東京女子医大、改善計画を公表…卒業生子女推薦は廃止
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東京女子医科大学では、同窓会組織「至誠会」をめぐる不透明な経理処理などから元理事長を解任し、第三者委員会を設置。第三者委員会による調査報告書をもとに、新たに発足した理事会が改善計画書を完成させ、文部科学省に提出した。
「卒業生子女」推薦入試は、至誠会の推薦を得た受験生を特別枠として扱う「至誠と愛」推薦入試制度として、2018年に導入。3親等以内の親族に東京女子医科大学(前身の東京女子医学専門学校も含む)の卒業生がいる者を対象としている。
改善計画書によると、学校法人や至誠会は、至誠会による推薦を希望する者から入学前に寄付金を受け取り、寄付の状況を推薦の可否の考慮要素としていた。現在調査確認中のため断定はできないものの、法人として受験生の親族から1,000万円以上の入学前寄付金を受領していたという。今後、受験生親族からの寄付金は返金するとしている。
再発防止策・改善策として、東京女子医科大学は入学試験の運営そのものに経営者側の参加は不要との考えから、理事長(理事会)推薦の理事委員はすでに廃止。現在進行中の2025年度(令和7年度)入試検討委員会も学長や医学部長らで構成する。
2026年度入試では、「卒業生子女」推薦入試を廃止。一般推薦入試と一般選抜入試に切り替え、卒業生子女枠の定員10人は、一般推薦入試枠に組み入れる。また、多様な入試制度の導入についての検討を入試検討委員会や理事会で実施。2027年度(令和9年度)からの入試については、学士選抜、共通テスト利用選抜、英語検定試験利用などを検討し、2024年度中に決定するとしている。
調査報告書ではこのほか、至誠会行事への参加有無をポイントで測り、不足分を事実上の寄付として強いる「至誠会ポイント」による教員人事制度、出向者に対する二重給与、元理事長や経営統括部による資金の不正支出などの事案や原因も掲載。ガバナンス体制の再構築、今後の改善策などを示している。
《奥山直美》