女に生まれたからこそ「力」を手に入れられた? 昔も今も、世の中を変えるのは単純じゃない⁉【NHK大河『光る君へ』#43】 | NewsCafe

女に生まれたからこそ「力」を手に入れられた? 昔も今も、世の中を変えるのは単純じゃない⁉【NHK大河『光る君へ』#43】

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女に生まれたからこそ「力」を手に入れられた? 昔も今も、世の中を変えるのは単純じゃない⁉【NHK大河『光る君へ』#43】
女に生まれたからこそ「力」を手に入れられた? 昔も今も、世の中を変えるのは単純じゃない⁉【NHK大河『光る君へ』#43】 全 1 枚 拡大写真
  

*TOP画像/まひろ(吉高由里子) 道長(柄本佑) 大河ドラマ「光る君へ」 43話(11月10日放送)より(C)NHK

平安の女たち、平安の男たちを描いた、大河ドラマ『光る君へ』の第43話が11月10日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。

まひろは“女”に生まれたからこそ、“政”を個人の力で動かせた!?

本作も残すところ5話となり、結末が気になりはじめる頃ですね。まひろ(吉高由里子)と道長(柄本佑)は思いを実現し、世の歪を正せるのでしょうか。道長の力に陰りが見えてくるようになりましたが、道長もまひろも誓いあったあの日から変わらず一生懸命に生きています。

そうした中で、三条天皇(木村達成)の体調は好ましくなく、道長や公卿たちは次の帝のことを念頭においておくようになっていました。彰子(見上愛)は三条天皇の病は道長が彼を追い詰めたせいでさらに悪くなったのではないかと推し量り、 まひろに意見を求めます。また、彰子は「政とは それほど酷にならねばできぬものなのだろうか」と、まひろに問います。

まひろ(吉高由里子) 彰子(見上愛) 大河ドラマ「光る君へ」 43話(11月10日放送)より(C)NHK

まひろ(吉高由里子) 大河ドラマ「光る君へ」 43話(11月10日放送)より(C)NHK

まひろは「私は かつて… 男だったら政に携わりたいと思っておりました。されど 今は そう思いませぬ。人の上に立つ者は 限りなく つらくさみしいと思いますので」と、彰子に答えました。少女時代のまひろは女であるゆえに政に携われないことに悔しさを感じ、自分が男であれば…と事あるごとに考えていました。それが今、まひろの中で男であったら…という思いは薄れたようです。父・為時(岸谷五朗)から女として生まれてきたことを皇帝され、自らも働き、道長の上に立つ者としての苦労を一番近くで目にする中で考えが変わっていったのだと思います。

まひろは道長にかつて誓った「私は私らしく自分の生まれてきた意味を探してまいります」という言葉どおり生きてきました。女であるゆえに政には直接的に関与できませんでしたが、道長の地位を筆の力で高め、女房として彰子を国母にふさわしい強く、優しい女性へと成長させました。光る君への物語がなければ彰子と一条天皇の間に皇子は生まれず、道長が今の地位にはなかった可能性は高いですし、まひろの助言がなければ彰子は自分の殻に閉じこもったままだったと思われます。まひろは文才を十全に発揮して政を陰で動かしたといっても過言ではないかもしれません。また、まひろとともに成長した彰子は酷な政が執り行われている現状に疑問を抱いており、彼女も新しい風を近い将来吹き起こすと期待できます。

道長の格闘…理想と現実の乖離

本放送には、道長が実資(秋山竜次)に現在の自分の心境を伝えるシーンがありました。

道長(柄本佑) 実資(秋山竜次) 大河ドラマ「光る君へ」 43話(11月10日放送)より(C)NHK

道長は“民が幸せに暮らせる世を作るための政の実現”を胸に抱きながら、まひろと廃墟で誓ったあの日から地に足をつけ、懸命に走ってきました。とはいえ、「左大臣になって20年思いのままの政などしたことはない」という言葉にあるように、道長は左大臣の地位にのぼりつめても自分が思う政ができていないことに視聴者も気づいているはずです。また、実資が「そもそも 左大臣殿に民の顔なぞ 見えておられるのか?」と問い詰めたように、道長の周囲を巻き込んできた行動は自分が実権を握るための施策ばかりで、自らの保身が目立ち、彼の真の意図が周囲に伝わるようなものではなかったと思います。民の声に耳を傾けるようにと上に伝えたり、都で疫病が流行った時期には病に苦しむ民のための施設を自分の資産で営むことを検討したりしていたものの、道長が民のために成し遂げた大きな功績は今のところほとんど思い浮かばないのは筆者だけではないはずです。

ただし、忘れてはならないのは、まひろの活躍は道長の努力や奔走があってこそということ。まひろが自分の生まれてきた意味を見つけられたのもソウルメイトである道長の存在があるからであり、まひろひとりでは光る君への物語は生まれませんでしたし、中宮に近づくことはできませんでした。また、道長とまひろが内裏に入ったことで、新鮮な風がわずかだが吹いたように思います。

本作では、兼家(段田安則)から続く藤原家の独裁政治が描かれているようにも見えますが、政はひとりの権力者のみが動かすものではないことによくよく見てみると気づきます。帝についても政を自由に執り行えるわけではなく、公卿や左大臣から好かれなければ立場は危うくなりますし、自らの計画が周囲から阻止されることは珍しくありません。関白や左大臣の地位にあったとしても、自分の思いどおりにできるわけではなく、むしろ公卿の顔色を窺わなければその地位は危うくなります。

男と女が存在して成り立つ世の中…一世代で世の中を変えるのは難しいのかも

道長とまひろを見ていると、世の中はふたりの男女の力で変えられるほど単純なものではなく、民の幸せな暮らしの実現は個人が短期間でできるほど簡単なことではないという現実の厳しさに直面するように思います。とはいえ、世の中をよりよくするために動きたい…という思いは無駄なものではなく、こう思う人がいることで、未来のための道筋が描かれていくのです。

次週、道長はかの有名な望月の歌を詠む可能性が高いが、彼はこの歌にどのような思いを込めるのだろうか。また、史実ではこの歌は道長が権力の頂点に立ったときに詠まれたといわれていますが、権力のトップに就いた道長は自分が思うような政を行えるのだろうか。

▶つづきの【後編】を読む▶いつの時代も“ネコ様”は特別扱い。平安時代、家ネコはどのように暮らしていたの? __▶▶▶▶▶


《OTONA SALONE》

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