韓・爆・平…1位になれなかった「今年の漢字」歴代2位を紹介
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毎年12月に京都・清水寺で発表される「今年の漢字」は、その年1年の世相を表す漢字一字として、多くのメディアで取り上げられる。最多投票数を獲得した漢字が第1位として森清範貫主の揮毫(きごう)により発表されるが、日本漢字能力検定協会は1位から20位までの漢字を発表している。同協会は、これまであまり注目されてこなかった第2位の漢字に着目し、過去30年間の歴代2位の漢字から当時の世相を振り返る5つの事例を紹介した。
1998年の第2位は「不」だった。応募数は501票(得票率3.82%)。この年は、日本経済が底知れぬ不況に陥り、政治家や財界人に対する不信感が高まるなど、先行きが不透明なことから国民が不安を感じた1年であった。なお、第1位は和歌山県のカレー毒物混入事件や、猛毒のヒ素・ダイオキシン問題、反町隆史氏の楽曲「POISON」の流行などを理由に、2,693票(同20.56%)を獲得した「毒」が選ばれた。
2004年の第2位には、6,243票(得票率6.81%)で「韓」が選ばれた。テレビドラマ「冬のソナタ」や出演俳優の「ヨン様」ブームをきっかけに「韓流」という言葉が広まったことがおもな理由である。第1位は、新潟県中越地震や台風の多発など、自然災害に見舞われたことから2万936票(同22.84%)を獲得した「災」であった。
2013年の第2位は「楽」で、応募数は8,562票(得票率5.03%)だった。第1位の「輪」(9,518票、同5.59%)とは956票差であった。この年は、東北楽天ゴールデンイーグルスが日本シリーズで初制覇を達成したほか、東京五輪の開催決定、富士山の世界遺産登録、英国でのロイヤルベビー誕生など、明るい話題が多かった。また、経済政策「アベノミクス」により生活が楽になることへの期待も理由としてあげられた。
2015年の第2位は「爆」で、4,929票(得票率3.80%)を獲得した。第1位の「安」(5,632票、同4.34%)との差は703票だった。訪日外国人の急増、特に中国人観光客による「爆買い」が社会現象となったことが大きな理由である。そのほか、鹿児島県・口永良部島の噴火爆発や「爆弾低気圧」による天災、パリで発生した爆弾や銃乱射による同時多発テロなども理由にあげられた。
2018年の第2位は、1万6,117票(得票率8.34%)を獲得した「平」であった。平成最後の年であったことに加え、平昌五輪での小平奈緒選手や羽生結弦選手などの活躍、米大リーグでの大谷翔平選手の新人王獲得などが理由としてあげられた。また、南北首脳会談や米朝首脳会談が行われ「平和」への期待が高まった一方、豪雨や地震、台風などの災害が多発したことから、平穏無事を願う声も多かった。なお、この年の第1位は2万858票(同10.80%)で「災」が選ばれている。
京都・祇園にある漢検 漢字博物館・図書館(漢字ミュージアム)では、企画展「今年の漢字展」を開催している。1995年から2024年までの「今年の漢字」の大書現物がすべて展示されており、日本の世相の移り変わりをたどることができる。開催期間は2025年10月21日から2026年2月23日まで。観覧には漢字ミュージアムの入館料が必要となる。2025年の「今年の漢字」の大書は、2025年12月23日から展示される予定。
《吹野准》
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