160万円引き上げ「年収の壁」問題は解決しない49%
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「所得税160万円への引き上げ」をテーマにしたアンケート調査は2025年5月19日から5月31日にかけて、仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層を対象に実施。745名の有効回答を得た。
所得税の課税最低限が103万円から160万円に引き上がると「知っていた」は77.4%。160万円への引き上げが仕事の希望条件に与える影響については、「影響はない」と答えた人が44.0%でもっとも多かった。また、「今より給与を高くしたい」と答えた人が34.1%、「今より労働時間を増やしたい」と答えた人が24.0%であった。これらの結果から、所得税の引き上げが就業意欲に与える影響は限定的であることがうかがえる。
さらに、年収の壁問題については、「解決すると思わない」と答えた人が49.0%に達し、「どちらとも言えない」と答えた人が35.3%、「思う」はわずか5.4%だった。これにより、8割以上の人が年収の壁対策としての効果に疑問を抱いていることが明らかになった。
フリーコメントでは、社会保険の上限が問題であるとの声が多く寄せられた。特に、106万円や130万円の壁が依然として存在することが指摘されている。年金制度改革関連法案により106万円の壁は撤廃される見込みだが、週20時間以上という条件は残るため、年収の壁をめぐる問題解決には時間がかかると考えられる。一方で、所得税の壁と社会保険の壁を混同している意見もみられ、制度理解の難しさが浮き彫りになった。
しゅふJOB総研の川上敬太郎研究顧問は「160万円への引き上げは多くの人の手取りを増やす効果があるものの、それだけで年収の壁が解決されるわけではないことなど情報を整理する必要があるようだ」と述べている。
《風巻塔子》
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