吉田美月喜主演の短編映画『顔のない街』が国際映画祭に出品決定
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本作は、東宝×ワールドメーカー短編映画コンテストの大賞作品を原案に、新鋭の村上リ子が監督・脚本を務め、吉田美月喜が主演、香椎由宇が共演する。顔を自由に変えられる近未来の日本を舞台に、そこで“ナチュラルの顔”で生きる大学生ミサが、不穏な期待と不安に巻き込まれていく様子を描く。
正式出品されることが決定したのは、北米の名門映画祭であるハワイ国際映画祭とヨーロッパ最大級のSF映画祭であるユートピアル国際SF映画祭。
ハワイ国際映画祭は1981年創設、アジア太平洋の映画にフォーカスする北米の名門映画祭。ハワイ州で唯一のアカデミー賞公認映画祭でもあり、アジアと北米の才能が交わる“玄関口”として知られている。近年ではHIKARI監督『37 Seconds』(2019)が同映画祭の主要賞「Kau Ka Hōkū Award」を受賞するなど、日本発の新世代クリエイターが世界へ羽ばたく登竜門としても注目を集めている。
ユートピアル国際SF映画祭は、文学/科学/映画/コミック/ゲームを横断する“ヨーロッパ最大級のSFフェスティバル”。2000年にフランス・ナントで創設以来、SFを通じてテクノロジーと想像力を社会に接続する独自性で、欧州を代表するイベントとして確固たる地位を築いている。
日本発の短編が同時に二大国際映画祭へ選出されたことは、本作の独創性と国際的評価を示す快挙。なお、『顔のない街』はユートピアル国際SF映画祭ではコンペティション対象作品として「国際短編映画コンペティション」にノミネート、ハワイ国際映画祭では「メタモルフォーシス短編プログラム」に選出されている。
ミサ役を務める吉田美月喜は「容姿を変えることで自分自身を見失ってしまうのか… 顔や容姿を変えることが身近になってきた今の時代だからこそ感じる怖さと深いメッセージに考えさせられる作品です」とコメント。
また、香椎由宇は「この作品のもつ独特な小気味悪さ、近い未来あり得てしまうのではないかという怖さ、それらを監督の持つ独特なテンポと繊細な色合いで閉じ込めた作品です」と語り、村上監督、原案者である西田充晴も、それぞれに本作の国際的評価に対する嬉しさを表明している。
解禁されたキービジュアルは、主人公・ミサ(吉田美月喜)の背中合わせの姿が印象的なビジュアル。洗練された世界観でありながら、ミサの表情からも作品の奇妙な雰囲気を漂わせるものとなっている。
本作は、日本全国でも劇場公開が調整中であり、注目が集まる。
コメント全文
吉田美月喜
今作が海外の映画祭にノミネートしていただいたと聞いてとても嬉しく思います。
この作品で描かれているのは「自由に顔を変えられる世界」です。もちろんフィクションですが、そう遠くない未来で起きるのではないかと思ってしまいます。
容姿を変えることで自分自身を見失ってしまうのか…
顔や容姿を変えることが身近になってきた今の時代だからこそ感じる怖さと深いメッセージに考えさせられる作品です。
今回、村上監督と初めてお仕事をさせていただいたのですが、監督の描く世界観が美しくも不気味で、私自身撮影をしながら沢山の学びがありました。村上監督とはしっかり話し合い、監督が頭の中で描いているものを丁寧にイメージしながら撮影させていただきました。是非観ていただきたいです。
香椎由宇
海外の映画祭へ『顔のない街』がノミネートされたと聞いて今まで味わったことのない高揚感でいっぱいです。
この作品のもつ独特な小気味悪さ、近い未来あり得てしまうのではないかという怖さ、それらを監督の持つ独特なテンポと繊細な色合いで閉じ込めた作品です。
言葉なくとも伝わる作品だと思うのでぜひ、日本人の織りなす繊細な作品、楽しんでいただけたらと思います。
監督:村上リ子
映画『顔のない街』の監督・脚本を務めた村上リ子です。
この度、本作がヨーロッパ最大級のSFの祭典であるLes Utopiales、アカデミー賞公認映画祭であるアメリカのHawaii International Film Festival に公式選出されたとのこと、大変光栄に思っております。
『顔のない街』に関わっていただいた皆様に、心から感謝申し上げます。
顔を自由に変えられる近未来の、同じ顔があふれる社会。美しくも奇妙な世界が、海を越えた先でどんな夢や悪夢となるのか。世界の方々に観ていただけることが、今から楽しみです!
原案:西田充晴(ペンネーム:奇多郎)
このたび『顔のない街』が国際映画祭に公式選出されたと聞き、原案者として関われたこと、大変ありがたく思います。本作は、あらゆるものを呑み込んで商品化していく運動が資本主義だとするなら、その終着駅は人間の商品化だろうし、人間の商品(カタログ)化は、新しい型の全体主義に至るだろうと、警鐘を鳴らします。
私自身、村上監督が手掛ける映像の世界に魅せられた一人です。
たくさんの方に、この映画が届きますように!
《シネマカフェ編集部》