本作は、『21世紀の女の子』の一篇「reborn」を監督し、中編『レイのために』や短編『木が呼んでいる』などで国内数々の映画祭で受賞するなど、その才能が評価されてきた坂本監督の初の長編。
主演はモデルとして活躍する美絽、『矢野くんの普通の日々』『ストロベリームーン 余命半年の恋』の池端杏慈、ドラマ「DOPE 麻薬取締部特捜課」に出演した蒼戸虹子が共演する。

黒い服に身を包み中央に座るのは、周囲と上手く馴染めず転校を繰り返す主人公・杏菜(美絽)。杏菜に寄り添うのはクラスメイトの栞(池端杏慈)。そして、ただ1人、視線を落とし寂しげな表情を浮かべるのが、劇中で突然命を絶つ莉花(蒼戸虹子)。
コピーには「あなたは、あたしの、誰なんだ」という含みのある言葉が添えられ、タイトルの横には白い花があしらわれている。

予告は「ねえ、莉花ってなんで自殺しちゃったんだと思う?」という衝撃的な問いかけから始まる。
賛美歌が響く中、杏菜(美絽)、栞(池端杏慈)、莉花(蒼戸虹子)の3人の少女が制服に身を包み、キリスト教の寄宿学校で過ごす日々が映し出される。
しかし平穏な日常は、莉花の死によって一変。残された日記を読み進める杏菜の身体に、青白い鬼火のような魂が入り込む。杏菜は栞に「莉花の魂が私の中に入り込んできたの」と告げるが、栞はあきれた様子で「は?」と返す。
やがて莉花の死と日記の存在によって揺らぐ少女たちの心、そして大人たちとの対立が静かに渦を巻いていく。門脇麦演じる教師・澤井が「そういうのは暴力と言うんです!」と涙ながらに叫ぶ姿も強烈な印象を残す。
予告のラストは、「少女は、“死”に触れて、自分を知る」というナレーションとともに、杏菜が凛とした表情で遠くを見つめるシーンで締めくくられ、新たな未来を予感させる。
さらに、「『ピクニック at ハンギング・ロック』を彷彿とさせる、今年屈指のデビュー作」「視覚で語り、余白で魅せる、新たな才能」といった海外からの絶賛レビューが期待をさらに高める。
また、本作をひと足に鑑賞した「下妻物語」などを手掛けた作家の嶽本野ばらからもコメントが到着した。
なお、本作のInstagramも開設、本作『白の花実』の世界観が伝わるアカウントとなっている。今後も12月の公開まで多くの写真を掲載予定という。
嶽本野ばらよりコメント
果実の中で種子が抱いているのは世界への希望か恐れか?
何にでも染まる筈の白が一点の汚れも拒む時、称賛は非難に変わる。
少女は誠実と残酷の二律背反に折り合いをつけない。
だから彼女達の命は花となり揺れる。
嶽本野ばら 作家
『白の花実』は12月26日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。