『オオカミの家』監督陣の最新作『ハイパーボリア人』2月公開 実写やアニメ、影絵が融合
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チリの女優で臨床心理学者であるアントーニア・ギーセンは、自分の患者が悩まされている謎の幻聴を元に、レオン&コシーニャ監督と映画を撮ることに。だが、その幻聴は、実在したチリの文化人でありヒトラーの信奉者ミゲル・セラーノの言葉だった……。
本作は、昨年の『オオカミの家』の大ヒットが記憶に新しく、今夏に行われたひろしまアニメーションシーズン2024でオープニング作品としてジャパンプレミアされ大きな話題となった、チリの鬼才アーティスト・デュオ、レオン&コシーニャの長編第2作。
タイトルの『ハイパーボリア人』とはギリシア神話やH.P.ラヴクラフトらの創作による「クトゥルフ神話」に登場する架空の民族だが、この映画では、太古の昔に宇宙からやってきて地球を支配していた半神の巨人たちと説明され、チリとの驚くべき関係も明らかにされる。
監督たちは、初の長編アニメーション『オオカミの家』の制作に5年もの歳月を費やした反動から、次はスピーディーに実写映画を作ろうと本作の制作をスタート。
実在した親ナチ文化人ミゲル・セラーノやチリの政治家ハイメ・グスマンを登場させ、チリの現代史やナチス・ドイツをモチーフにする一方、主演俳優のアントーニア・ギーセンや、監督のレオン&コシーニャが実名で登場することで、現実と虚構、過去と現在の境界を巧妙に見失わせる。
また、20世紀初頭にトリック撮影を駆使して摩訶不思議な映像世界を生み出したフランスのジョルジュ・メリエスやスペインのセグンド・デ・チョーモンをリスペクトする2人だけあり、実写、影絵、アニメ、人形、16mmフィルム、ビデオ、デジタル……と最初から最後まで何が飛び出すかわからない“闇鍋”映画を生み出した。
本作は、今年5月に開催された第77回カンヌ国際映画祭の監督週間でワールドプレミア。その後、第57回シッチェス・カタロニア国際映画祭や第41回ミュンヘン国際映画祭といった各地の映画祭でも上映、批評家たちからは「没入体験型の野心的で実験的なサイコドラマ」(screendaily)、「政治的健忘症に警鐘を鳴らす痛烈な作品」(The Film Stage)と熱量高く評されている。
前作同様、美術館で来場者に制作プロセスを見せながら撮影するスタイルで、画面に登場する背景や人形は多くの若者たちとのワークショップで作られた。監督たちは「何かを決断する、ものを作り上げるといったことに関する困難にまつわる作品でもある」とも語っている。
併せて解禁されたポスタービジュアルは、主演のアントーニア・ギーセンを中心に、劇中に登場するパペットの監督たちや親ナチ文化人、政治家、妖怪、UFOといったあらゆるモチーフを散りばめコラージュした日本オリジナルのもの。予測不可能な展開をする作品の空気感が伝わってくる。
ストーリー
女優で臨床心理学者でもあるアントーニア(アント)・ギーセンは、謎の幻聴に悩まされるゲーム好きの患者の訪問を受ける。彼の話を友人の映画監督レオン&コシーニャにすると、2人はその幻聴は実在したチリの外交官にして詩人、そしてヒトラーの信奉者でもあったミゲル・セラーノの言葉であることに気づき、これを元にアントの主演映画を撮ろうと提案する。
2人に言われるがまま、セラーノの人生を振り返る映画の撮影を始めるアントだったが、いつしか謎の階層に迷い込み、チリの政治家ハイメ・グスマンから、国を揺るがすほどの脅威が記録された映画フィルムを探す指令を受ける。カギとなる名前は”メタルヘッド”。探索を始めるアントだったが、やがて絶対の危機が彼女を待ち受ける……!
短編『名前のノート』を同時上映
世界4大アニメーションフェスティバルである第48回オタワ国際アニメーション映画祭に出品された短編『名前のノート』も同時上映。
ピノチェト軍事政権下で行方不明になった未成年者たちを追悼する重厚な「描き」アニメーション。映像、音響(合唱)ともに、こちらも若者たちとのワークショップによって生み出された。
『ハイパーボリア人』は2025年2月8日(土)より渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。
《シネマカフェ編集部》
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