第33回を迎える本年は、ユーロライブと東京ウィメンズプラザホールの2会場にて、計4日間にわたり、全8作品を上映。そのうち7作品は日本初上映(ジャパン・プレミア)となり、世界各国で高く評価され、受賞歴のある作品が揃う。
インターセックスの秘められた真実を暴いた『シークレット・オブ・ミー』、クィアをジャンル映画的に描いた『シレンシオ』、クロアチアを舞台に2人の男の純愛を描いた『せき止められた水』など、性的少数者を扱う映画作品群の中にある多様性の豊かさにフォーカスした作品を今回は含んでる。また、クロージング作品として松岡弘明監督によるドキュメンタリー『熱狂をこえて』の上映が決定。日本におけるプライドパレードの創始者である南定四郎氏の生涯をみつめた作品となっている。
〈上映プログラム〉『シレンシオ』*日本初上映
[英題]Silence [原題]Silencio
[監督]エドゥアルド・カサノヴァ
2025|スペイン|56分|スペイン語
黒死病による「清浄な人間の血」不足を生き延びた吸血鬼の姉妹。しかし、真の毒は彼女たちを取り巻く沈黙だった。数世紀後、彼女たちの末裔の一人がスペインのエイズパンデミックの中で同じ葛藤に直面する。キッチュな世界観の中繰り広げられるファンタスティック・ラブストーリー。シッチェス・カタロニア国際映画祭コンペティション部門出品
『シークレット・オブ・ミー』*日本初上映
[英題]The Secret of Me [監督]グレース・ヒュー=ハレット
2025|イギリス|80分|英語
1995年、ルイジアナ州バトンルージュ。フェミニズム研究の授業中、大学生のクリスティは教科書を開き、彼女の世界を根底から覆す発見をする。物心ついた時から、クリスティは自分が周りと違うと感じていた。そして今、その理由が明らかになる。医療記録の開示を求めたクリスティは、ついに衝撃的な真実に直面する。自らのアイデンティティを揺るがす真実に迫ったドキュメンタリー。SXSW映画祭出品
Framelineサンフランシスコ国際LGBT映画祭アウト・イン・サイレンス賞
『クィア・アズ・パンク』*日本初上映
[英題]Queer as Punk [監督]イーウェン・チェン
2025|マレーシア、インドネシア|88分|英語、マレー語
クィアパンクバンド「Shh...Diam!」は、その名前(マレー語で「黙れ!」)に反して、自分たちの真実を世界に叫び続けている。マレーシアの政治情勢が変化する中で、バンドメンバーのファリス、ヨン、ヨヨの率直な会話を捉え、観客を彼らの生活へと誘う。クィアの権利を否定する国を背景に、自己表現、身体の変容、愛、親の期待、不安、政治参加といったテーマを掘り下げている。新型コロナという逆境を跳ね返そうと奮闘するバンドメンバーの軌跡を力強く描いたドキュメンタリー。ベルリン国際映画祭フォーラム部門出品
『せき止められた水』*日本初上映
[英題]Sandbag Dam [原題]Zečji nasip
[監督]セイェン・セルニック・カナク
2025|クロアチア、リトアニア、スロヴェニア|88分|クロアチア語
マルコはクロアチアの村で両親と、仲の良い弟のフィチョと暮らしている。彼は運動神経抜群だが、学校を卒業したら父親の希望通り自動車整備士になるつもりだ。そんなマルコの平穏な生活は、二つの出来事によって一変する。一つは村が洪水に見舞われる危機、もう一つは初恋の相手、スラベンが父親の葬儀のために帰郷したことだ。しっとりと恋に向き合いつつ、自らのアイデンティティを模索する青年を描いたラブストーリー。ベルリン国際映画祭ジェネレーション14plus部門出品
『来訪者』*日本初上映
[英題]The Visitor [監督]ブルース・ラ・ブルース
2024|イギリス|101分|英語
ピエル・パオロ・パゾリーニ監督の1968年の映画『テオレマ』をイギリスを舞台に再構築した作品である。パゾリーニの謎めいた主人公は、皆から「訪問者」と呼ばれ、上流階級の家庭にやって来て、家族を一人ずつ誘惑していく。彼が突然去ると、残された家族はそれぞれ異なる方法でその空虚感を埋め合わせようとする。名作映画を再構築したエロティック・サスペンス。ベルリン国際映画祭パノラマ部門出品
『ボディ・ブロー』*日本初上映
[英題]Body Blow [監督]ディーン・フランシス
2025|オーストラリア|99分|英語
若き警官エイデンは、危険な潜入捜査に乗り出す。そこで彼は、麻薬王のドラァグクイーンに操られる魅力的な男性セックスワーカー、コディと出会う。エイデンは危険な世界に足を踏み入れ、警察の陰謀に巻き込まれていく。キッチュな世界観に包まれたクライム・ラブストーリー。『ラヴ・レターズ 家族の証明書』*日本初上映
[英題]Love Letters [原題]Des preuves d'amour
[監督]アリス・ドゥアール
2025|フランス|97分|フランス語
セリーヌは30代前半。妻は体外受精で妊娠し、間もなく出産予定だ。しかし、親としての正当性を確立するまでの道のりは複雑で、母親との関係を再構築し、その過程で母性の奥深さを理解していく必要がある。同性婚が合法化された中、子を設けるということを真摯に描いた社会派ラブストーリー。カンヌ国際映画祭批評家週間特別上映
『熱狂をこえて』
[監督]松岡弘明
2026|日本|105分|日本語
1931年、樺太で生まれた南定四郎。22歳で上京し、自分らしい生き方を模索し続けた。1984年、ゲイ解放運動を開始。活動に没頭するなかで、その熱意は次第に彼自身をも突き動かしていく。そして1994年、日本初のプライドパレードを開催する。しかし回を重ねるにつれ、運営は独善的なものへと変化。第3回パレードでは大きな反発を受け、南氏は運動の第一線から退くこととなる。
時代に翻弄されながらも、正義に突き動かされ、熱狂のなかを駆け抜けた半生。熱狂をこえた先に、南氏は何を見つけたのか。本人の証言に加え、当時の関係者のインタビュー、報道資料、写真、映像をもとに、その激動の軌跡をたどる。ひとりの人生を通して描かれる、日本のプライド運動のはじまりの物語。
「第33回レインボー・リール東京~東京国際レズビアン&ゲイ映画祭~」開催概要
6月20日(土)~6月21日(日)ユーロライブ(東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 2F)
7月11日(土)~7月12日(日) 東京ウィメンズプラザホール(東京都渋谷区神宮前5-53-67)



