
*TOP画像/輝延(中野英雄) 小一郎(仲野太賀) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』21話(5月31日放送)より(C)NHK
戦国時代のど真ん中を舞台にした『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の主人公は仲野太賀が演じる豊臣秀長。兄弟の絆で“天下統一”という偉業を成し遂げた豊臣兄弟の奇跡を描いた大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の第21話が5月31日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。
成り上がりの男同士の対決 村重の本音とは?
秀吉(池松壮亮)は播磨へ行き、毛利輝元(濱正悟)攻めの足がかりとするよう織田信長(小栗旬)に命じられました。しかし、荒木村重(トータス松本)が播磨ですでに調略を進めており、毛利(濱正悟)攻めの足場を固めていました。秀吉の家臣である福島正則(松崎優輝)と加藤清正(伊藤絃)は、穏やかな海や豊かな山野、おいしい食べ物に惹かれ、播磨へ行きたいと秀吉に頼んでいました。播磨の現状を知らず、どこか能天気。
ちょうどそのとき、石田三成(松本怜生)が二人の女中に手を引かれていました。三成の髪を整える権利を巡って言い争っているのです。秀吉はこれを見て、「あれが今の播磨じゃ 我ら織田と西の大国 毛利との間に挟まれ どちらにつくかで 引っ張り合いが続いておる」と、女性にモテる三成をうらやましがる二人に説明していました。若き男子に播磨の状況を説明するには、これ以上にないほど分かりやすい説明です。

秀吉(池松壮亮) 福島正則(松崎優輝) 加藤清正(伊藤絃) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』21話(5月31日放送)より(C)NHK

女中 三成(松本怜生) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』21話(5月31日放送)より(C)NHK
一方、村重は高山右近(市川知宏)、中川清秀(すがおゆうじ)とともに有岡城で、秀吉の参戦に不満を漏らしていました。清秀「羽柴などという成り上がり者に 横取りされねばならなんのですか!」と声を荒げると、村重は「ええわけなかろう」と答え、松永久秀(竹中直人)の二の舞にならないよう、今は耐えるしかないと語っていました。
その上で、「誰が来ようが 播磨はそうたやすくはいかん。うん?お手並み拝見といこうではないか。わしと筑前 果たして どちらが真の成り上がりか」と述べていました。村重は妻・だし(山谷花純)には本音を明かしていましたが、彼は播磨における自身の重責に苦しみ、成果が出ないことに信長から咎められないか不安を抱えていたようです。

だし(山谷花純) 村重(トータス松本) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』21話(5月31日放送)より(C)NHK
これまで必死に生きてきて、今は美しい妻と我が子にも恵まれた村重。“楽しく面白く生きていけたらそれでいい”、そして“国衆とのつながりを活かし、秀吉に貸しでもつくれたら万々歳”という、彼の気持ちも分かるような気がします。
しかし、史実では、村重は信長を播磨征伐の途中で裏切り、自身は逃亡し、一族や家臣は処刑されるという恐ろしい事態を招くことになりました。
後の黒田官兵衛登場!二兵衛(にへえ)が初対面
本回では、後に黒田官兵衛となる小寺官兵衛(倉悠貴)が初登場。秀吉、竹中半兵衛(菅田将暉)らは姫路城を訪れ、官兵衛に出迎えられました。官兵衛は「おうわさは かねがね伺っておりまする。今や 織田様が最も信を寄せる 家老の筆頭であるとか」と秀吉を称賛し、この噂を流しているのが自分だと明かしました。官兵衛は“うわさには人を動かす力がある”と考えており、意図的に流していたのです。官兵衛が流したうわさにより、播磨でも秀吉に従う民が増えたといいます。
私たちは“おかしなうわさを流さないでほしい”と懸念したり、真実をうわさで見間違えたりすることもありますが、うわさが持つ影響力は大きなものです。そこに着目した官兵衛はなかなかの男である予感が……。

官兵衛(倉悠貴) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』21話(5月31日放送)より(C)NHK
官兵衛は秀吉らの仲間にすぐに加わり、自分の仕事に従事していました。半兵衛の福原城攻めの策では、官兵衛が半兵衛の“抜け穴のない策”の問題点を指摘し、隙を作り、逃げ出す敵を捕らえる方がよいと提案。しかし、秀吉が見抜いたように、半兵衛はあえて問題のある策を提示し、官兵衛の洞察力を試していたのです。
本放送回では、半兵衛はどこかぼんやりとし、覇気がない様子で、作戦会議の席でも周囲と距離を置く姿が目立っていました。筆者は官兵衛のことを気に入らず、彼が不機嫌なのだろうと当初は思っていましたが、どうやらそうではないようです。22話のあらすじには半兵衛の体調悪化について記載があります。史実では36歳という若さで早逝しています。彼は自身の死期を察し、残された時間で仲間たちのために動いていました。本作においても、半兵衛は自分が亡きあとのことを見越して動いているようにも見えました。
なお、史実では半兵衛と官兵衛は、互いに信頼し合う仲の良い同僚でした。ここでは詳細を割愛しますが、半兵衛が官兵衛の息子・松寿丸を知恵と勇気で救ったという、印象深いエピソードも残っています。
“血を流さずに解決したい”という小一郎の思い
小一郎は秀吉から播磨攻めの総大将に抜擢されました。太田垣輝延(中野英雄)との戦いでは、血を流す争いを避け、話し合いで解決しようと試みます。
天空城である福原城が外から水を運んでいることに着目し、水が尽きかけた頃に降伏を促す作戦を立てました。小一郎の予想は当たり、城内には水が3日分しか残っておらず、輝延らは頭を悩ませていました。輝延は「主君を守るのは 当然であろう」と言い放ち、家臣に限られた水を自分のもとに半分持ってくるよう命じていました。家臣は従うものの、表情は曇っており、不満を抱えているのは明らかです。
城内の水が枯渇し、皆が喉の渇きに苦しむ中、小一郎らは水運びの家臣に変装して城内へ。まず、喉の渇いた家臣に水を飲ませ、「動けぬ者には 飲ませてやるのじゃ!」と全体に気を配っていました。そうした中で、輝延の家臣を雑に扱う姿に小一郎は激昂。「家臣の命を 何じゃと思うとるんじゃ!」と輝延の頬を叩くと、輝延の鼻から血が流れました。

輝延(中野英雄) 小一郎(仲野太賀)ほか 大河ドラマ『豊臣兄弟!』21話(5月31日放送)より(C)NHK
小一郎は“血を一滴も流さない”解決を試みていましたが、鼻血で済んだのは不幸中の幸いだったともいえるでしょう。
輝延を演じた中野英雄と小一郎を演じた仲野太賀は実の親子です。本作では、正反対の性格でありながら敵として激しく対立していましたが、輝延の最後の表情から察するに、小一郎の考え方や家臣への思い遣りに、心を少し動かされたように感じられました。英雄と太賀は実の父子でありながらも遠慮を排した吹っ切れた演技を展開していました。二人の迫真の演技に深い感動を覚えた視聴者は数多くいらっしゃることでしょう。
本記事では、『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の第21話を振り返りながら、二兵衛と呼ばれる竹中半兵衛・黒田官兵衛孝の二人の天才軍師の関係と中野英雄と仲野太賀の親子共演についてお届けしました。
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