2025年冬のボーナス、支給額の伸びは限定的…農・林・水産などで増加

　帝国データバンクは2025年12月9日、「2025年冬季賞与の動向調査」を公表した。22.7％の企業で、従業員1人あたりの平均支給額が前年より増加する一方、変わらない、または賞与なしの企業も多く、賞与の伸びは限定的であることがわかった。業界別では、「農・林・水産」の企業で増加が目立った。

　「2025年冬季賞与の動向調査」は2025年11月14日～30日、全国2万4,531社を対象に実施した。有効回答企業数は1万207社（回答率41.6％）。なお、調査は2020年以降毎年実施し、今回は6回目となる。

　2025年の冬季賞与（ボーナス・一時金・寸志など含む）について、企業の80.5％が賞与を支給する予定があると回答。従業員1人あたりの平均支給額が「賞与はあり、増加する（した）」企業は22.7％で、前年（23.0％）よりわずかに減少した。また、「賞与はあるが、減少する（した）」企業は13.2％と、前年（13.9％）を0.7ポイント下回った。「賞与はない」企業は12.0％に減少した一方、「賞与はあり、変わらない」企業は44.7％で、前年（43.3％）より1.4ポイント増加しており、賞与の伸びは限定的だといえる。

　業界別でみると、「農・林・水産」「金融」「建設」「小売」「運輸・倉庫」の5業界で、冬季賞与が増加する割合が高まった。とりわけ「農・林・水産」は32.5％の企業で増加を見込み、前年から9.6ポイント増（2年前から17.1ポイント増）と大幅な伸びを示している。背景には鶏卵やコメ、食肉価格の高止まりによる需給引き締まりが考えられるという。

　また、「運輸・倉庫」は33.6％と業界別でもっとも高く、自動車関連の回復やEC（電子商取引）需要の拡大が追い風となっているようだ。

　2025年冬、80.5％の企業がボーナスや一時金など何らかの形で支給する予定だという。しかし、「増加」の割合は約4社に1社にとどまっているほか、前年と「変わらない」が44.7％と圧倒的に高い。

　帝国データバンクは、「これらの背景には、最低賃金の引き上げや、インフレ圧力の継続による中小企業の収益改善の遅れがありそうだといい、2026年以降も飲食料品など生活必需品の値上げが続くと予想される中、企業がボーナスの原資を確保し、家計の購買力を下支えすることが、消費活性化のカギとなるだろう」とまとめている。