大谷選手「父親リスト」で話題のパパ育休、「日本の男性はなぜ休まないのか?」世界の育休事情をパパライターが調べてみたら驚きの | NewsCafe

大谷選手「父親リスト」で話題のパパ育休、「日本の男性はなぜ休まないのか?」世界の育休事情をパパライターが調べてみたら驚きの

面白ネタ・雑学 OTONA_SALONE/WORK
大谷選手「父親リスト」で話題のパパ育休、「日本の男性はなぜ休まないのか?」世界の育休事情をパパライターが調べてみたら驚きの
大谷選手「父親リスト」で話題のパパ育休、「日本の男性はなぜ休まないのか?」世界の育休事情をパパライターが調べてみたら驚きの 全 1 枚 拡大写真
  

こんにちは。育児真っ只中のフリーランスのコピーライター、中新です。ガジェットやトラベルなどを主戦場に、自分の経験を生かした育児記事も手掛けています。

さて、メジャーリーグで活躍中の大谷翔平選手の「父親リスト」入り(産休)が話題になりました。これを受けてSNSでは「大谷選手が育休(産休)を取れるなら、日本の全男性も見習うべき」といった意見も流れました。しかし、実際には日本で育休を取得する男性は極めて少なく、育児の役割分担は今もなお女性に偏重しています。

なぜ、日本の男性は育休を取らないのか。あるいは取れないのか。世界はどうなのか。いま一度、世界の育休事情を調べてみました。

2022年から「パパ育休制度」が始まった日本。取得は増えているものの…

まず、日本の育児休暇制度は世界的にも充実している部類に入っていることを知っておかなければなりません。2022年以降は男性であろうと女性であろうと、子どもが原則1歳になるまでの間、育児休暇を取得することが法的に認められています。しかも、一定の条件を満たしていれば「育児休業給付金」を取得することが可能で、休業中もある程度生活費をカバーできる制度が整っています。

ところが、これだけ制度が充実していても利用する男性はごくわずか。厚生労働省の調査(*1)によれば、令和2年10月から令和3年9月までに配偶者が出産した男性のうち、令和4年10月1日までに育休を取得した割合はわずか17.13%。前年度の13.97%からは上昇しているものの、依然として8割以上の男性が育休を取っていないという事実に変わりはありません。

また、取得日数が短いのも問題で、積水ハウスの調査(*2)によれば、男性の育休取得日数の全国平均は29.7日に留まるとされています。1年も取れるのに1カ月というのですから、なんだか損をしているように感じるのは私だけでしょうか。

制度が存在するのと、それを使えるかどうかとでは話が別。多くの男性からはそんな声が聞こえてきます。『取得しようにも職場の雰囲気がそれを許さない』『出世コースから外れるかもしれない恐怖がある』『相談すべき上司は育休なんてもってのほかの世代』『収入がある程度保証されるとはいえ、それは十分な金額ではない』との声も聞こえてきます。

また、企業によっては育児休暇制度の周知や取得方法の案内が不十分であり、そもそも育休が取れるという事実、金額や取り方など、育休そのものへの無理解も少なくありません。

私はフリーランスとして働いており、育児休暇制度を利用することはできません。そのため、自分で仕事をセーブすることによって家庭とのバランスを取っていますが、その間の収入には不安を覚えることが多々ありました。

会社員のみなさんの取得状況を見ると、なぜそんなに美味しい制度を使わないのかと、喉から手が出るほど羨むこともあったのですが、自分が会社員だったら、果たして本当に育休を申し出られただろうかと自問自答することもあります。たとえば出世に響かないのか? 仕事の負担が増す周囲は受け入れてくれるのか? 私は周囲に気兼ねすることが少ないフリーランスだからこそ仕事をセーブできた面もありました。やはり会社という組織のなかでは、自分の立場と今後のキャリア、周囲に漂う“空気感”を気にしてしまうのではと思います。

G7各国の育児休暇制度を比べてみたら…「実はアメリカはそもそも制度がない」

日本の男性の育児休暇制度が、使われにくい制度として機能不全を起こしている一方で、G7の国々の状況や制度内容はどのようになっているのでしょうか。調べてみると、日本と似ている国も、大きく異なる国もありました。

【フランス】男性も7日間の取得が義務化された

フランスでは2002年より父親に対して14日間の休暇が認められており、70%もの男性が取得しています。2021年からは2倍となる28日間の休暇が認められており、そのうち7日間の取得は義務化されています(*3)。政府によって義務化されているとなれば、男性も大手を振って休めそうです。

【ドイツ】父親の育休取得率を延ばす工夫が

ドイツでは「両親手当」を2007年に導入。これは片方の親が手当を受給する場合は最大12カ月間支給されるものなのですが、この時もう片方の親も育休を2カ月間の育休を取得すれば、受給期間を14カ月に伸ばすことができます。ドイツはこの制度を導入してから父親の育休取得率がぐんぐんと上昇し、2008年の21.2%から2012年には30%に。2020年には43.7%になりました(*4)。

【カナダ】ケベックではパートナー育休制度を93%が取得

カナダは10ある州のなかでケベック州が非常に先進的です。同州は2006年にパートナー専用育休という独自の制度を設けました。これは連邦制度よりも給付条件が緩やかかつ、対象となる所得の上限も高く設定されているもので、父親の利用を想定しています。これにより、ケベック州では2022年には93%ものパートナーが育休を取得。それ以外の州の31%を大きく突き放しています(*5)。

【イギリス】73%が取得するも、勤務先規模にも左右される

イギリスでは全体の73%の男性が育休を取得しているとされています。ただし、これは賃金水準が高い男性や規模の大きな企業に勤めているケースで顕著であり、給付額が少なくなってしまう男性は取得を控える傾向にあるといい、日本の男性と近しい問題を抱えているとも取れます(*6)。それでも日本よりは圧倒的に高い取得率、両国を分けるのは国民性なのでしょうか。

【イタリア】アモーレの国なのに、男性育休事情は日本に近い?

イタリアの男性の育休取得率の公的なデータは限られるのですが、日本の男性同様にかなり低く推移しているとみてよいでしょう。2013年のイタリアのシンクタンクの発表によれば、取得率はわずか7%です。また、85.4%の男性が「育児は男女平等に分担されている」と考えつつも、71.5%は「家庭運営における負担のほとんどが女性に偏っている」と認識しているとのこと。女性をリードする印象のあるイタリア、なんだか意外な印象を受けます。

【アメリカ】唯一「公的育休がない」社会。企業文化がバックアップする

アメリカはG7のなかで唯一、連邦レベルでの有給がある育休が存在しない国です。ただし、州や企業単位でみると独自の制度を持っており、育休を取ることを推奨する企業文化が存在しています。

Amazonは出産だけでなく、養子縁組前後の親に対しても完全有給の育児休暇を提供。さらに、発達障害のある子どもを持つ家庭に向けた無料サポートも備えています(*8)。Cisscoは「Grandparent Leave」と称した、孫が誕生した祖父母向けの有給休暇を用意。家族との絆を深めることを目的としているようです(*9)。

なぜ男性は育休を取らないのか?

日本の男性が育休を取らないのはなぜなのか。男性である私からあえて言わせてもらえば、「取らないのではなく、取れない人もいる」ことを理解しておく必要があると思います。

育休によって受け取れるお金は、普通に働いている時の100%をもらえるわけではありません。人手不足の昨今、あちこちの職場で社員1人が抜けた時の代替要員がいない問題が起こっています。育休を取得したいであろう2~30代の男性にとって、自分たちの父親や上司は育休を満足に取得できなかった世代、あるいは男性は働いて稼ぐもので家事育児は女性がするものという意識も強く、なかなか言い出せないケースもありそうです。大谷選手ほどの世界レベルの仕事力・発言力があれば話は別ですが……(その大谷選手も2試合のみ欠場し、あっという間に復帰している点にご留意ください)。

また、会社によっては、男性女性を問わず育休を取得することを推奨してはいるものの、実際はあまり利用されておらず、『うちは男女平等でファミリーにやさしく、先進的なスタンスを持っています』といった、社外へのパフォーマンスを兼ねているだけのケースも見受けられます。

社内で前例が少ないことだけでなく、そうした広告塔になることや特別扱いをされることが憚られ、取得を避けるケースもありそうです。

どうすれば育休が取りやすくなるのか?コピーライター視点で考える

育休を取っていい空気にするには、“言葉の力”がもっと必要です。制度設計や法律などのハード面の整備ももちろん大切ですが、日本の男性に蔓延する「育休は取れないもの」という認識を少しずつでも変えていかなければなりません。

制度そのものは個人や企業で変えていくのは難しいですが、認識や空気感は変えていけるはず。「育休は迷惑じゃない」「お父さんの育休が子どもの未来も家族の未来も変えていく」、そんなメッセージを社会全体に投げかけていく必要があります。広告の仕事をしていると、ほんの一言が人の行動や社会の流れを変えていく場面を何度も見てきました。私たちは心の許可が下りるような言葉を必要としています。

また、お父さんが育休を少しでも取ることは、その時のお子さんやお母さんだけでなく、将来親になるかもしれない未来の子どもたち全員を救うことにもつながります。

少しずつ、しかし確実に。今発することができる言葉を、今できる行動を大切にして、明るい未来を形作っていきませんか。

取材・文/コピーライター・ライター 中新大地

■出典 (*1)厚生労働省『令和4年度雇用均等基本調査 事業所調査 結果概要』2022 p15 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r04/03.pdf(*2)積水ハウス『男性育休白書2024』2024 https://www.sekisuihouse.co.jp/ikukyu/research.html(*3)日本貿易振興機構『2021年7月から出産時の父親休暇日数が現行の2倍の28日に』2022 https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/09/bc666034e443dc21.html(*4)独立行政法人労働政策研究・研修機構『父親の育休受給率、43.7%―前年比0.2ポイント増』2023 https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2023/12/germany_02.html(*5)Statistics Canada『Partners’ uptake of parental benefits: An upward trend?』2024 https://www150.statcan.gc.ca/n1/pub/89-28-0001/2022001/article/00010-eng.htm(*6)独立行政法人労働政策研究・研修機構『諸外国における育児休業制度等、仕事と育児の両立支援にかかる諸政策』2018 p125 https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2018/documents/197.pdf(*7)Eurispes『The New Fathers. A Comparison Between Men and Women』2013 https://eurispes.eu/en/report-research/the-new-fathers-a-comparison-between-men-and-women/(*8)Amazon『US Benefits and Stock』 https://www.amazon.jobs/en/benefits(*9)FORTUNE『These companies are so serious about keeping older employees that they’re offering ‘Grandparent Leave’』2023 https://fortune.com/2023/07/14/grandparent-leave-benefit-cisco-fannie-mae-retain-older-workers/


《OTONA SALONE》

アクセスランキング

  1. SixTONES京本大我、大事な撮影前の行動に監督「がっかりですね」原菜乃華も驚く【見える子ちゃん】

    SixTONES京本大我、大事な撮影前の行動に監督「がっかりですね」原菜乃華も驚く【見える子ちゃん】

  2. 永野芽郁、結婚するならどちらの名字を選択する?本名での活動に本音も

    永野芽郁、結婚するならどちらの名字を選択する?本名での活動に本音も

  3. Aぇ! group末澤誠也、新ヘア披露でトレンド入りの反響「前髪あり最強」「かっこよすぎる」

    Aぇ! group末澤誠也、新ヘア披露でトレンド入りの反響「前髪あり最強」「かっこよすぎる」

  4. 【Snow Man国立ライブ】木村拓哉&亀梨和也“モップ隊”として登場 aiko・梶裕貴ら参戦報告続々「豪華すぎる」「事務所の絆に号泣」と話題

    【Snow Man国立ライブ】木村拓哉&亀梨和也“モップ隊”として登場 aiko・梶裕貴ら参戦報告続々「豪華すぎる」「事務所の絆に号泣」と話題

  5. 潔癖症の夫が、ごはんは直箸で食べるんだが…【あのブスにできて私たちが結婚できないわけがない#63】

    潔癖症の夫が、ごはんは直箸で食べるんだが…【あのブスにできて私たちが結婚できないわけがない#63】

ランキングをもっと見る