中高生の学びと意欲の傾向は？…適性診断「BRIDGE」で分析

　リンクアンドモチベーションは2025年12月15日、中学生高校生の傾向に関する調査結果を公開した。調査では、中高生がもつ発想力や対人面での強みが、周囲と足並みをそろえようとする傾向の強さから十分に発揮されず、推進力や意味探求の低下につながっていることが示唆された。

　調査は、2016年1月から2025年10月に同社が提供する適性診断「BRIDGE」（個人の思考特性や行動特性、モチベーション傾向などを可視化する診断）を受検した中学1年生から高校3年生までの延べ2,500人を対象に実施した。中学生・高校生を取り巻く環境が大きく変化する中で、学年ごとに異なる心理的・認知的な発達段階や、家庭・学校からの期待の違いを明らかにすることを目的としている。

　調査の結果、いずれの学年でも右脳的な発想力がもっとも高く、左脳的な計画力がもっとも低い傾向が明らかになった。また、外部に向けて行動を起こす力は高いが、自分を律してやり抜く力は低い傾向がうかがえた。

　学年別にみると、中学3年生は中学1年生と比べ、左脳的な推進力や右脳的な力（試行力、変革力、機動力、発想力）が低く、物事を前に進めたり、自由に発想しながら試行錯誤することを苦手とする傾向がある。対自分力では、忍耐強く継続することや、新しいことへの挑戦、思い切った決断が苦手な傾向がみられた。また、周囲と協力しようとする姿勢は強いにもかかわらず、周囲を引っ張る力は弱い傾向にあった。

　一方、高校3年生は高校1年生と比べ、左脳的な計画力や確動力、推進力に加え、右脳的な力も高い傾向がみられた。全般的に対課題力が高く、対自分力では自制心をもって継続的に学習に取り組み、思い切った決断を行う力が高い傾向にある。対人力では、目的意識が明確になり、周囲の話をよく聞きつつ、自分の考えを相手に理解・納得させる力が高い傾向が示された。

　これらの結果から、同社は、中高生には自由な発想や柔軟な行動力を伸ばすとともに、計画を立て、辛抱強く学習を継続する自律性を育むことが重要だとしている。

　今後は、自由な発想や柔軟な行動を伸ばすために、本人の主体的な言動をすぐに否定せず、まず受け止めて承認することが重要になる。そのうえで、学習や挑戦の意味を本人が理解し、自ら目的を言葉にできるよう、方法論を伝えるだけでなく考える時間を確保すること、計画力や内省力を育てるため、計画を立てて継続する行動や振り返りを促すことなど、強みを基点に課題の内省を促す関わりを、家庭や学校などの関係者が役割分担して行う必要があるとしている。