脱毛を「隠す」ためでなく「ファッションとして楽しむ」、地元産業もいかしスカーフブランド起業〈体験談〉 | NewsCafe

脱毛を「隠す」ためでなく「ファッションとして楽しむ」、地元産業もいかしスカーフブランド起業〈体験談〉

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脱毛を「隠す」ためでなく「ファッションとして楽しむ」、地元産業もいかしスカーフブランド起業〈体験談〉
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2013年に多発型円形脱毛症を発症し、半年で約2/3の髪の毛が抜けた角田(つのだ)真住さん。医療用ウィッグに振り回され、「本当に大事にしなきゃいけないものを大事にできなくなった」と、ヘアロスの「アピアランスケア」として、医療用帽子、医療用ウィッグではなく「スカーフ」を選択。

当時、専業主婦から2016年に起業し、前橋市にヘッドスカーフの店舗も開いています。今回は、起業について、ヘッドスカーフのこだわりについて伺いました。

ヘアロス #20

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自分の経験を、同じヘアロスに悩む女性のためにいかしたい

2014年37歳のときにに多発型円形脱毛症を発症し、半年で約2/3の髪を失ったことはとても衝撃的でした。自分の容姿が「隠さなくては外出もままならないコンプレックスそのもの」に変わったことに愕然としました。しばらくは、医療用ウィッグを付けて過ごしていましたが、快適ではなかったんです。

ある日、家にあったスカーフを巻いて出かけたとき、友人から「かわいい」「素敵」とほめられてうれしくて、発症してから初めて前向きになれました。

円形脱毛症になるまでは、ヘッドアクセサリーとしてスカーフを取り入れてはいなかったので、最初はスカーフで髪をまとめるのがすごい大変でした。伸縮性のない、つるつるしたスカーフを頭に巻くって難しいんですよね。5分も10分もかかって。だから、自分の頭に合う形のスカーフを作ったんです。頭の形に作り込んだスカーフなら、簡単に着脱できて時短になります。この経験を、同じ病気、ヘアロスに悩む女性のためにいかしたいと起業しました。

水産大出身の専業主婦がスカーフブランドを立ち上げるまで

イルカの研究がしたくて国立東京水産大学(現・東京海洋大学)に入学。水産学部で水産経済を専攻し、群馬県の水産会社に新卒で入社しました。社長秘書で入社したんですけど、社長と一緒にいたら、新規事業がとても楽しそうで担当させてもらって。最終的には東京営業所の所長と、あと執行役員をさせていただきました。

2009年結婚のために退職し、娘2人を出産。専業主婦でしたが、事業がしたい、新しい価値を生み出すことって楽しい、いつか私も会社やってたいとずっと思っていて勉強はしていました。

クラウドファンディングで集まった資金を資本金として、2016年に合同会社Armoniaを設立し、ヘッドスカーフ事業を展開。

元々水産会社にいたので、スカーフ制作はまったくの畑違い。経験もない、業界用語も知らない。本当に大変でしたね。工場なども、ネット検索して出てきたところに電話していきました。当然、最初は返答ももらえないわけですよ。断らればまだいい方。10件ぐらい断られて、このまま行ったらもうダメなんじゃないかというときに、知り合いのお父さんがやってらっしゃる縫製会社さんが協力してくださることになって。ゲーム感覚のような、行き当たりばったりでしたね。

経営についてはビジネススクールで学びました。企業さんがオフィシャル・パートナーになった、社会起業家の育成プログラムである「会起業塾イニシアティブ」では、花王さんにパートナー企業になっていただき、いろんなご指導をいただきました。また、群馬県の無料の起業塾でもサポートしていただきました。

経験を少しずつ積み上げ、起業して8期目。2022年5月には、前橋市の商店街にヘッドスカーフの店舗「LINOLEA(リノレア)」をオープン。店舗の約半分はアトリエなっています。

当初は「広く社会にヘッドスカーフを」と考えていましたが、今はお店がきちんと地域に根付くように目の前のお客さまにどう喜んでもらえるか、と視点が変わってきています。

>>製品作りで目指したこと

製品作りで、いちばん気を付けたこと

目指したのは、気軽で快適で、ファッショナブル私がほしかったスカーフですよね。私が医療用ウィッグで大変だったり、嫌だと思った経験をしっかりカバーできるようにというのがコンセプトです。

まず、ウィッグみたいにチクチクしない。付けていることが忘れられるような肌触り、付け心地のよさ。素材や縫製にこだわりました。

次に、付けるのが簡単。市販のスカーフは結ぶのがすごく大変だったので、簡単に着脱できるような形状にしました。ヘアゴムを結ぶように、付属のシュシュでスカーフをまとめます。

そして、おしゃれであること。医療用帽子のように「かぶっていることがなんかちょっと恥ずかしい」ものではなく、ファッションとして付けられるもの。私が心が明るくなった経験のように、「おしゃれを楽しめる」ものに。

>>素材は、地元群馬の産業に

髪を失った頭皮にやさしい素材・シルク

スカーフの裏地はシルクを使っています。肌触りはもちろん、湿気を吸収・放出してくるのでより快適な肌環境をサポートしてくれます。肌との親和性は天然繊維の中でも別格です。人間の肌のアミノ酸組成とシルクのそれは酷似していているそうで、アレルギー反応も起きにくいんです。

地元の群馬県は、絹の生産で歴史のある街。特に碓氷製糸組合で作られるシルクは、世界で唯一ホルマリンを使用していない奇跡のシルクなんです。「LINOLEA」では、このシルクを裏地に使っています。

これからも、ヘアロスでも笑顔になれるヘッドスカーフを届けていきたいと思っています。

写真提供:すべて角田真住さん

■角田真住

合同会社アルモニア代表 。37歳のときに多発型円形脱毛症を発症。自身の経験経験を同じ病気に悩む女性のために生かしたいと合同会社Armonia設立。円形脱毛症による脱毛だけでなく、抗がん剤の副作用による脱毛など、治療や疾患で見た目に悩みを持つ方に向けたヘッドスカーフのブランドを立ち上げる。脱毛症への理解を進めるため、講演活動も精力的に行う。ヘッドスカーフブランドHP


《OTONA SALONE》

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