅子(伊藤沙莉)と航一(岡田将生)は、大学院を中退し、家中心の生活を始めた優未(川床明日香)をそっと見守っていた。
一方、朋一(井上祐貴)は最高裁事務総局から家裁に異動を命じられる。突然の決定に憤慨する朋一に寅子は言葉をかけられない。
(modelpress編集部)
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