「気楽でいいんだけど…」実家でひっそりとお正月を迎えたアラフォー独身の私が、無性に「古きよき賑やかなザお正月感」が恋しくなってしまった理由 | NewsCafe

「気楽でいいんだけど…」実家でひっそりとお正月を迎えたアラフォー独身の私が、無性に「古きよき賑やかなザお正月感」が恋しくなってしまった理由

女性 OTONA_SALONE/LIFESTYLE
「気楽でいいんだけど…」実家でひっそりとお正月を迎えたアラフォー独身の私が、無性に「古きよき賑やかなザお正月感」が恋しくなってしまった理由
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2010年にTBS入社以来、小林悠名義でアナウンサーとして活躍後、2016年に退社。昨年活動を再開したアンヌ遙香さんが、愛してやまない「映画」をフックに“今思うこと”をストレートに綴る連載です。

TBSアナウンサー時代から培われた、ほんのりマニアックな視点と語りをどうぞお楽しみに!

【アンヌ遙香、「映画と女」を語る #3】

2025年、本年もよろしくお願いいたします。

年末年始というと、色々な意味で、新しい年に心を躍らせながらもなんだか落ち着かない…多くの人にとってそんな時期ではないでしょうか。

古き良き日本の「ザお正月感」が恋しくなったら

故郷の札幌で暮らすアンヌ遙香さん

私は昨年札幌の実家に拠点を移したアラフォー独身。TBSを退社した後は、人並みにおせちやお雑煮、お花を準備して家族でテーブルを囲む…といったオーソドックスな過ごし方をした時もありましたが、今年のお正月は愛犬と、自宅で静かに年末年始を迎えました。

複雑な親戚付き合いから解放されている私のような人間の過ごし方が気楽で良さそうなんて思ってくださる方もいらっしゃるかもしれませんが(そんなことない?!ごめんなさい!)、実家で暮らす自由人ならではの我儘といいますか、ちょっとは日本の「ザお正月感」及び「大家族感」が恋しくなる時もあります。

「エア・ファミリーの賑やか感」がちょっと恋しいかも…そんな時にお勧めしたいのは、あの寅さん、『男はつらいよ』シリーズです。私が小学生の頃にはもう既に“少し懐かしさが香るお正月映画”というイメージのあるシリーズでした。

私はよく祖母の部屋でお茶を飲みながら、金曜ロードショーなどで放送されていたものを眺めていたなというイメージ。
またやってる、なんて思いながらもついつい見入ってしまう。そして、ぷっと吹き出してしまうというのがいつもの事でした。

テンポの良いテキヤの寅さんの口上、美女を前にするとポーッとなってしまう寅さんのお顔、タコ社長との派手な喧嘩…全シリーズ、毎回お決まりのパターンが繰り返されていて、いわば大いなる「ベタ」で成り立つ世界。

でもそれがとんでもない安心感につながっており、お決まりのやりとりがないと、むしろ物足りない…位の気持ちで毎回夢中で観てしまう。

まるで国民皆が、理想の故郷にエア帰省したかのような…そんな、行ったことないはずなのに何故か懐かしさで胸いっぱいになる、という温かさを私たちに与えてくれるのです。

全50作ある『男はつらいよ』の中でも個人的なおすすめは

記念すべき第一作から順に観ていくという楽しみ方もあれば、浅丘ルリ子演じるリリーとの恋愛模様を追うべく、リリーが出てくるシリーズを順番に追うという方法、自分が気になるマドンナを見つけてそこから攻めていく、出身地が出てくる作品をピックアップするという方法も。とにかく、50作もある寅さんはどういう順番で観ても楽しい。そしてなにより癒されるんですよね。

なんやかんや1人は気楽なんだけど、ちょっと昔ながらの日本の家族感を追体験したいというあなた、男はつらいよを初めて観るわという方に、私が個人的にお勧めしたいのはマドンナに松坂慶子を迎えた、1981年『浪花の恋の寅次郎』です。

瀬戸内海の小島。墓参りをしている美しい浜田ふみ(松坂慶子)を見かけてお約束ながらポーッとなり、思わず声をかけた寅さん。それからしばらくして、大阪で芸者をしているというふみと寅さんは偶然再会。


二人は生駒山の宝山寺でデートを楽しむが、ふみには幼くして別れた弟がいたという話になり、寅さんのすすめで一緒に逢いに行くことに。しかし弟は病死していた事が判明。寅さんの膝で泣きながら眠りにつくふみに、指一本ふれず、とにかく優しく包み込む寅さんだが…という本作品。

最高のキャスト陣の中でもひと際目を引く「いい女」といえば

何がいいって、私の中で登場人物が最高すぎるのです。笠智衆の御前様はもちろん「国民の甥」ミツオ、あの吉岡秀隆がいよいよ登場、というお馴染みの面々のみならず、通天閣の安宿の主人に、芦屋雁之助(あの裸の大将です!!私は裸の大将も大好きでした)。


ふみの先輩芸者にかしまし娘の正司照枝・花江。そして、ホテルで飲んだくれているおっちゃんに笑福亭松鶴。この面々の100点満点さはさることながら、まず私は松坂慶子の輝かんばかりの美しさに何度もうっとりしてしまうのです。私としては、本作品中で松坂慶子が振る舞う、いい女ぶりがとてもまぶしく、そして勉強になるのです。

近づきがたい品、華やかさがありながらも、寅さんに再会した時なぞは「いやー!嬉しい!私ずっと会いたいと思っていたの!」と全身で喜びを表して思わずぎゅっと寅さんの手を握る。そしてその手を握ったまま、自分の先輩芸者であるお姉さんたちの元にかけよる。そして寅さんの手をブンブン振り回す。

芸者さんでしょ?計算しているんじゃないの?なんて穿った見方をしようものながらバチがあたるぞ!と思わせる、そんな邪念は1ミリもない、自然で優しくて、そして子供のような喜びを一気に爆発させる様がたまらないのです。愛らしい。

そして輝くばかりのツヤ肌、黒く光る瞳、どれをとっても完璧すぎて、私は毎回松坂慶子にうっとりしてしまうのでした。

黄色とグリーンの中間位の淡いキラっとした正絹に、藤の花があしらわれたお着物でお座敷にでる場面。その艶やかさといったら。私はこれに感化されて、萌葱色の地に藤の花をあしらった着物が欲しい!と憧れた時すらありました。

本作品中の松坂慶子の振る舞い方というのがとても魅力的で、こんな女性になりたいなんて思った私。賛否両論あるかもしれませんが、私としては女性の「ふるまい方」の1つとしてこの作品をご覧になるという見方もおすすめしたいです。

あらためて寅さんの神キャラに脱帽!?

そして忘れてはならないのが、旅先でとんでもなく魅力的な女性と偶然出会い、一目惚れするものの絶対に指1本触れないと言う寅さんの紳士ぶり。大人になって見返せば、寅さんのふるまいはまさしく「完璧な大人、とんでもない人格者」であることがよくわかるのです。

どんな職業の人物であっても分け隔てなく接して、道化役を自然と買って出て、一気に相手の懐に入ってしまう。老若男女に限らずみんな寅さんのことが大好きになってしまって、「帰らないで」「行かないで」と多くの人に懇願される。

故郷である東京柴又では、「馬鹿だねぇ。全く…、真面目に働かないあいつは仕方ないねぇ。」なんて周りに言われながらも、その一言一言にはとんでもない愛が含まれている。

観客から笑ってもらうのを想定した寅さんの振る舞いやセリフの数々ですが、実は寅さんのあり方は一種仏様に近いような「利他業」そのものであることに気付かされます。

自分が笑われても、自分が犠牲になってでも、愛する人や家族、仲間が幸せになることを真剣に真剣に願っている。
観客にも「どうぞ笑ってやってくださいよ」と自らを差し出す。こんな事できる人、いません。

風の吹くまま気の向くまま日本全国を巡る寅さんに笑いを提供してもらいながらも、一方で、寅さんのようになりたいと思いつつ、そして実は誰も近づくことができない高いところにいる…大人になればなるほど、寅さんの凄さがわかるのです。

寅さん役の渥美清さんが亡くなった時、私はまだ小学生でしたが、1つの大きな時代が終わったことをまざまざと感じたものでした。そして『男はつらいよ』シリーズを観るたびに、渥美清さん演じる寅さんそのものが私たちの心の故郷であり、そして永遠に近づけない日本の理想郷そのものだなと、実感するのです。

ふと心のふるさとが恋しくなった方、『男はつらいよ』がありますよ。


《OTONA SALONE》

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