大奥は「年収3000万円」「退職後の年金」も!? “将軍様に生涯を捧げるのだから、贅沢くらいしてもいいでしょ”江戸時代・大奥女中の知られざる高待遇と贅沢な暮らしぶりとは | NewsCafe

大奥は「年収3000万円」「退職後の年金」も!? “将軍様に生涯を捧げるのだから、贅沢くらいしてもいいでしょ”江戸時代・大奥女中の知られざる高待遇と贅沢な暮らしぶりとは

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大奥は「年収3000万円」「退職後の年金」も!?   “将軍様に生涯を捧げるのだから、贅沢くらいしてもいいでしょ”江戸時代・大奥女中の知られざる高待遇と贅沢な暮らしぶりとは
大奥は「年収3000万円」「退職後の年金」も!? “将軍様に生涯を捧げるのだから、贅沢くらいしてもいいでしょ”江戸時代・大奥女中の知られざる高待遇と贅沢な暮らしぶりとは 全 1 枚 拡大写真
  

*TOP画像/高岳(冨永愛) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」33話(8月31日放送)より(C)NHK

 

「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」ファンのみなさんが本作をより深く理解し、楽しめるように、40代50代働く女性の目線で毎話、作品の背景を深掘り解説していきます。今回は江戸時代における「大奥女中の待遇」について見ていきましょう。

幕閣や大名も恐れる大奥の力

大奥の女中は幕府から手当が支給される国家公務員のような立場にある女性たちです。

『べらぼう』には高岳(冨永愛)が田沼意次(渡辺謙)、松平康福(相島一之)、水野忠知(小松和重)といった老中たちと対等に話すシーンが多く織り込まれています。また、32話では、康福と忠知が高岳における意次の処遇に関する意向を治済(生田斗真)に伝えるシーンもありました。

大奥女中の大半は買い物や呉服の調整などの雑用、歌舞や音曲などの芸能を担っていましたが、大奥のトップに君臨する年寄は将軍のお世話係にとどまらず、政にも大きな影響を与えるほどの役割を担っていたのです。政を裏で動かしていたといっても過言ではありません。

本作では、意次は高岳と頻繁にやり取りを行っていますが、史実においても高岳は田沼派であり、松平定信の老中就任には断固として反対だったよう。意次は高岳を中心に大奥をうまく使って成功をおさめたともいわれています。ちなみに、高岳について詳しいことは分かっていないものの、意次は10代将軍・家治の死とともに失脚した一方、高岳の立場が大きく揺らぐことはなかったといわれています。

大奥女中は将軍から寵愛を受けることばかりに励んでいたと先入観を抱きがちですが、女子力が高く、見た目が美しいだけで勤まるような仕事ではありません。大奥のトップは将軍や御台所の相談役や話し相手を務めるため、聡明さと教養が不可欠ですし、上級女中には裁縫スキルや外交力は業務を円滑に進める上で必要でした。下級女中については力仕事も多いため、並み以上の体力や根気が求められました。

大奥トップの年収は3000万円相当

筆者は『べらぼう』に高岳が登場するたびに、“立派な着物を着ているな” “高そうな着物だな”などと思ってしまいます…。こんなにもステキな着物をいつも身にまとえるのだから、大奥トップの給与は高額だろうと想像を巡らせているのは筆者だけではないはず。

畑尚子の『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 知らなかった!? 大奥の秘密』では、13代将軍・家定付女中の役職ごとの1年間の諸手当が明かされています。

上臈御年寄:切米(基本給)50石、合力金(特別手当)60両、円換算3300万円

小上臈:切米(基本給)40石、合力金(特別手当)40両、円換算2400万円

御年寄:切米(基本給)50石、合力金(特別手当)60両、円換算3300万円

御客応答:切米(基本給)25石、合力金(特別手当)40両、円換算1950万円

御中臈:切米(基本給)20石、合力金(特別手当)40両、円換算1800万円

切手書:切米(基本給)8石、合力金(特別手当)20両、円換算840万円

火之番:切米(基本給)5石、合力金(特別手当)7両、円換算360万円

御半下(御末):切米(基本給)4石、合力金(特別手当)2両、円換算180万円

切米……基本給。幕府の御蔵米から1年間に2回支給。

合力金……衣装代、化粧代のための特別手当。1年間に2回支給。

出典:畑尚子『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 知らなかった!? 大奥の秘密』(49頁)より一部抜粋

年寄であれば3000万円相当の手当が支払われますが、これだけ支給されれば身のまわりの調度品を美しいもので統一できますし、高価な着物を買うことも可能です。

とはいえ、上級女中は自分の世話をさせる女性を雇っていたため、手当のすべてを自分のために使えたわけではありません。自分の身辺の世話をさせる人たちへの給与は手当の中から支払うためです。

なお、年寄には町屋敷が与えられ、貸家経営も認められていたため、賃料を得ることもできたそうですよ。

大奥には「年金制度」もあった?

現代社会においては退職後の面倒を看てくれる企業なんてそうそうないのが現状です。定年まで働いた従業員に退職金を支給する企業もありますが、企業の資金力や従業員の雇用形態によります。

江戸時代においては退職金や年金は一般的なものではなかったものの、大奥には退職後の暮らしを支える制度もありました。30年以上にわたって大奥奉公した人は切米か合力金のうち、多い方を生涯にわたって受け取れました。川口素生と清水昇の共著『大奥』によると、一般的な女中の場合、現在の金額で1年間に250万円ほどの支給となったといいます。

大奥の年間予算は200億円 幕府収入の1割を占めていた!?

大奥女中は数千人に及び、なおかつ上級女中の待遇が良かったため、女中に支給される手当だけでも膨大な額でした。

また、大奥では美しい着物や調度品だけでなく、甘いお菓子も人気で、当時において貴重な砂糖を1日に約600kgも使ったという記録もあります。

さらに、大奥には独自のしきたりがあり、財政悪化の原因となっていました。年寄は御台所の居間に参上する際、上草履(室内履き)を履きましたが、その都度新しいものを履いていました。一度履いたものは繰り返し履かないというルールがあったのです。1日に数百もの上草履が必要でした。定信は質素倹約を徹底する寛政の改革で、一日の草履を一足のみとするよう提案するものの、大奥から反対され、実現しませんでした。

大崎(映見くらら) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」33話(8月31日放送)より(C)NHK

ちなみに、定信が大奥の倹約を務めるように要求していた時期に大奥で力を持っていたのは、本作で映見くららが演じている大崎でした。定信が“大奥も節約に努めてくれ”と大崎に頼んだところ、大崎が“奥女中は生涯を将軍にささげているのよ。これといった楽しみもないのだから、贅沢を楽しむくらい許されて当然だわ”と言い返したエピソードはよく知られています。大奥の頂点に君臨する女性を必ずしも従わせることができなかったことが分かるエピソードです。

本編では、大奥女中たちの高額な年収や贅沢な生活、そして退職後まで支える手厚い制度についてお伝えしました。

▶▶大奥トップの心理戦と、命がけで守られた友情。新之助の最期に託された“民を思う心”【NHK大河『べらぼう』第33回】

では、打ちこわしの混乱の中で迎えた新之助の最期と、大奥トップ同士による緊迫の心理戦についてお届けします。

参考資料

安藤優一郎『徳川幕府の資金繰り』彩図社、2021年

川口 素生、清水 昇『大奥』新紀元社 、2007年

中江克己『江戸城の迷宮 「大奥の謎」を解く』PHP研究所、2006年

畑尚子『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 知らなかった!? 大奥の秘密』PHP研究所、2009年

本郷和人 (監修)『お金でわかる! ザワつく!日本の歴史』学研プラス 、2021年


《OTONA SALONE》

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