DJはナイトクラブを飛び出した。話題のイベント「YY HOUSE」から探る“DJ×空間演出”の可能性 | NewsCafe

DJはナイトクラブを飛び出した。話題のイベント「YY HOUSE」から探る“DJ×空間演出”の可能性

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DJはナイトクラブを飛び出した。話題のイベント「YY HOUSE」から探る“DJ×空間演出”の可能性
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DJがパフォーマンスする場所と言えば、やはり人々が大音量の音楽と共にダンスやお酒を楽しむナイトクラブを想像する人が多いだろう。だが、最近では、DJが彼らの主戦場とも言えるクラブの外に飛び出し、日常のさまざまなシーンで活躍する場面が増えてきているのはご存知だろうか。清澄白河にある日本仕事百貨の自社ビル「リトルトーキョー」で毎月第3火曜日に開催されているイベント「YY HOUSE」もそのひとつ。このイベントでは、DJが演出する唯一無二の空間の中で、来場者それぞれが音楽を楽しみながら、自由な時間を過ごすことができる。本記事では、先日行われた「YY HOUSE」の様子をレポート。また、イベントを主催するDJのRAMIELさんへのインタビューも交え、「DJ×空間演出」の可能性について考えてみたい。

【DJが空間を演出する「YY HOUSE」体験レポート】

「YY HOUSE」に足を運ぶ前は、読書が捗る空間だということを事前に聞いていたため、あたかもBGMのように絞ったボリュームで音楽が流れていて、それぞれがゆったり過ごしている……なんとなくそんな想像をしていた。しかし、一歩中に入ると、その予想はすぐに覆される。流れている音楽は一般的なBGMよりは大きく、しかし体の芯まで響く大音量でもない、適度な存在感を保っている。そんな音楽とは対象的に、DJのRAMIELさんはカウンターの隅にひっそりとブースを構え、ヘッドホンをつけて淡々とDJプレイに集中していた。

イベント開始直後の19時頃は、1人でふらっと訪れる人が多かった。本を読んだり、会場内の雑貨を見て回ったり、ドリンクを飲みながらくつろいだり、持参したパソコンを開いたり。それぞれが思い思いの時間を過ごしており、その時間帯にRAMIELさんがかけていたのは、各々の集中を妨げず、没入感を醸し出す音楽だったように思う。筆者は読書をしたが、内容にごく自然にのめり込み、時間があっという間に過ぎていくような不思議な感覚を味わった。

空気が変わったのを感じたのは、20時を過ぎた頃だ。仕事終わりにやってきたと思われるグループが増え、少しずつ会話も目立ち始めた。すると、それまでの“個人が集中する空間”が、“社交の場”へと変化していることに気付いた。ボーカル入りの楽曲などが流れ、いつのまにか会話が浮かないような明るい雰囲気になっている。それは、まさしくRAMIELさんが場の空気を感じ取って、それに寄り添う音楽を心掛けているからに違いない。

主催のRAMIELさんいわく、どこかで友人たちと飲んだ後にこの「YY HOUSE」を訪れる人などもいるという。筆者は19時~20時過ぎまで滞在したが、もっと時間が深くなれば、雰囲気はさらにくだけ、音楽もより華やいだものに変わるのかもしれない。そして夜が更け、イベント終了が近づいた時間帯には、1日の終わりにふさわしい静謐な空間へと移り変わるのだろう。機械的に流れるBGMではなく、DJという人間が場の雰囲気に合わせて音楽をかけるからこそ、このような繊細な空間作りが可能となるのだ。

【多様化するDJ×空間演出の可能性】

近年では、落ち着いたカフェの中でDJが音楽をかけたり、屋外のマーケットイベントで専用ブースが設置されたりと、DJがマルチに活躍する場が増えてきている。また、先日開催されたモーニングイベント「Sauna & Boogies」は、参加者がランニングとサウナでリフレッシュした後、ドリンクを片手にDJの音楽を楽しむというユニークな構成。ある意味ナイトクラブとは対照的とも言えるウェルネス分野にもDJが進出しているのが興味深い。

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いずれのパターンでも、DJは音楽でその場の空間演出を行い、人々が過ごす時間の質を高める重要な役割を担っていると言えるだろう。今回は「YY HOUSE」主催者であり、音楽や建築を通して日本の物語を世界に伝えるカルチャープロジェクト「SENJO」のメンバーとして、お寺や瞑想室などでのDJ経験もあるRAMIELさんにインタビューを実施。いま広がる“DJ×空間演出”の可能性について語ってもらった。

【RAMIELさんインタビュー】

ーー「YY HOUSE」という企画を始めたきっかけは何ですか?

RAMIELさん(以下:RAMIEL):元々DJってナイトクラブとかミュージックバーがメインの会場だったんですけど、限られた時間帯に限られた空間で、クラブミュージックっていう限られた音楽で。

基本的にクラブだと未成年が入れないし、かといって2~30代の大人がいっぱい来るわけでもない。限られた年齢層の人にしか届けられないっていうのは非常にもったいないなと思って。

それで、もっと誰でも来れる時間帯かつ多様な音楽を扱える、ある種ナイトクラブとは対極のような。座ってゆったり過ごすとか、読書ができるとか、1人の時間を過ごすとか、そういった場所でイベントをやってみたいと思って、ここでお世話になったのがきっかけですね。

ーー「YY HOUSE」でDJとしてプレイする上でのこだわりはありますか?

RAMIEL:当日かける音楽はざっくりとは絞ってますけど、厳密にこの曲をいつ流すとかは決めてないです。

こだわりは、自分の存在感をすごく消すように努めてます。なるべく来場者と目線が同じほうが目立たないし、変に会場の中心とかにDJブースを設置しないほうが、みんなDJに気を散らさないで済むし。

来場者が普通に座ってる空間と同じ位置にDJブースがあって、DJしているという状態が望ましいですね。僕のDJを見に来てくれるお客さんもいますけど、別に読書してたり、作業してたり、仮眠とってる人もいるんで。それで全然いいな、みたいな。

ーー最近はナイトクラブ以外でもDJが活躍する場が増えてきていますが、その変化の背景についてはどのようにお考えですか?

RAMIEL:背景で言うと、SNSだったり、映像・写真の媒体が普及して、DJってコンテンツがすごく視覚化されやすくなったのが大きいと思います。

あと、時代の流れって言うと月並みな言い方になりますけど、昔に比べて徐々に徐々にDJへの理解が深まって、いろんな場所でDJを入れてみようっていう試みがちょっとずつ増えてるのかなと感じますね。 ーーRAMIELさんは、「YY HOUSE」などのイベントを通してDJと空間演出を追求されていらっしゃいますが、ご自身の試みが広がっている実感はありますか?

RAMIEL:実感はあります。空間演出っていうのはDJの専売特許ではないので、建築もそうだし、照明もそうだし、飲食物もそうだし、接客ひとつとっても来場者の心持ちは変わるし。

他にも、立地とか、そもそもどういうコンセプトで、どういう気持ちで来てもらうかっていう動線設計もそうだし。基本的にはDJ以外の分野の話とか能力が必要になってくるんで、そういう意味で、まったく違う分野の人と“こういう空間でこういうイベントをやるんだったらどうだろうね”ってところを雑談から煮詰めていくのは楽しいです。

ーー今後、主催のイベントを通して発信していきたいメッセージや、伝えたいことはありますか?

RAMIEL:徹底的にやり込んだ時にどうなるかっていうのは、どのイベントでもすごく意識してます。

茶室でイベントをするっていうこと自体は別に誰でも思いつくし、お寺でDJをするっていう構図自体も前例はいくらでもあるし。読書ができる空間でDJをやるとか、朝のカフェでDJをやる試みも別に僕しか思いつかないみたいなものではない。

けど、DJひとつとっても、もっと良くなるように動線設計から人の流れから全部徹底的にやり込むと、ここまで行けるんだなっていう。自分自身が興味あるし、そういったものを来場者とか関係者の方にお見せできたら、すごく嬉しいかなって感じですね。

“DJとして徹底的にやり込むこと”を大切にしていると語ってくれたRAMIELさん。「YY HOUSE」の会場でも、静かにDJブースに佇み、雰囲気の変化に合わせて音楽を流している姿がとても印象的だった。DJが活躍するステージは、これから先も多様な広がりを見せていくことだろう。


《E-TALENTBANK》

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