東京大学経済学部金融学科3年、さんきゅう倉田です。芸人をしています。
東大にはさまざまなプログラムが存在することを以前から紹介している。リーマンショックの前にはアメリカの証券会社による寄付講座があって、提出物が評価されるとニューヨークに行くことができたし、春休みに行われる生成AIを使ったコンペで優勝するとカリフォルニアに行ける。
そのようなプログラムには、当然ぼくも参加していて、8月に万博に行かせてもらった。名称は伏せるが、成人なら誰もが知っている有名かつ就活偏差値で上位10社に入るような企業の寄付講座で、2泊3日だった。
筆者は万博についてほとんど調べずに会場に赴いてしまい、大変後悔している。もっと調べてから行くことで存分に楽しめたはずである。
大阪から帰ってきてから、万博へ執着し、公式のYouTubeチャンネルで動画を漁っている。ラスト万博、これから万博に行く方がいるというなら羨ましくて仕方がない。
パビリオン以外でも楽しめるポイントはいくつもあった。今回は「予約ゼロ」でも満足できる見どころについて紹介したい。
▶東大生はどこからまわった?
東大生がすすめる万博のまわり方
最初、我々はリング近くの海外のパビリオンの様子を見ることにした。あまり並んでいないパビリオンを探しつつ、万博の雰囲気を掴むためである。
吸い込まれるように人が入っていくインド館を誰かが見つけ、「入れるよ」「行ってみよう」などど簡単な会話をして、冷気を辿るように門をくぐる。すでに汗だくである。調度品やモニターを見て、10分ほどで退出し、パビリオンひとつの所要時間をなんとなく把握して、我々の万博がスタートした。
近くにはタイやベルギーのパビリオンがあるが、行列ができている。少し散策してみることにし、大屋根リングから中央に向かうと、コモンズや「夜の地球」があって、この辺りはあまり並んでいないことが分かる。
中に何があるのか、どのような展示なのか誰も知らなかったが、日陰と冷房に飢えていた我々は、「あそこに入ってみよう」という誰かの声かけに従った。暑さで思考は停止しかけていて、最早なんでも良かったのだ。
ただ、このような入場の方法は、万博に適していたと感じる。コモンズで得られる異文化との接触は非日常的で魅力があったし、夜の地球の美しい展示とその発想は我々の脳を刺激するのに十分だった。
これから万博に行くみなさんは、ほとんど並ばずに入れるパビリオンなどないかもしれない。
ただ、もしあったならば、関心の有無など気にせずとにかく飛び込んでみてほしい。あなたをより高次の次元に誘う知識や美しさと邂逅できる可能性があるからだ。
▶万博の中で別世界のような場所
自然が溢れる静けさの森は、別世界のようだった
万博会場は人工物だらけである。大屋根リングや一部のパビリオンが木造建築なのであまり感じないが、空と人間とトンボ以外の自然物は視界に入らない。
しかし、中央エリアを支配する「静けさの森」は自然だらけである。どうやってここにこれだけの自然を持ってきたのだろうかと疑問に思うほどだった(将来間伐予定の樹木など1500本を植樹したそうだ)。
万博会場はほとんど鳴り物がないので、確かに静かである。この森を通って、会場の他のエリアに移動すると、別の世界に移動したような気分に浸ることができる。
我々が森を抜けると、そこには立体的な地面と縄の構造体があって、子供達がはしゃいでいた。日常的には見かけない空間で、こういうものを見るだけで楽しさがあり、計算されて作られているように感じ、人類の叡智を賞賛したい気分となる。
▶大屋根リングに4時間滞在!?
悪く言う東大生がいない大屋根リング。4時間滞在した友人の感想
SNSを見ると大変評判の良い大屋根リングであるが、もちろん東大生からの評判もすこぶる良い。
ひとりで4時間滞在した友人もいた。筆者も東ゲート付近から西ゲート付近への移動を兼ねて半周ほどしたが、景色や水のショーを見て、友人たちと記念撮影をして30分ほどで地上階に降りたので、友人は4時間で何をしていたのか大変気になる。
彼は様々な位置から円の内側にあるパビリオンを見て、建築物の麗しさ、雄々しさ、構造に傾倒し、空に聳える積乱雲と単なる点の集合となった人々との対比に見惚れていたらしい。
なんの変哲もない焚き火を永遠に見ていられるように、今にも落ちてきそうな積乱雲の下で様々な方向に進み、どこかに消え、あらゆる場所から湧いて出てくる無数の点の動きが彼を魅了した。
大屋根リングには来場者を惹きつけるだけの力があるし、ずっと残して欲しいと人々が願うのも当然である。コストなど様々な理由で解体されるが、建築家、ゼネコン、施工業者など作った人々の達成感や充実感は計り知れない。
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