こんにちは、ライターの岡本ハナです。
私の長女はADHDと強迫性障害を併せ持つ、いわゆる発達障害児ちゃん。
最近、乳児〜幼児くらいのお子さんを育てている友人から、子育て相談をよく受けるようになりました。
「オムツってどうやって外した?」「自転車はどうやって練習した?」など、日常的な内容がほとんどなのですが、中にはドキッとしてしまう相談もあります。
そのひとつが、「発語」に関する相談です。
今回は、親身になろうとして言った一言が、相手を傷つけてしまったかもしれない……。
そんな、ちょっと苦い体験を綴ります。
ママ友からの小さなSOS
我が家の4番目、次男(当時3歳)は、きょうだいの中でも群を抜いてコミュニケーション上手。
保育園はもちろん、公園やスーパーなど、どこに行っても友達を作ってくる、ちょっぴり“パリピ感”のある男の子です。
公園では、いつも仲良く遊ぶ“ガールフレンド”までできていました。
そんなある日、その女の子のお母さんが、少し浮かない表情で私に声をかけてきたのです。
「次男くんって、3歳児健診もう行きました? 実はうちの子も最近行ったんですけど……すごくショックなこと言われちゃって」
詳しく話を聞くと、その子は3歳になってもまだ全く言葉が出ず、「経過観察が必要」だと言われたとのことでした。
「発達障害かもしれないって言われて……ショックでたまりません」
肩を落とす彼女の姿を見て、私は胸が痛くなりました。10年ほど前、何度も何度も繰り返し手を洗う長女の様子が気になり、不安で胸が締めつけられたあの頃の自分を思い出したのです。
ADHDと強迫性障害をもつ長女との日々の中で、私はさまざまな発達特性をもつ子どもたちと出会い、悩みを話し合える友人にも恵まれてきました。療育教室を運営する友人のご縁で、現場の研修を見学させてもらう機会もありました。
専門家ではないものの、それなりに知識も得て、“当事者の親”という立場から、親身になったつもりで言葉をかけました。
「発語が遅い子は、自閉スペクトラムの子に多い印象があるな」
私は良かれと思って、ついそう口にしてしまったのです。
“伝える”と“伝わる”のギャップ。私は言葉を間違えた?
「うちの子も発達障害の診断を受けたとき、それなりにショックだったよ。でも、まだ確定したわけじゃないし、大丈夫。それに、小さいうちに気づけるほうが、療育とかのケアに早くつながれるから、就学前にわかったのはむしろ良かったかもしれないよ」
私がそう言うと、ママ友は一瞬、驚いたような顔をしました。
「えっ!? あの長女ちゃんが発達障害なんですか? 全然そんなふうに見えないですよ。自分から挨拶もしてくれるし……」
「そうなの。一見するとわからないことが多いんだよね。むしろ、見た目では気づかれにくいからこそ、誤解されたり苦労する場面も出てくるの。だからこそ、ちょっとでも『気になること』があるなら、ひとつずつ原因を見つけていくのが大事なんだと思うよ」
そんな深い話を交わして、「その後もまた公園で会えるかな」と思っていました。でも翌週末も、その次の週末も、彼女が公園に姿を見せることはありませんでした。
本編では、ママ友から発語の遅れについて相談を受け、良かれと思って伝えた一言が、逆に相手を傷つけてしまったのかも…という岡本さんの体験をお届けしました。
▶▶ 「伝える」より「寄り添う」ことが大切なのだと知った。発達障害児の母として私が間違えたこと
では、その苦い経験を通して改めて気づいた「寄り添うことの大切さ」についてお話しします。