「優しかったころの夫に戻って欲しい」その“希望”にすがり続けた妻が、裏切られ、心を壊していくまで | NewsCafe

「優しかったころの夫に戻って欲しい」その“希望”にすがり続けた妻が、裏切られ、心を壊していくまで

女性 OTONA_SALONE/LIFESTYLE
「優しかったころの夫に戻って欲しい」その“希望”にすがり続けた妻が、裏切られ、心を壊していくまで
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夫婦問題・モラハラカウンセラーの麻野祐香です。

いつも「大切にされたい」「存在を認めてほしい」という不安を抱えていたAさん。“この人といると安心できる”と思った男性と結婚したはずなのに、結婚後はその安心を一番揺るがす存在が、夫になってしまいました。今回はそんなAさんのお話です。

※写真はイメージです

※本人が特定されないよう名前などを変えてあります

思えば、物心ついたときから緊張して過ごしていた

Aさんは物心ついた頃から、家の中で常に緊張していました。理由は、父親の存在です。父親は気分の浮き沈みが激しく、些細なことで怒鳴り、物に当たり、時には手が出ることもありました。幼いAさんがテレビを見ている父に話しかけただけで怒鳴られた経験は、恐怖として深く染み込みました。

父の機嫌が悪くなると、家の空気は一気に張り詰め、母親は黙り込む。その雰囲気を敏感に感じ取っていたAさんは、誰よりも早く“人の機嫌を読む子”になっていったのです。

父の足音、表情のわずかな変化、声のトーン、そしてドアの閉め方…

そのすべてが“危険のサイン”。小さな違和感にも気づき、父の機嫌を悪化させないよう先回りして行動する。それがAさんにとって、家庭の中で自分を守る唯一の方法でした。

こうした環境で育つと、「自分が悪いのではないか」と考えるクセがつきやすくなります。Aさんが大人になってからも相手の機嫌に敏感だったのは、性格の問題ではありません。幼少期の経験が、身を守る術として染みついた結果なのです。

長い間“父親の機嫌に怯える生活”をしていたAさんは、自分の気持ちより相手の機嫌を優先することが当たり前になっていました。その習慣は大人になってからの恋愛にも影響していきます。

・返事が遅いと不安になる
・相手の表情が曇ると、自分のせいだと思ってしまう
・不機嫌になりそうだと、望む行動を先回りしてとってしまう
・自分の意見より相手を優先してしまう

こうした傾向は、心理学では 「不安型の愛着スタイル」 と呼ばれます。

ワンポイント心理説明:不安型の愛着

子どもの頃「急に怒り出す親」「機嫌が読めない親」「愛情が安定しない親」のもとで育った人は、安心を感じる経験が少ないまま大人になります。

すると大人になってからも、
「この人は本当に自分を大切にしてくれるの?」
「嫌われないようにしないと」
と常に不安を抱えやすくなるのです。

これが“不安型の愛着”です。

性格の弱さではなく、「安心できない家庭で生き延びるために身につけた適応スキル」の名残です。

いつも「他人に嫌われるのではないか」という不安を抱えていた

Aさんはいつも“嫌われる不安”を抱えながら恋愛を続けてきました。
「安心できる人のそばにいたい」その願いが強くなるのは、幼少期の環境を考えれば自然なことでした。

そんな中で出会ったのが、現在の夫です。交際当初の夫は、Aさんがこれまでの恋愛では経験したことのない“優しさ”を見せてくれました。連絡はこまめで、言葉は柔らかく、

「無理しなくていいよ」

「疲れてない?」

と気遣いをしてくれる人でした。

Aさんはその優しさに、初めて心の緊張がほどける感覚を覚えました。「この人のそばなら安心できる。もう怯えなくていいのかもしれない」そう希望を持てた、人生で初めての瞬間だったといいます。

結婚を決めた時、Aさんは父親との関係では得られなかった“安心”をようやく手に入れられるように感じていました。しかし、結婚後まもなく、Aさんの心に小さな違和感が積み重なり始めます。交際中には見せなかった夫の一面が、少しずつ顔を出していくのです。

結婚後たった数日で「面倒な女だな」と言われて

結婚して数日が経った休日の朝のこと。Aさんがいつもの調子で「今日はどこに行く?」と何気なく声をかけただけなのに、夫はテレビから目を離さず、

「うるさい。面倒な女だな。ほっといてくれ」

と吐き捨てるように言いました。

交際中はどんな話題でも「いいね、どこ行きたい?」と優しく受け止めてくれていた夫でした。ところが結婚後の夫は、Aさんが話し始めただけで

「黙ってろ」

「俺に指示するな」

と強い口調で返すことが増えていきました。机を叩くなどの行為も見られ、Aさんは次第に夫を怒らせないよう、話す量を自分で制限するようになっていきます。交際中には感じなかった“夫が怖い”という感情が、静かにAさんの中に広がり始めました。

安心を求めて「この人なら大丈夫」と思って結婚したのに、その安心を一番揺るがす存在が夫だった……。その現実に気づいた瞬間、Aさんの心は混乱と恐怖に包まれました。不安型愛着の人にとって、“安心できる人”は心の土台そのものです。だからこそ、その土台が崩れた時には深い動揺が生まれます。

●見捨てられたような感覚
●自分の価値を否定された感覚
●「どうして?」が止まらない混乱

不安は雪だるまのように膨らんでいきました。そして不安型愛着の人は、関係が壊れそうだと感じた時、反射的に “自分のせいだ” と考えてしまう特徴があります。夫の言葉に傷ついたその瞬間、Aさんは

「私の言い方が悪かったのかな、夫の気に障らないように、もっと優しくすればよかったのかな」

と、自分の落ち度を探し始めました。夫が変わったのは自分に落ち度があったからだ……そう思い込むほど、Aさんは必死に“夫に愛される自分”になろうとしていきました。

不安型愛着の人が、信じていた相手が変わった時に起こりがちな反応には、次のようなものがあります。

すぐ自分を責める
「私が悪かったんだ」「また怒らせてしまった」

さらに相手に合わせようとする
声のトーンや行動、会話の内容を“相手仕様”に変えていく

本音が言えなくなる
嫌われるのが怖くて、感情を抑え込むようになる

相手の機嫌を先回りして読む
怒らせないよう、いつも神経を張り巡らせる

安心を取り戻すために頑張り続けてしまう
傷ついていても、関係の維持を最優先してしまう

Aさんの行動は、この特徴に深く当てはまっていました。Aさんは、夫からのモラハラがどれほどひどくなっても「いつか優しい夫に戻ってくれる」「私が変わればうまくいくはず」という期待を捨てることができませんでした。

けれどこの“希望”こそが、Aさんの心をすり減らしていく原因になっていきます。

本編では、Aさんが“いつか優しい夫に戻ってくれるはず”という希望に縛られ、モラハラを正当化しながら心を削っていった過程についてお伝えしました。

▶▶ 「『優しかったはずの夫』に徹夜で正座させられる日々。そしてついに殴られ……。泣き続けるしかなかった妻が、最後に選んだたった一つの道とは
では、Aさんがついに希望を手放し、絶望から抜け出すきっかけになった出来事と、そこからどう人生を立て直していったのかをお届けします。


《OTONA SALONE》

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