「トランシーノ」と聞いて、ドラッグストアで買える青いキャップの化粧品を思い浮かべる人も多いでしょう。美白有効成分「トラネキサム酸」を配合した薬用スキンケアシリーズです*。
*メイク落とし、洗顔料、UVパウダー除く。
2025年2月7日、トランシーノ®薬用ブライトニングクリアローション、同ミルク、同UVパウダーEXの3品がリニューアルしました。
「ローションとミルクは約5年をかけ、満を持してのアップデートです」。こう語るのは第一三共ヘルスケア(株) ブランド推進本部 H&B事業部 BM第二グループ トランシーノ ブランドマネジャー 林毅(はやし たけし)さんです。その背景を伺いました。
トランシーノ、「期待感が一味違う」たった一つの理由とは

左から、トランシーノ薬用ブライトニングクリアローション(販売名:DSローションb)150ml 3,630円、同ミルク(販売名:DSミルクb)100ml 3,630円、同 UVパウダーEX(販売名:DSUVパウダーb 11g) 3,000円 いずれも医薬部外品・価格は編集部調べ/第一三共ヘルスケア
「ルル」「ロキソニン」「ミノン」「クリーンデンタル」など歴史あるブランドを多数擁する第一三共ヘルスケア。その中では「トランシーノ」は2007年ロンチと若手株かもしれませんが、もう少しで20周年を迎える最重要ブランドのひとつです。
「トランシーノは、医療の現場で使用されてきたトラネキサム酸の肝斑に対する作用に着目して生まれたブランドです。肝斑改善から始まったブランドですが、生活者視点で考えれば肝斑もしみの一つ。気になるしみが肌に浮かんだとき、それが肝斑なのか、それ以外のしみなのか、そんなことは関係なく『増やしたくない』のが本望ですよね」
はい、私も自分の頬にあるのが肝斑かしみか、どちらかずっとわからないまま「いやだな」と思い続けています。
「このようなご自分のしみの特徴に気づいた上で、いろいろな手段でお手入れができれば、というのがトランシーノが最初に考えたことでした。内服薬でスタートしたあと、スキンケアで多面的にケアしたいという声に応えたのは製薬会社としては新たなトライでした」
2007年に、肝斑効能を持つ初めての市販薬として、肝斑改善薬「トランシーノ」が誕生しました。なお肝斑改善薬は2024年に「トランシーノEX」としてリニューアル発売したばかりです。
トラネキサム酸は、各社でスキンケア品への応用の研究も進められ、薬用化粧品として、1995年には肌荒れ防止、2002年には美白の有効成分として効能が承認されています。
「実は抗炎症もメラニン生成抑制も機序が近いため、肌荒れ防止、あるいは美白のスキンケア剤としての研究が進んだと考えています。長く広く使われてきた成分であることも強みの一つです」
昨今はメディカル発想という言葉がよく使われますが、トランシーノは、まさにメディカル発想を体現したブランドというわけです。
「常に最新成分でアップデート」の美白市場で期待に応え続けるトランシーノだが、2019年は…
さて、2007年にOTC唯一の肝斑改善薬としてデビューしたトランシーノですが、今にして思えば、続いて2010年に医薬品ではなく美容液(エッセンス)がリリースされた点は驚くべきことでした。「内服薬から始まった製薬会社のブランド」が2品目になんと化粧品をリリースし、さらに13品も擁するメガブランドに拡大した成功例は国内で他に見当たりません。
その大躍進を以下に駆け足でご紹介しましょう。2010年のエッセンス30gリリースに続き、もっと使いたいという声に応えて翌年に50gタイプも発売。2012年には待望のローションと、日中に必須の日焼け止め。2013年はスペシャルケアとしてクリーム、2014年に同じくスペシャルケアのシートマスクを発売しました。
2015年にエッセンスが早くもパワーアップリニューアル、2016年にはミルクが登場してやっと化粧水&乳液のベーシックケアコンビが揃いました。2017年には洗うケアの大切さに着目しクレンジングと洗顔料が登場、2018年は日中用アイテムとして初代UVパウダーとCCクリームが登場します。
2018年はインバウンドの「爆買い」ブームの真っ最中。トランシーノのマスクも高い注目を集めているタイミングで、2019年にリニューアルしています。
「世の中のニーズに応える形でコンシーラーも2019年にリリースしました。アイテムが随分と充実し、シリーズ品として連動感を強化していくために、薬用スキンケアシリーズのフルリニューアルを控えていた矢先でした。思わぬことが起きたのは」
コロナ禍で止まったこともあったが、生活者の美容の意識は「一気に変わった」。いちばん変化があったのは
コロナ禍の到来です。過去最高のインバウンド需要を背に、絶好調、話題たっぷりのシリーズフルリニューアルのはずでした。
「長い間さまざまな調整を続けて満を持して行う初の大型リニューアル。しかし、そのニュース性も伝え切ることができませんでした。やむを得ないことではありますが、悔しいポイントで……。あの時期に大型リリースを進めていたブランドはどこも同じ思いを抱えたことでしょう」
とはいえ、コロナ禍を経てしみケア・美白市場は大きな変化を迎えました。
「外に出ないので日焼け止めが減らなかった、というのは当時よく伺ったお話ですが、そんな中でもしみ悩みはなくならないようでした。スキンケア市場は一瞬シュリンクしたものの、新たに『マスクのこすれが原因でしみができた気がする』という新たな悩みが生まれました。また、在宅勤務の普及でダウンタイムを乗り越えやすくなったことから美容医療がぐんと身近になり、しみは放置せずケアするものだという意識も上がりました。結果的に、現在に至るまでしみケア・美白市場は伸び盛りです」
コロナ禍には薬局で購入できる肝斑改善薬にも動きがあったそうです。
「医師にヒアリングすると、マスクの摩擦でしみが増えたと訴える患者さんのほか、オンライン会議で自分の顔を見る機会が増え、思わぬしみを見つけて来院する患者さんも増えたとの話が挙がりました。比例するように肝斑改善薬のニーズも増えました」
2021年には、夏季限定商品でジェルタイプローションを発売。2022年は洗顔料をリニューアル、新しいスポットケアとしてホワイトニングスティックも発売しました。23年には美容液を4代目へとリニューアル、さらにCCクリームなどのUVアイテム*もリニューアルしました。
*UVパウダーを除く
ここまでの記事ではトランシーノ薬用スキンケアシリーズの最新リニューアル前夜までの経緯を伺いました。続く関連記事ではトランシーノが取り入れた最新技術とその期待感を詳しく伺います。