首都圏模試センターの推定では、首都圏の2025年における私立・国立の中学受験者総数は5万2,300名(前年比99.8%)と過去40年で3番目の受験者数の多さとなり、受験率は18.10%と、過去2番目の高さとなっている*。
少子化が進む中、過熱が続く中学受験。編集部では、今回のアンケートから見えてきたリアルを掘り下げていきたい。
*出典:首都圏模試センター「1998~2025年入試までの受験者数の推移(私立・国立中学校)【2025.2.17ほぼ確定版】」
中学受験をしようと決めたのはいつ?
本アンケートの回答者の中で、中学受験を「した」と回答したのは306名で、全体の94%にのぼった。
「受験を決めたのはいつですか?」という質問に対しては、小学校3年生が23%、4年生が21%、小学校入学前が20%だった。全体の58%、約6割近くが小学校3年生までに受験を決めたという結果となっている。

・塾に入る前からたくさんの幅広い読書、いろんなジャンルの興味や好奇心を満たす体験や遊びを経験しておかないと、塾での学習のキャッチ力が違ってくる。赤ちゃんから入塾前の過ごし方がとても大切だと思う。
・やっぱり早くから目標をもって始める。途中で実力がわかったら、別の選択肢も検討すべき。
・結果的に中学受験する・しないに関わらず、少しでも視野に入るなら何かしら準備をすると良い。その準備は無駄にはならず、中学入学のための準備につながると思う。
・わが家は小1から受験勉強を始めた。低学年の学びが遊びだったのかと思えるほど、小4からの勉強量は膨大だった。さらに小5、小6と勉強量が増えて、親子で必死に走り続けた。その中で、習い事もしたい、友達と遊びたいという子供の気持ちも大切にしたいと考え、マイペースに学習を進めることができる四谷大塚の通信のみで頑張った。
・中学受験を考え始めた時点で競争の始まり。子供だけで走り続けることはできないので親が一緒に走るべき。
・理想としては、中学受験を決める前に教育方針をあらためて振り返り、その実現の手段として中学受験が相応しいか見極めること。「とりあえず塾」と考えなく走り出してしまうと、あっという間に偏差値に沿った学校選びに踊らされ、クラスの上下に心が乱される。中学受験は親の安定感が大事なので、心のよりどころを決めておきたい。
・中学受験はとてもハードなので、能力的な適性がなければ無理する必要はないと感じる。わが子は学校の成績は良かったが、そこまで適性があったとは思えず、公立から高校受験でも良かったのではないかと思っている。
中学受験を決める前に親がやっておくべきことは?
今回の結果について、中学受験指導歴30年の教育家・才能タイプ子育て研究所の小川大介氏は次のように分析する。
「小学校入学前に中学受験を決めた家庭が20%に上ることを、僕は非常に前向きに捉えています。中学受験とは、子供の学習が本格化する前に親がまず受験学習の意義を考え抜くべきものです。学習に打ち込むことの素晴らしさに確信を持ち、子供の頑張りを親の自分たちはどう応援していくのかを話し合い、子供の人生、進路への思いを分かち合う。親が態勢を整えてこそ、子供の才能タイプを生かし、思いを尊重する受験が実現できるのです」
先輩保護者からのさまざまな意見も参考に、周囲に流されるのではなく、なぜ中学受験をするのか、何のために学習するのかをまずは親として考えるきっかけにしてほしい。